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第3部   我が国の科学技術政策の展開
第4章  研究活動の推進
第3節  科学技術振興基盤の強化
7.  地域における科学技術の振興


第4次全国総合開発計画(1987年6月,閣議決定),科学技術政策大綱(1992年4月,閣議決定)等において,地域の研究開発機能の強化が地域活性化の戦略的課題として位置づけられ,また,同大綱において重点施策として位置づけられている施策についての基本指針の策定を図るため,1994年6月には科学技術会議への諮問第22号「地域における科学技術活動の活性化に関する基本指針について」が行われたところである。

このような状況のなかで,地域においては,科学技術振興策を審議する審議会,会議等を開催するとともに,科学技術政策の大綱や指針等を策定するなど,科学技術振興への積極的な取り組みが始まっている (第3-4-25表 及び26表)

地域においては,従来から公設試験研究機関を中心とした研究開発が推進されてきたが,地域産業の技術開発力の向上等を背景として,近年,多くの自治体で公設試験研究機関の再編整備等が計画あるいは検討されている。

第3-4-25表 地方公共団体における科学技術審議会等の設置状況


第3-4-26表 地方公共団体における科学技術振興指針等の策定状況

また,地域における研究学園都市構想の策定や総合的に科学技術振興を推進する公益法人等の中核的機構の設置など,自治体レベルでの科学技術振興の新しい展開が見られるようになっている。

ここでは,地域における科学技術振興のための国の諸施策について概観する (第3-4-27表)

第3-4-27表 地域科学技術の振興に関する主要な施策



(1) 地域内外の交流のための施策等

(地域科学技術政策会合及び地域科学技術政策フォーラム)

科学技術会議では各道府県に設置されている科学技術関係審議会等との連携を通じて,科学技術政策面から地域及び国全体の科学技術の一層の振興を図ることを目的とし,科学技術会議政策委員会委員と道府県の科学技術関係審議会会長等との間で科学技術政策に関する意見交換を行う地域科学技術政策会合を1991年度から開催している。また,地域の科学技術政策に参画する有識者はもとより,広く地域の科学技術政策に関係する有識者,研究者の参加を得て,地域の科学技術政策問題を中心とした討議を行うため,1992年度から地域科学技術政策フォーラムを開催している。

(地方科学技術振興会議)

科学技術庁では,地域における科学技術振興施策の一環として,全国を8つのブロックに分け,ブロック単位に地方科学技術振興会議を開催している。本会議は,科学技術関係諸機関と産業界・学界をはじめとした各界との連携の機運を醸成し,地域における科学技術振興基盤確立に資することを目的として,科学技術関係者をはじめとした各界の人々が一同に会し,科学技術に関する国と地域の意思の疎通,当該地域における科学技術の振興に関する諸問題の検討を行っている。

(財)全日本地域研究交流協会)

(財)全日本地域研究交流協会は,都道府県からの基金拠出により,地域における科学技術の推進に寄与するための諸活動を行うことを目的として1992年6月に設立された。筑波研究学園都市に事務所が置かれ,先端的研究や基礎研究等に地域が取り組む際の各種研究支援事業や全国規模での研究交流促進事業が展開されている。


(2) 地域との研究開発のための国の研究制度

地域との研究開発のために関係省庁で様々な研究制度が設けられている。以下,その主なものを紹介する。

(科学技術庁)

科学技術庁では,1990年度から科学技術振興調整費を活用し,地域の研究機関に地域内外の優れた研究者を結集して,地域の特色を生かしつつ我が国の科学技術水準の向上に資する基礎的・先導的研究を行う地域流動研究を実施してきた。1992年度からは,住民生活の質の向上に資する課題についても研究を行うこととし,生活・地域流動研究と改称して充実を図っている。研究推進の指導を行う地域中核オーガナイザーのもとで,国立試験研究機関,大学,公設試験研究機関,民間企業等の研究者の結集により,研究を積極的に推進している。

また,海洋科学技術センターでは,1988年度から,地域における海洋科学技術の振興や普及及び海域の利用の促進を図るため都道府県等と共同で研究開発を実施する地域共同研究開発事業を展開している。

(環境庁)

環境庁では,1993年度から,地域におけるニーズが高く,地域環境の特性に応じた検討が必要な研究課題について,国立試験研究機関と公設試験研究機関との共同研究を行う地域密着型環境研究を実施している。

(農林水産省)

農林水産省では,1984年度から,公設農業試験場からの要請に基づいた重要研究課題について,農林水産省の試験研究機関と公設試験研究機関による共同研究を実施しているほか,1986年度から,バイオテクノロジー分野の研究開発について,農林水産省の地域農業試験場等と公設試験研究機関が共同で研究を行う地域バイオテクノロジー研究開発促進を実施している。

