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第3部   我が国の科学技術政策の展開
第4章  研究活動の推進
第1節  重要研究開発分野の推進
1.  基礎的・先導的な科学技術



(1) 物質・材料系科学技術

物質・材料系の科学技術は,原子・分子レベル,あるいは強磁場,超高真空,超高圧等の極限環境における現象・機能の解明を通して新たな科学的知見を蓄積してきただけでなく,新材料が過去において,経済社会に及ぼした影響は極めて大きなものがあり,新超伝導体の発見にみられるように,新しい材料の出現が,新しい技術を開拓し関連技術にも質的変化をもたらし,産業に対してはもちろんのこと社会に対しても大きなインパクトを与えてきた。

特に,近年,情報・電子,ライフサイエンス等の先端科学技術分野においては,未踏分野を切り拓く革新的な研究開発の多くは新たな材料にシーズを求めており,独創的な研究開発を推進し,科学技術立国を図っていく上での共通的・基盤的技術として物質・材料系科学技術の重要性がより高まっている。

また,現在推進されている超高速コンピュータ,核融合,宇宙開発,海洋開発等大規模なプロジェクトの推進に必要な新たな材料の研究開発の重要性が高まっており,これらのプロジェクトに適合する材料が求められている。

このような状況から,新材料の創製が重要な課題となっている。

1) 総合的な物質・材料系科学技術の推進

物質・材料系科学技術については,以上のような認識の下に,科学技術会議,航空・電子等技術審議会等の答申に沿って各般の物質・材料系科学技術施策が進められている。

科学技術会議は,諮問第14号「物質・材料系科学技術に関する研究開発基本計画について」(1986年5月)を受けて,本分野における研究開発目標及び推進方策に関する検討を行い,1987年8月に答申した。

これを受け,政府は同年10月,「物質・材料系科学技術に関する研究開発基本計画」を決定した。

また,同会議は,第18号答申「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策について」(1992年1月)を行い,この中で既成の限界を打破した高性能・新機能の物質・材料の開発等の必要性を指摘している。

航空・電子等技術審議会においては,これまで,諮問第5号「極限科学技術とこれに関連する材料科学技術に関する総合的研究開発の推進策について」に対する答申(1980年8月),諮問第7号「材料設計理論に基づいた新材料の創製に関する総合的な研究開発の推進について」に対する答申(1984年9月),諮問第9号「新材料開発に係る計測及び制御技術の高度化のための重点課題及びその推進方策について」に対する答申(1986年3月)及び諮問第13号「環境条件に知的に応答し,機能を発現する能力を有する新物質・材料の創製に関する総合的な研究開発の推進について」に対する答申(1989年11月),諮問第16号「材料開発に係わる解析・評価技術の高度化に関する総合的研究開発の推進について」に対する答申(1991年11月)を行い,物質・材料系科学技術の総合的推進方策を示した。さらに,諮問第21号「原子・分子レベルの現象,機能の解明のための計算科学技術に関する総合的な研究開発の推進方策について」について現在審議中である。

2) 物質・材料系研究開発の推進

広範多岐にわたるニーズを背景として,各省庁において様々な物質・材料系科学技術に関する研究開発が活発に進められている。

科学技術庁においては,物質・材料系科学技術全体に係る共通的・基盤的分野を推進するため,金属材料技術研究所,無機材質研究所等において研究開発を推進するとともに,創造科学技術推進制度(新技術事業団),フロンティア研究システム(理化学研究所),科学技術振興調整費等各種制度により物質・材料系科学技術に関する研究を実施している。

文部省においては,東北大学に附置されている共同利用研究所である金属材料研究所等を中心として,独創的・先端的な物質・材料研究を展開するとともに,研究者の自由な発想と研究意欲を源泉として,大学等における独創性豊かな学術研究を推進すべく,物質・材料系科学技術の基礎的研究が行われている。

通商産業省においては,産業科学技術研究開発制度により「超耐環境性先進材料」等の新材料の創製・加工技術等に関する研究開発が実施されている。

また,物質・材料系科学技術水準の国際的向上を図るため,国際共同研究助成事業(NEDOグラント)により,国際共同研究チームが行う基礎的先導的研究開発を推進している。

