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第1部   戦後50年の科学技術
第3章  人間的豊かさのための科学技術へ
第4節  科学技術と社会との対話促進
1.  科学技術に対する社会の意識


(科学技術への関心)

科学技術への関心の指標として,科学技術と社会に関する世論調査における「科学技術についてのニュースや話題」への関心をみる。成人層の中で科学技術についてのニュースや話題に対して関心を示す者の比率は,近年,30歳以上の年齢層については全体的に漸増気味に推移している中で,20歳代の年齢層についてのみ減少傾向がみられると平成5年版科学技術白書で指摘した。1995年2月の科学技術と社会に関する世論調査の結果をみても,この若者の科学技術離れの傾向が続いているということができる (第1-3-14図)。

第1-3-14図「科学技術についてのニュースや話題」に対する関心の推移

(科学技術の発達に関する意識)

一科学技術のプラス・マイナスー

科学技術の発達にはプラス面とマイナス面があるといわれるが,全体的にみた場合,どちらが多いと思うかとの質問に対する回答をみる。その結果では,近年,科学技術のプラス面が多いと評価する者が5割を若干超える程度にとどまるという状況が続いている (第1-3-15図)。

生活水準の向上に科学技術の発達が寄与したと多くの人がとらえている。ここで,科学技術の総体的なプラス・マイナスの評価と,生活の水準の向上への科学技術の寄与に関する認識との関係をみる。科学技術のプラス面が多いと答えた人では,科学技術により生活水準が向上したと考える人が多く,生活水準が悪化したと考える人は少なくなっている。また,科学技術のマイナス面が多いと答えた人では,科学技術により生活水準が悪化したと考える人が若干多くなっている (第1-3-16図) 。これから,生活水準の向上に科学技術がいかに貢献したと考えられているかが,科学技術の総体的なプラス・マイナスの評価に大きく影響しているとみられる。従って,科学技術により生活水準の向上を図り,また,これが国民に実感されることにより,科学技術のプラスの評価が高まっていくことが期待される。この観点から,生活,社会分野をはじめとした多様な分野における科学技術の貢献が国民に実感され,理解されることが重要と考えられる。

第1-3-15図 科学技術の発達に伴うプラス・マイナス

―専門化・細分化の進行―

前述の世論調査で,科学技術が細分化し,専門家でなければわからなくなるという不安に関する質問で,非常に不安である,やや不安であるとした者の合計が6割を越えており,科学技術が専門化,細分化し,自分たちが理解できなくなることを懸念している者が多いことが伺える (第1-3-17図)。

第1-3-16図 科学技術のプラス・マイナス評価と生活水準への科学技術の影響

-科学技術の発達に伴う心配-

また,科学技術の発達に伴う心配について,科学技術庁科学技術政策研究所「科学技術が人間・社会に及ぼす影響に関する調査」(1994年3月)にようみる。同調査によれば,人類の生存を脅かす地球規模での環境問題が生じること,公害が増えること,食品の安全性に問題が生ずること,事故が増加すること,コンピュータを使った大規模な集中管理システムが故障したときの社会に与える被害が大きくなること等,地球環境問題,公害問題や,安全に関する項目に関して心配する者が多くなっていることが示されている (第1-3-18図)。

第1-3-17図 科学技術の細分化に対する国民の考え

(先端医療技術と倫理)

科学技術の進展が,人間の基本的な考え方にまで影響を及ぼしている場合がある。特に,先端的な医療技術の分野ではこれが顕著である。

第1-3-18図 科学技術の発達に伴い心配だと思うニと

総理府が行った「医療における倫理に関する世論調査」(1990年10月実施)によれば,臓器移植,体外受精,出生前診断などの先端的医療技術に対する一般の関心等を調査しているが,「非常に関心がある」,「まあ関心がある」とする者を合計すると約7割の人が関心を抱いている。さらに,同調査で,いくつかの分野(脳死,臓器移植,末期医療,対外受精,遺伝子治療,出生前診断,その他)を例示し,倫理的な検討の必要性を質問しているが,これらのうち,倫理的な検討の「必要なものがある」と答えた者は74.5%,「特に必要なものはない」が6.3%,「わからない」が19.2%となっており,先端的医療技術における倫理面での検討の必要性を多くの人が認識しているといえる。

さらに「必要なものがある」と答えた者に対し,倫理的な検討が必要な事柄にどのように対処していくことがよいか質問したところ,「本人及び家族,医師など,現場の当事者で話し合い,個々のケースごとに対処する」が36.5%,「各界の人々の参加を求めて話し合い,社会的合意としての基準を決定する」が23.9%,「医師など,医療に関係する専門家が学会などを通じて話し合い,基準を決定する」が23.1%となっており,関係者間の合意を重視する者が相対的に多いものの,基準の決定を支持する者も多い (第1-3-19図)。

第1-3-19図 先端的医療技術における倫理面での検討に係る国民の意識

これを学歴別にみると,「分からない」と答える者が学歴が上がるとともに減少しており,さらに,各界の人々の参加を求めて話し合い,社会的合意としての基準を決定することを重視する人が増えていることが注目される。世論調査の結果から一般に,学歴が高い者ほど科学技術に対する関心が高いことから,科学技術に対する関心の高い者ほど,先端的技術と倫理の問題との関係の検討を,社会全体の合意により基準を設定することによって解決の方向をみいだそうとする傾向がみられるといえよう。


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