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第3部   我が国の科学技術政策の展開
第4章  研究活動の推進
第3節  科学技術振興基盤の強化
6.  科学技術情報の流通


科学技術情報は,高度の知識と多額の研究投資が集約された研究開発の成果であるとともに,科学技術の振興を支える重要な基盤の1つである。科学技術の発展に伴い,科学技術情報の生産量は年々伸び続けており,これらの中から的確な情報を迅速に入手することが困難になっている。

このため,情報を収集・整理して,検索しやすい形に加工したうえ,個々の利用者の要求に応じて適切な形で提供するという情報活動の重要性が益々高まっている。

また,研究情報の流通の一層の促進,研究開発の高度化等を図るため,コンピューターネットワークの整備等,研究情報流通のための基盤整備が期待されている。


(1) 科学技術情報活動に係る基本的推進政策

科学技術情報流通に関する基本的な政策は,1969年10月に,科学技術会議第4号答申「科学技術情報の流通に関する基本的方策について」において示された「科学技術情報の全国的流通システム(NIST)」の構想に基づいている。

また,科学技術会議は,1989年12月に第16号答申「科学技術振興基盤の整備に関する基本指針について」をとりまとめ,科学技術情報をはじめとする振興基盤の整備の重要性を指摘した。科学技術情報に関しては,提供情報の充実,情報利用者の利便性に主体を置いた情報流通体制の整備,情報の国際流通の促進と地方展開,情報収集の強化・充実,情報提供機能の高度化を進めるべきことが指摘されている。さらに,1992年1月に取りまとめた第18号答申「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策について」の中で科学技術情報に関して,文献情報の流通促進,ファクトデータベースの構築及びその利用促進のための情報流通体制の整備,国際的な情報の相互流通機能の強化,科学技術情報ネットワークの地域展開等が指摘されている。

これらを受けて,政府が1992年4月に改正した科学技術政策大綱では,科学技術情報の生産及び国内外での流通の拡大並びに科学技術情報ネットワークの地域展開を図ることが定められている。


(2) 研究情報基盤整備とその利用研究の推進等

近年,コンピュータの普及や情報のマルチメディア化など情報処理・電気通信技術の発達がめざましく,今後とも我が国の研究開発活動を国際レベルで展開するためには,研究情報基盤の整備が不可欠となってきている。

米国においては,クリントン政権の最重要政策として,多数の関係機関の協力の下に,高度情報基盤の開発を行うHPCC(高性能計算・通信)計画が推進され,1993年からは,全米に「情報スーパーハイウエイ」の構築を行うことを目指したNII (全米情報基盤整備)計画が推進されている。また,欧州及びアジアにおいても,研究情報ネットワークの整備が進められているなど,情報通信基盤の整備及びその国民活動全般への利用は,新しい技術革新の創造,市場や雇用の拡大に向けた重要な政策として位置付けられている。

他方,我が国の研究情報ネットワークは,各省庁内の研究機関を接続するものや,研究者が自主的に運用を行うものは存在しているが,その回線速度は遅く,整備が不十分な状況にある。

こうした状況下,1993年7月,科学技術会議政策委員会の下に「研究情報ネットワーク懇談会」が発足し,産学官の関係者の参画を得て,我が国の研究情報ネットワークのあり方等について検討が行われ,1993年10月に取りまとめられた中間報告書においては,我が国の研究情報ネットワークの整備とその利用が極めて不十分であり,米国に比べて5〜10年の遅れがあるとの認識が示され,早急な対応が強く要請された。その後,関係省庁,機関の努力により,1993年度の補正予算及び1994年度予算において,全国の大学,国立試験研究機関等にLAN(機関内ネットワーク),コンピュータ等の研究情報基盤に関する大幅な措置が行われた。

また,1994年度においては,省庁,研究領域,国の枠を越えて研究機関を接続する省際研究情報ネットワークについて,試行的運用を行いつつ,その効率的・効果的な整備・運用に資する調査研究及び基礎的・基盤的データのデータベース化に資する調査研究を推進するため,科学技術振興調整費に「研究情報整備・省際ネットワーク推進制度」を創設した。

さらに,同懇談会において,このような状況の変化と課題についての検討結果を踏まえて,1994年6月には「研究情報ネットワークに関する当面の進め方について」を取りまとめ,科学技術会議本会議に報告した。