3) 超伝導に関する研究開発の推進

1986年,スイスIBMチューリッヒ研究所における発見を契機として,1988年1月の科学技術庁金属材料技術研究所におけるビスマス系超伝導体の発見など,高い温度でも超伝導現象を生じる酸化物系の新しい超伝導物質が相次いで発見された。この新超伝導物質は,それらが実用化されれば経済社会に大きなインパクトを与えるものとして,世界的に大きな期待が寄せられている。しかしながら,これら酸化物系超伝導体は未だ材料以前の段階であり,実用材料として利用されるようになるためには今後,理論の解明,新物質の探索,材料化等の基礎的・基盤的研究開発が重要である。このような点に鑑み,科学技術会議政策委員会の下に設けられた超電導に関する懇談会が1987年11月に取りまとめた「超電(伝)導研究開発の基本的推進方策について」等を踏まえ,関係省庁において本分野の研究開発が推進されている。

科学技術庁においては,金属材料技術研究所,無機材質研究所,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,宇宙開発事業団,理化学研究所等が有するポテンシャルを最大限に活用し,研究基盤を整備するとともに,当該ポテンシャルを核として,国内外に開かれた研究者主体の柔軟な共同研究,研究者交流及び情報交換並びに技術展開を推進する「超電導材料研究マルチコアプロジェクト」を1988年5月に創設し,超伝導材料の基礎的・基盤的研究を推進している。

文部省においては,科学研究費補助金等により基礎的研究が行われている。

通商産業省においては,産業科学技術研究開発制度等の諸制度を用い,電子技術総合研究所などを中心に産学官の連携のもとに超電導材料・超電導素子の研究開発などを行っている。また,超伝導に関する研究開発等を行っている(財)国際超電導産業技術研究センターへの委託を行っている。

郵政省においては,通信総合研究所を中心に産学官の連携により推進している電気通信フロンティア研究開発の一環として,「高温超電導体による超高速・高性能通信技術の研究開発」において,将来の超高速・高性能通信技術の実現を目的とした超伝導技術を用いた電気通信技術の研究開発を実施している。

運輸省においては,将来の高速輸送を目的とする超電導磁気浮上式鉄道の実用化に向けて研究開発を促進するため(財)鉄道総合技術研究所への助成等を行っている。

4) 物質・材料系科学技術の国際協力の推進

1990年5月に日米科学技術協力協定に基づく協力課題となった「強磁界マグネットの開発のための研究」(金属材料技術研究所‐米国国立科学財団(フランシスビッター国立磁石研究所)),1990年3月より開始した「新素材の原子配列設計制御」(新技術事業団-ケンブリッジ大学・ロンドン大学)等の二国間国際協力や,「新材料と標準に関するヴュルサイユプロジェクト(VAMAS)」等の多国間科学技術協力などにより,数多くの共同研究,研究者交流などを推進している。

また,標準の分野でも国際電気標準会議(IEC)に超電導専門委員会(TC90)が新設され,1990年から我が国が幹事国となった。

なお,1994年度に実施される主な物質・材料系科学技術分野の研究課題は 第3‐4‐1表 に示すとおりである。

第3‐4‐1表 主な物資・材料系科学技術分野の研究課題(1994年度)




(2) 情報・電子系科学技術

1) 情報・電子系科学技術振興の意義

高度情報社会への移行が本格化する中で,情報・電子系科学技術が果たす役割は,ますます重要になりつつある。これまで,情報・電子系科学技術は,半導体やコンピュータ等の高度化・高機能化を通じて,経済や社会活動に大きな変革をもたらしてきている。今後は,さらに情報の量的・質的な増大が予測されており,これらの情報を適正に処理・伝送するため,知識処理や曖昧性の処理等の情報処理の高機能化,多様な入出力形態の情報の効率的で正確な伝達,情報処理・伝送のヒューマンインタフェース等の研究開発が強く望まれている。

このような認識の下に,科学技術会議では諮問第15号「情報・電子系科学技術に関する研究開発基本計画について」に対する答申(1989年3月)において,今後10年間程度を展望した重要研究開発目標及び研究開発のための推進方策を示した。

2) 重要研究開発課題

(1)素子等

高速画像処理,高速大容量情報伝送はもとより,高度なヒューマンインタフェースを実現するための,あるいは知的な情報の処理・伝達・蓄積等の発展につながる高速論理素子の研究開発及び大容量記憶素子の研究開発が不可欠である。

また,中・長期的な視点からすると,電子の量子的な振舞い,原子が人工的に制御された材料の特性,生体内のミクロな機能,構造等に関する物理的・化学的研究及びそれらの工学的利用のための研究開発が重要な位置を占めている。