また,民間等の技術知識を積極的に取り入れて研究を推進する官民交流共同研究において地域研究ニーズに対応した研究課題について地域農業試験場を中心に実施している。

(通商産業省)

通商産業省では,1982年度から,地域のニーズに対応した,あるいは地域の研究開発ポテンシャルを活用した重要な研究開発課題について,工業技術院の研究所を中核とし,公設試験研究機関,民間企業等が一体となって研究開発に取組む重要地域技術研究開発制度を実施している。


(3) 研究開発機能集積に対する支援

地域の産業振興のために,従来は工場進出(再配置)を中心とした政策がとられてきたが,より効果的な方策として,研究施設や先端産業技術を伴うことの重要性が認識されるようになった。最近はさらにこれらに加えて,研究を支援する部門の整備や住環境,レクリエーション環境の整備などを考慮した総合的な発展が必要とされている。

(テクノポリス法(高度技術工業集積地域開発促進法))

テクノポリスとは,高度技術工業の地域における集積を図り,先端技術を核とした産・学・住一体となったまちづくりを促進するもので,各種産業基盤の整備事業等を推進している。現在までに,この法に基づき26地域の計画が承認されている。

(頭脳立地法(地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律))

頭脳立地法は,経済活動のソフト化,サービス化の進展の中で従来からの工場の地域分散の推進とあわせ,自然科学研究所,ソフトウェア業,情報処理サービス業などの産業支援サービス業の集積を図ることによって,地域産業の高度化を促進することを目的とし,各種産業基盤の整備事業等を推進している。

現在までに,この法に基づき26地域の計画が承認されている。

(多極法(多極分散型国土形成促進法))

多極法に基づく振興拠点地域の開発整備は,地域の特性に即した産業,文化,学術,研究,交流等特色ある機能を集積させることにより,広範囲な地域の振興の拠点を総合的かつ計画的に開発整備するためのもので,地域主導による地域づくりを積極的に支援するものである。

(民活法(民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法))

民活法は1986年5月に施行され,経済社会の基盤の充実を図るための施設整備を民間事業者の能力を活用して促進しようとするものである。このうち,研究開発に関する施設は,研究開発・企業化基盤施設(リサーチコア),電気通信研究開発促進施設(テレコム・リサーチパーク),農林水産研究開発・企業化基盤施設,臨海部活性化施設の4つである。


(4) 情報流通の促進

(地域研究交流促進事業(地域ハイテクネットワーク))

科学技術庁では,1988年度から,地域において研究情報ネットワークを整備し,これを中核として,地域内及び地域と筑波研究学園都市との研究交流,情報交流,新技術の開発等を推進する地域研究交流促進事業を進めている。また,これらの地域の研究情報ネットワークを,筑披研究学園都市の筑波ネットワークと接続し,地域と筑披との交流に役立てている。

(その他の全国的な情報ネットワーク)

日本科学技術情報センター(JICST)では,科学技術に関する総合的文献データベースを作成し,JICSTネットワークによりオンラインで提供している。全国に10箇所の支部,支所を設けており,地域の研究者にも活用されている。

学術情報センター(NACSIS)を中心に全国の国公私立天学を結ぶ学術情報ネットワークを整備しており,1993年8月からは,大学以外の研究者等へも情報検索サービス等の利用を公開している。

(財)日本特許情報機構(JAPIO)が提供する特許情報オンライン検索システムは,1978年にサービスを開始している。

技術情報の流通を図る(財)日本テクノマートは,10地域に支部を置いている。


(5) 研究開発拠点等の整備

第4次全国総合開発計画においては,筑波及び京阪奈丘陵を文化・学術・研究等の拠点として整備するとともに,各地域においてその特性を生かした研究学園都市の整備を図り,これらを結んだ研究開発等のネットワークづくりを進めることとされている。

1) 筑波研究学園都市

筑波研究学園都市は,首都圏全域の均衡ある発展に資するとともに,高水準の研究,教育のための拠点を形成し,科学,学術研究及び高等教育に対する時代の要請に応えるため国の施策として建設が進められている。

現在,本都市には,国の試験研究・教育機関等46機関がほぼ概成して業務を開始しており,また,民間の研究機関も進出している。

このように,本都市の充実が図られてきており,さらに我が国内外の研究開発拠点として育成するための諸施設を推進しているところである。

2) 関西文化学術研究都市

関西文化学術研究都市は近畿圏に培われてきた豊かな文化・学術・研究の蓄積を生かし,21世紀に向けた創造的かつ国際的,学際的,業際的な文化・学術・研究の新たな展開の拠点づくりを目指すものであり,1987年6月に施行された「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき,その整備が進められている。


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