第3‐4‐23図 研究情報基盤とそれを利用する研究開発活動の位置付け

同報告書においては,研究情報基盤とそれを利用する研究開発活動との関係を 第3-4-23図 に示すような重層構造として捉えている。また,当面の施策展開の方向として,

1)研究情報ネットワークの整備の推進
2)研究情報ネットワークの利用(アプリケーション)の推進
3)研究情報の整備と流通の推進
4)研究情報ネットワークに係る支援体制の整備
5)海外との協力の推進
6)研究情報の自由な流通の実現と制度面の検討

の6つの施策について提言している。また,研究情報基盤の整備と利用の推進は,教育,医療,産業等の分野への実証,社会全般の情報化を定着し,高度情報化社会を先導するとともに,社会資本充実のための施策の一つとして位置付けている。さらに,施策の円滑かつ効率的な推進に資するため,関係省庁が一体となって総合的に推進することが必要であることが強調されている。

第3-4-24表 に1994年度における研究情報基盤関連施策の概要を示す。

第3-4-24表 主な研究情報基盤関連施策の概要(1994年度)




(3) その他の我が国の科学技術情報活動

上記の他,我が国では以下のような施策を実施している。

1) 一次情報サービス

閲覧・複写・貸出等による一次情報(論文等の原文献)の提供サービスは,図書館のほか,様々な情報サービス機関で行われている。国立国会図書館には,納本制度によって我が国で発行されるすべての出版物が納本されることになっており,収集・保管資料に関するデータベースが作成され,オンラインで提供されている。文部省では,学術情報センターが,全国の国公私立大学等の協力を得て,大学図書館が所蔵している学術図書・雑誌の目録所在情報データベースを作成・提供している。

2) 二次情報サービス

情報をコンピュータを利用して編集し,データベース化することにより,増大する情報の迅速,正確かつ容易な検索が可能となった。科学技術分野において,このようなデータベースの生産と利用は,世界的に急激に伸長している。日本科学技術情報センター(JICST)においては,世界50数カ国より科学技術全分野に関する資料を収集し,科学技術文献データベースを構築(年間70万件)し,JICSTオンライン情報システム(JOIS)を通じて提供している。学術情報センターにおいては,学術研究に関するデータベースを作成し,全国の国公私立大学等を結ぶ学術情報ネットワークを通じて提供している。このほか,(財)日本特許情報機構では,特許情報をデータベース化し,オンライン(PATOLIS)で提供するなど様々なデータベースが作成・提供されている。

3) クリアリングサービス

研究課題についての情報を提供するクリアリングサービスについては,JICSTが,公共試験研究機関における研究課題情報をオンライン(JOIS)で提供し,また,学術情報センターが,科学研究費補助金により行われた研究の研究成果報告概要のデータベースを作成し,オンライン(NACSIS-IR)で提供している。

4) 科学技術情報の国際流通

我が国の科学技術の発展に伴って,海外からの我が国の科学技術情報に対する需要が高まってきている。このような要望に応え,我が国の科学技術情報の積極的な国際流通を図るため,1987年11月に国際科学技術情報ネットワーク(STN International)がJICST,米国のケミカルアブストラクツサービス(CAS),ドイツのFIZ-カールスルーエの三者間で開設され,現在百数十種のデータベースをサービスしている。学術情報センターでは,米国のインターネットを経由して,海外の研究機関等との情報交換,情報検索サービスの提供を行うなど,学術情報の国際的な流通の促進を図っている。また,1990年度から,JICSTは,欧米等諸外国から要望が強いが入手が困難とされている科学技術分野の政府関係資料の流通等我が国科学技術情報の海外での普及を促進する事業を行っており,1993年6月にはパリで,1994年7月には米国(ボストン)において,日本の科学技術情報に関する説明会を開催した。

5) 科学技術情報に関する研究開発の進展

科学技術振興調整費により,研究者の創造的研究開発を支援するため,「創造的研究開発支援のための自己組織型情報ベースシステムの構築に関する研究」が1990年度から実施されており,1993年度は個々の要素技術についてプロトタイプの試作が行われた。また,JICSTにおいては,日本語のフルテキストデータベースを実用化するための開発を行った。


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