具体的な研究課題としては,科学技術庁金属材料技術研究所の「液滴エピタキシー法による高性能光電素子用材料の創製」や,通商産業省の産業科学技術研究開発制度による「量子化機能素子の研究開発」,「超電導素子」,「バイオ素子の研究開発」,郵政省の通信総合研究所における「ミリ波・サブミリ波帯デバイス技術の研究開発」,電気通信フロンティア研究開発の一環としての「高度情報通信のための分子素子技術の研究開発」等がある。

(2)  情報の処理

高速化,処理容量の増大とともに,情報が持っている意味レベルの内容の理解や,機能自らが推論・学習・判断するといった高度かつ高機能な情報処理の実用化が期待されている。このため,ハードウェアの高度化・高機能化だけでなく,ソフトウェアの高度化・高機能化や新しい概念に立ったアルゴリズムやプログラム言語,アーキテクチャーの研究開発,オープンシステム化の推進が急がれている。

具体的には,あいまいな言語表現や知識表現を理解し,帰納推論・類推・学習等を行うファジイシステムやニューロコンピュータに関する基礎的・基盤的技術の研究がある。この分野の研究として,科学技術振興調整費により,「創造的研究開発支援のための自己組織型情報ベースシステムの構築に関する研究」,「センサフュージョンの基磐的技術の開発に関する研究」が実施されている。また,通商産業省ではリアル・ワールド・コンピューティング(RWC)といわれる「新情報処理技術開発」,「開放型基盤ソフトウェア研究開発」,産業科学技術研究開発制度による「新ソフトウェア構造化モデルの研究開発」が,電子技術総合研究所では「柔軟な知能情報処理に関する研究」,郵政省通信総合研究所での電気通信フロンティアの一環としての「次世代通信のための高次知的機能の研究開発」等が行われている。

(3)  ヒューマンインタフェース

本来,情報システムは人間の活動を支援し,豊かにするための道具であるが,現状ではどちらかといえば,人間側が大きな労力を費やして情報システム側に合わせることにより操作を行っている。今後,情報システムの能力を十分に活用していくためには,誰もが,それぞれの個性に応じて,手軽に操作できる,人間を中心に考える立場に立った高度なヒューマンインタフェースの構築が必要不可欠となっている。

このためには,人間の情報処理機能の解明を目指す認知科学や心理学に根ざした基礎的研究,創造性支援のための応用研究等が望まれている。

この分野の研究として,科学技術振興調整費により「知的生産活動における創造性支援に関する基盤的研究」が,郵政省では電気通信フロンティアの一環としての「ネットワーク・ヒューマンインタフェースの研究開発」が,また,通商産業省では「未来型分散情報処理環境基盤技術開発(FRIEND21)」や産業科学技術薪究開発制度による「ヒューマンメディア・熟達マシン技術」の調査研究等が進められている。

(4)情報の伝達

情報化社会の到来とともに通信への依存度が急速に増加しており,通信の高速化,大容量化,高度化に対する研究が強く望まれている。

有線系伝送路については,コヒーレント光通信方式などの超大容量・長距離伝送用,無線系伝送路については,ミリ波がら紫外領域にわたるより高い周波数領域用の発振器等の素子・部品・周辺回路,アンテナ,変調方式等の技術の研究開発が進められている。

さらに,将来の通信と目されている量子光通信など新しい原理に基づいた通信技術の研究,あるいは小型通信衛星や成層園無線中継システム等の新しい通信技術の研究も進められている。

通信の高度化としては,多様な接続形態を実現させる柔軟なネットワーク,高度なニーズに応え様々なサービス機能を付加するインテリジェントネットワークの構築等が期待されており,郵政省において先導的研究開発の一環として「高度三次元画像情報の通信技術に関する研究開発」等が進められている。

(5)社会活動への適用技術

(1)〜(4)の技術を人間社会へ適用させて,豊かで快適な生活の実現という観点から医療,教育,生産,芸術活動等を支援する技術についての研究開発が進められている。この分野の研究として,具体的には,通商産業省が産業科学技術研究開発制度により「人間感覚計測応用技術」の研究等を実施しており,今後さらにこの分野の研究開発の促進が期待される。

1994年度に実施される主な情報・電子系科学技術分野の研究課題は 第3‐4‐2表 に示すとおりである。

第3‐4‐2表 主な情報・電子系科学技術分野の研究課題(1994年度)



