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第1部   戦後50年の科学技術
第3章  人間的豊かさのための科学技術へ
  むすび


終戦を迎えたとき,我が国に残された最大の資産は,先人達の努力により培われてきた国民の英知であった。大きな改革がなされ,科学技術分野においても人材と資源の投入の再配分,再配置がなされた。

その後,我が国は,国民の英知と懸命の努力により,困難を解決し,時代の課題に着実に対応しつつ,今日の繁栄にたどりついた。これまでの道は決して平坦ではなかったが,困難に対峙して粘り強く解決の方途を探り,懸命の努力を積み重ねてきたといえるであろう。

この戦後の50年の間,科学技術は,経済成長に大きな役割を果たし,今日の豊かな生活をもたらす原動力となってきた。この間,我が国は,基本的な技術を得て,これに工夫,改良を加え,世界で最も優れたものを作り出せるようになったといえる。しかし,全く新しい製品の基礎となる知識や技術を創造することに関しては必ずしも十分であるとはいえないであろう。先進国の経済が成熟化し,他方,NIEs,開発途上国が経済的に成長し,新しいブレークスルー,新しい市場の創造を求めた努力が従来以上に必要となっている時代において,創造力の発揮がこれまで以上に求められている。このため,科学技術面においては,次の世代に引き継いでいける知的資産の整備を図ることが特に重要である。また,独創性を発揮させ,その成果を市場形成に結びつけるための制度の改革等に積極的に取り組んでいくことも必要とされる。

また,人間的豊かさの実現のために,国民からの要請に応え,生活者の立場を重視しながら,健康の維持・増進,生活環境の向上,社会経済基盤の整備,防災や安全の確保等の面で,科学技術を駆使していくことが必要である。科学技術により,国民の人間的豊かさの実現を目指すとともに,人類社会の福祉向上のためにも我が国が重要な役割を担うことが求められる。

他方,科学技術と人間・社会との間にある種の緊張関係が高まりつつあることが懸念されている。科学技術に携わる者としては,科学技術と人間・社会との関係を常に意識し,両者の調和のための方策を模索していくことが必要とされる。また,科学技術の成果が社会に受け入れられるためにも,科学技術に携わる者と社会との対話を促進していくことが重要となっている。

今後の半世紀の我が国の発展を期していくためには,我が国最大の資源ともいえる国民の英知をさらに蓄積し,これを活用していくことが重要であり,人間の豊かさのための科学技術という原点に立ち,科学技術と社会との関係を常に意識し,不断の改革と科学技術への投資に努め,新たな価値を生み出し,国民に真に豊かな生活をもたらす科学技術を創造していくことが必要とされている。


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