(3) ライフサイエンス

ライフサイエンスは,種々の生物が営む生命現象の複雑かつ精緻なメカニズムを解明し,その研究成果を保健医療,環境保全,農林水産業,化学工業等における,人間生活に係る諸問題の解決に役立てようとするものであり,健康で豊かな国民生活の実現に大きく寄与するものと期待されている分野である。

1) ライフサイエンス研究の基本的推進方策

我が国においては,1971年,科学技術会議が第5号答申において,ライフサイエンス振興の重要性を指摘して以来,国として積極的に推進することとしており,その後も同会議の答申及び,1984年8月に内閣総理大臣決定された「ライフサイエンスにおける先導的・基盤的技術の研究開発基本計画」等に基づき,ライフサイエンス研究の着実な推進が図られている。

2) ヒトゲノム解析研究の推進

ヒトゲノム解析は,ヒトの全DNAの塩基配列を読み取ることを目指した研究であり,がん,アルツハイマー病等各種疾病の原因解明・診断・治療,また生物の進化のメカニズムの解明など幅広いライフサイエンスの基盤となるものとして今日不可欠となっている。関係省庁においては,1988年の航空・電子等技術審議会第12号答申[ヒト遺伝子解析に関する総合的な研究開発の推進方策について」及び1989年の学術審議会の建議等に基づき研究を進めてきた。また,1990年9月には,科学技術会議ライフサイエンス部会ヒトゲノム解析懇談会が,ヒトゲノム解析の効率的な推進を図るために設置されている。これらを踏まえ,科学技術庁においては理化学研究所においてヒトゲノム解析材料の開発,DNA塩基配列決定技術の開発等の基盤整備を実施するほか,大学を中心に特定の遺伝子に着目した研究やゲノム情報の新たな解析手法の開発等が実施されている。農林水産省においても,1991年度からイネ・ゲノム解析研究を実施している。

さらに,1992年5月には世界各国におけるヒトゲノム解析の成果を一元的に収集・データベース化するGDB(ゲノムデ-タベース)を国際的な支援の下で運営していくことに合意するとともに,1994年2月には,日本科学技術情報センターにおいて,GDB日本ノードの運営を開始している。我が国のゲノム解析はここ数年でマッピングを中心として順調に進展してきており,他方,欧米でも我が国以上に進展してきている。この様な状況を踏まえ,新たに取組むべき課題を抽出するべく,1994年6月には,前述のヒトゲノム解析懇談会が報告をとりまとめている。今後この動向を踏まえ,ヒトゲノム解析の研究がさらに進展することが期待されている。

3) 組換えDNA研究の推進

組換えDNA研究は,基礎生物学的な研究はもとより,疾病の原因の解明,医薬品の量産,有用微生物の開発,農作物の育種等広範な分野において人類の福祉に貢献するものである。他方,組換えDNA実験は,生物に新しい性質を持たせるという側面があるため,その実施にあたっては慎重な対応が必要である。科学技術会議は1979年,第8号答申「遺伝子組換え研究の推進方策の基本について」において,組換えDNA実験の安全性を確保するための指針を提示した。これを受けて同年,内閣総理大臣により「組換えDNA実験指針」が定められ,我が国でも様々な分野において組換えDNA実験が実施されるようになった。その後の科学的知見の増大に伴い,指針は遂次改訂されており,1991年9月には,遺伝子導入技術の進歩等を踏まえた全面的な見直しによる9回目の改訂が行われた。本指針のもとで行われる研究は年々増加する傾向にあり,今後とも安全性を確保しつつ科学的知見の増大等に応じて指針の見直しを行っていくこととしている。

一方,文部省においては,1978年に学術審議会がこの分野の研究者の自主的意見を充分に取り入れ,組換えDNA実験の安全性を確保するための指針案を作成し,これに基づき,1979年に指針を告示した。

その後も学術審議会の審議に基づき8回改訂を行い,大学等における研究の着実な進展を図っている。また,組換えDNA技術の産業化段階における利用は,厚生省,通商産業省及び農林水産省がそれぞれの分野について作成した指針に基づくこととされており,産業レベルでの組換えDNA技術の応用に対応している。

遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与し疾患を治療する遺伝子治療臨床研究については,厚生省は1993年4月に厚生科学会議でガイドラインが定められ,1994年2月には指針を告示するとともに,同月,臨床研究の科学的妥当性,倫理性を確保するため,実施計画を個別に審査する「遺伝子治療臨床研究中央評価会議」を発足させている。

他方,文部省においても,大学等における遺伝子治療の臨床研究についてその適切な実施を確保するため,1994年4月に学術審議会の中に遺伝子治療臨床研究専門委員会を発足させ,この関係について審議を行う場を設けるとともに,1994年6月には大学等における遺伝子治療臨床研究についてのガイドラインを告示している。

4) 脳・神経研究の推進

脳は,数多くの神経細胞から構成される情報処理器官であり,認知,思考,感情,意志等の高次機能を司っている。脳・神経機能の解明は,その高次機能を分子・細胞レベルから個休レベルまで明らかにするものであり,豊かな社会生活を築く上で不可欠となってきている。また,脳・神経及び精神の疾患の病態解明・治療・予防や,新たな原理による情報処理システムを構築する上で多大な貢献をもたらすものと期待されている。

科学技術会議は1987年に「脳・神経系科学技術の総合的推進に関する意見」をとりまとめ,その中で,脳・神経機能の解明,脳・神経系疾患の原因解明及び予防,診断,治療法の開発等の今後推進すべき重点研究開発目標とその目標達成のための推進方策を提示した。航空・電子等技術審議会は,その後の研究開発の進状況展等を踏まえ,1994年6月の「脳・神経機能解明促進のための基盤形成に関する総合的な研究開発の推進方策について」(第19号答申)において,分子・細胞レベルからシステムレベル,高次機能レベルに至る一連の研究開発の重要性ばかりでなく,多角的アプローチや新しい技術開発等の必要性を指摘している。科学技術庁においては,理化学研究所で国際フロンティア研究システムの中で平成元年より思考機能研究等を実施している。

また,文部省,厚生省,郵政省,通商産業省も脳・神経機能解明のための関連の研究を実施している。さらに,ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)において,1990年より脳機能研究への国際的な支援が展開されている。

5) 糖鎖工学研究等の推進

ライフサイエンス関連施策は生命現象の解明から,動植物の工業的利用,更には人口・食糧問題等に至るまで非常に多岐にわたっている。

特に最近では,航空・電子等技術審議会第14号答申「糖鎖工学の基盤形成に関する総合的な研究開発の推進方策について」(1990年7月)に基づいて,科学技術庁,厚生省,農林水産省及び通商産業省の連携・協力の下,糖鎖の生体内での機能の解明及び構造の解析に着目した研究が進められている。

1994年度に実施されるライフサイエンス研究の主要なものを各省庁別にまとめると 第3-4-3表 のとおりである。

第3‐4‐3表 主なライフサイエンス分野の研究課題(1994年度)




(4) ソフト系科学技術

1) 研究開発基本計画の決定

複雑化・高度化した社会において人間の知的活動の支援が求められ,また,モノ重視の大量生産・梢費社会から脱皮し,ゆとりや豊かさを実感できる質の高い生活が求められている現在,科学技術のあり方は大きな転換期を迎えており,「人間や社会」の観点の重視が必須となっている。

このような時代背景に応えるものとして,1992年12月に科学技術会議諮問第19号「ソフト系科学技術に関する研究開発基本計画について」に対する答申が出され,1993年1月にソフト系科学技術に関する基本計画として内閣総理大臣決定された。

研究開発基本計画においては,ソフト系科学技術を「人間・社会,ハードウェアといった実体的対象の能力や機能を発揮させ,その最も有効な利用・運用を図るための科学技術」,言い替えれば,人間・社会に関する知見を基盤として,ハードウェアはいかに構成されるべきが,いかに動かすべきか,また,人間の知的能力や社会の活動能力をいがに支援し活性化していぐかについて考えていく科学技術体系と捉え,その推進に当たっての重要研究開発課題,研究開発の推進方策を示している。その概要は以下のとおりである。

(研究開発基本計画の概要)

‐基本的考え方‐

ソフト系科学技術の重要性が増大し,その推進を支える知見や技術も深化・発展しているとの認識の下に,研究開発の推進に当たって重視すべき視点として,

・基礎領域研究(人間特性理論等)の重視
・研究開発の計画的推進
・自然科学と人文・社会科学の融合促進

等が挙げられている。

-重要研究開発課題‐

知的特性や感性特性を始めとする人間特性の解明・理解を基盤として,

・知的活動支援,生活環境の快適性向上,複雑な社会的課題の把握
・人間に優しく,また社会と調和したハードウェアの実現

等の課題が示されている。

また,これら全体に大きな発展の糸口を与えるものとして,人間の思考・活動等におけるあいまい性の理解等の重要基盤領域が示されている。

‐推進方策‐

新しい総合的な科学技術体系であるソフト系科学技術振興のため,

・自然科学から人文・社会科学にわたる広範な分野の研究者を結集した体制の構築及びそのコアとなる研究開発センター等の整備・充実
・高速大容量で高度な情報処理設備や情報・通信ネットワーク等の研究開発基盤の整備・充実
・他分野の知見を修得できる環境の整備等による総合的な知見を有する人材の育成
・ユーザーと密着した研究開発体制の構築
・国際交流・協力の促進等のための施策の充実

等を推進することとしている。

また,関連する報告として科学技術庁長官の諮問機関である資源調査会においても,1992年7月に知的技術(人間の知的活動を支援又は代替する技術)について,その重要性,現状と将来展望及び今後の発展のための方策が取りまとめられている。(報告第115号)

2) 研究開発の推進

ソフト系科学技術の分野は未だ揺藍期にあるため,総合的推進施策等を検討するため,1994年度に産学官の関係者及び人文・社会系も含めた有識者から構成されるソフト系科学技術推進会議を設置し,研究者側と成果の利用者側が一体となって,我が国のソフト系科学技術に関する研究開発のあり方,推進方策,実社会からのフィードバックのあり方等について検討し,コンセンサスの形成を図ることとしている。

3) 研究開発の現状

ソフト系科学技術は,今後の科学技術に新たなブレークスルーをもたらす基礎的・先導的科学技術として,また,人文・社会科学と自然科学を融合した新しい総合的科学技術として重要な役割を果たすと期待され,近年,ソフト系科学技術に関連した研究機関や大学の学科の整備が進み,研究開発活動等の取り組みが活発化してきている。

1994年度に実施される主なソフト系科学技術の研究課題は 第3-4-4表 に示すとおりである。

第3-4-4表 主なソフト系科学技術分野の研究課題(1994年度)


4) 国際交流の現状

研究開発を推進するにあたっては,国際交流,協力を積極的に推進することとしており,1994年度においては,各国における研究開発成果については,各国における研究開発成果についての討議,研究開発の現状に関する情報交換等を目的とし,ソフト系科学技術に関する日米等の国際ワークショップ,及び「知的生産活動における創造性支援に関する国際シンポジウム」を開催することとしている。


(5) 先端的基盤科学技術

各分野の科学技術の発展に伴い科学技術が複雑化する中で,異なる分野の間で共通的に利用できる基盤となり,また,それらの分野を一層発展させる鍵となる技術の重要性が認識されてきた。例えば,極微小な物質を高精度で計測・操作する技術,リアルタイム・多次元の観測・表示技術等の計測・分析技術の推進が重要となっている。

一方,例えば,微小要素デバイス技術,微小制御技術,微小設計技術等を総合したマイクロエンジニアリング技術など,既存の分野の科学技術を結合した新しいタイプの基盤科学技術も発達してきており,通商産業省においては産業科学技術研究開発制度により,「マイクロマシン技術」の研究開発を行っている。

さらに,地球環境への影響を与えない永続的な生産活動,複雑な機械でも無理なく操作できるシステム,高齢化に対応した機械システムの構築技術など,自然環境との調和,人間・社会との調和など人類の活動を取り巻く複雑な問題を解決するための,様々な技術領域を融合して問題を解決するための基盤技術が重要となっている。

これらの先端的な基盤科学技術は,異分野科学技術の相互乗り入れを促進し,新しい応用分野の開拓や従来の発想では困難であった課題に対してのブレークスルーを提供することが期待されている。

また,1993年度から,同じく科学技術振興調整費により,「極限量子センシング技術の開発及びその利用のための基盤技術開発」が新たに開始されている。一方,通商産業省においては,産業科学技術研究開発制度により,原子分子1個1個を精緻に観察・操作する゛技術等の確立のため,「原子・分子極限操作技術(アトムテクノロジー)」の研究開発を行うとともに,千兆分の一(10‐15 )秒レベルで起こる超高速の現象を工学的に利用する「フェムト秒テクノロジー」の調査研究を行っている。

このような状況をふまえ,先端的基盤科学技術の研究開発を計画的に推進するため,内閣総理大臣から科学技術会議に対して,諮問第21号「先端的基盤科学技術の研究開発基本計画について」が諮問されており,現在,同会議において基本計画の策定のための検討が行われている。

また,1994年度に実施される主な先端的基盤科学技術分野の研究課題は 第3‐4‐5表 に示すとおりである。

第3‐4‐5表 主な先端的基盤科学技術分野の研究課題(1994年度)


(6) 宇宙科学技術

1) 宇宙開発

宇宙開発は,科学観測,通信,放送,気象観測,地球観測等を通じ,科学技術の進展や国民生活の向上に大きな役割を果たしている。

我が国の宇宙開発は,宇宙開発委員会が定めた宇宙開発政策大綱(1978年策定,1989年6月改訂)及びそれに沿って具体的内容を定めた宇宙開発計画に従い,宇宙開発事業団,文部省宇宙科学研究所を中心とする関係各機関の協力の下に進められている。

現行の宇宙開発政策大綱は,我が国の宇宙開発政策の基本方針として,ニーズの高度化・多様化への対応,宇宙開発活動の自在な遂行能力の保持及び国際協力の積極的な推進による国際的地位にふさわしい宇宙開発活動の展開,民間における宇宙開発活動の推進の3点を提示している。

また,近年の宇宙開発をめぐる国際情勢の変化,内外における宇宙開発利用の進展等を踏まえて,21世紀を見通した我が国の宇宙開発活動の長期的なビジョンを明らかにし,次期宇宙開発政策大綱の策定に資することを目的として,宇宙開発委員会は,1993年10月,長期ビジョン懇談会を設置した。本懇談会では,幅広い観点から論議が進められ,1994年7月,報告書が取りまとめられた。

宇宙開発委員会長期ビジョン懇談会報告書「新世紀の宇宙時代の創造に向けて」(概要)

1.宇宙開発の理念

「人類をはじめとする地球生命体の永続的な繁栄に寄与することを目指して,無限の可能性を秘めた未知なる宇宙を,人類共通の財産として最大限に有効利用できるようにすること」従って,宇宙に展開するシステムは「グローバルな社会資本」と位置づけ,地球規模で協力・協調して開発を推進。

2.宇宙開発の意義
1) 未知なる宇宙の探究により,人類の知的フロンティアの拡大,新しい文化の創造等に貢献する。
2) 人類の生存の確保と活動領域の拡大に貢献する(地球環境の観測,質の高い豊かな生活の実現など)。
3) 先端的な宇宙技術の開発により,将来の新技術,新産業の創出に貢献する。
4) 国際的な相互理解,相互信頼を深め,国際社会の安定と発展に貢献する。
5) 人類社会の発展を支える次世代の人材養成に貢献する。

3.宇宙開発に取り組む我が国の基本姿勢

今後とも平和目的の原則を堅持し,以下の基本姿勢のもとに宇宙開発へ の取り組みを強化していく。

1) 未知なる宇宙への挑戦及び地球の理解の一層の増進等,人類発展の基礎となる普遍的課題に対し積極的に取り組む。
2) 宇宙での人類の活動領域の拡大を目指し,未来の世代に継承する創造的な宇宙技術の開発に積極的に取り組む。
3) 世界が宇宙開発の理念と意義を共有し,協力しながら活発な宇宙活動を展開していくように努力する。

4.重点開発対象

当面の15年程度は以下のものについて重点的に取り組むことが必要。

1) 「全地球観測システム」の構築

地球環境を守るため,国際的な役割分担により共同して,低中高度軌道及び静止軌道に配置された多くの地球観測衛星からなる「全地球観測システム」(注)の構築を目指す。また,観測データの世界的な情報ネットワークの構築に向けて,関係国との協力を強化していく。

(注)2010年頃には20〜30機の衛星が運用される見込み。我が国はこのうち4分の1程度の分担を目指す。

2) 先進的宇宙科学計画などの推進

M‐Vロケットを用いた中型の衛星・探査機による月・火星・小惑星などの探査を行う。2000年代初期以降は上記計画に加えて,H‐IIロケットなどを用いた大型衛星・探査機による太陽,木星以遠の惑星などの探査等を実施する。月の探査については,2000年以降,無人月探査計画を実施する。

3) 「軌道上研究所」を中核とした活動の充実

宇宙ステーションの日本の実験棟JEMは,我が国初の「軌道上研究所」であり,これを中核として宇宙環境利用の研究の推進と関連技術の高度化を進め,あわせて有人宇宙活動に関する経験の蓄積と技術基盤の構築を図る。

4) 新しい宇宙インフラストラクチャーの開発運用

H‐IIロケットの2倍の打上げ能力(静止軌道に4トンの打上げ能力)をもつH-II発展型ロケット,宇宙ステーションへの物資の往還輸送などのための無人有翼往還機の研究開発を行う。

また,2010年代には,現在使用中のロケットに比べて,一桁小さい輸送コストの実現を目指し,革新的な設計思想に基づく完全再使用型輸送機の研究開発を行う。

さらに,宇宙環境利用実験の高度化等のため軌道上の無人プラットホーム,軌道上宇宙作業ロボット,データ中継追跡衛星システム等の研究開発を行う。

(1)人工衛星

我が国は,1970年に人工衛星「おおすみ」の打上げに成功して以来,1994年3月までに53個の人工衛星の打上げに成功しており,米国,旧ソ連に次ぐ世界第三の人工衛星打上げ国となっている。各分野ごとの主な人工衛星は以下のとおりである( 第3‐4‐6表 )。

(イ)科学の分野

第3‐4‐6表 我が国の人工衛星の打上げ実績及び計画



科学の分野においては,文部省宇宙科学研究所が中心となり,全国の大学等の研究者の参加の下に,これまでに22個の科学衛星の打上げに成功しており,近年においては,地球の夜側に存在する長大な磁気圏尾部の構造とダイナミックスに関する観測研究を日米協力等により行うことを目的とした磁気圏観測衛星(GEOTAIL),宇宙の最深部を対象とし,多様な天体のX線像とX線スペクトルの精密観測を行うことを目的とした第15号科学衛星「あすか」等を打ち上げ,所期の成果を挙げている。

また,超長基線干渉計(VLBI)衛星として大型精密展開構造機構等の研究及び電波天文観測の実施を目的とする第16号科学衛星(MUSES-B),月内部の地殻構造及び熱的構造を解明することを目的とする第17号科学衛星(LUNAR-A),火星大気の構造及び運動並びに太陽風との相互作用を研究することを目的とした第18号科学衛星(PLANET-B)の開発,活動銀河核などからのX線を観測するための第19号科学衛星(ASTRO-E)の開発研究等を進めている。

(ロ)観測の分野

静止気象衛星については,1989年9月6日に打ち上げられた「ひまわり4号」を運用中である。また,その後継機である静止気象衛星5号(GMS-5)の開発を行っており,1994年度に打ち上げる予定である。さらにその後継の気象ミッション機能に併せて航空管制業務のための機能を持つ運輸多目的衛星を1999年度に打ち上げる計画である。

海洋観測衛星「もも」は,海洋面の色及び温度を中心とした海洋現象の観測を行うこと等を目的とした衛星で,現在,1987年2月19日に打ち上げられた「もも1号」及び1990年2月7日に打ち上げられた「もも1号-b」を運用中である。

また,能動型観測技術の確立を図るとともに,資源探査,国土調査,農林漁業等のための観測を行うことを目的として,1992年2月11日に打ち上げた地球資源衛星1号「ふよう1号」を運用中である。さらに,地球環境のグローバルな変化の監視,地球観測分野における国際協力の推進を図ること等を目的とする地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS)の開発及び日米協力による全地球的規模のエネルギー収支のメカニズム解明等に不可欠な熱帯降雨の観測等を行うことを目的とする熱帯降雨観測衛星(TRMM)の開発並びに地球観測プラットフォーム技術衛星の広域地球観測技術の継承,発展等を図ることを目的とする環境観測技術衛星(ADEOS-II)の開発研究等を進めている。

(ハ)通信・放送の分野

通信衛星については,「さくら」の開発が行われて,現在,1988年2月19日に打ち上げられた「さくら3号-a」及び1988年9月16日に打ち上げられた「さくら3号-b」を運用中である。

放送衛星については,「ゆり」の開発が行われて,現在,1990年8月28日に打ち上げられた放送衛星3号-a「ゆり3号-a」及び,1991年8月25日こ打ち上げられた放送衛星3号-b「ゆり3号-b」を運用中である。

また,高度移動体衛星通信技術,衛星間通信技術及び高度衛星放送技術の通信放送分野の新技術,多周波数帯インテグレーション技術並びに大型靜止衛星の高性能化技術の開発及びそれらの実験・実証を行うことを目的とする通信放送技術衛星(COMETS)の開発を進めるとともに,衛星間通信システムに有効な光通信技術について,欧州宇宙機関(ESA)との国際協力により,同機関の静止衛星ARTEMISとの間で捕捉追尾を中心とした要素技術の軌道上実験を行うことを目的とする光衛星間通信実験衛星(OICETS)の開発研究等を進めている。

さらに,航空交通の安全比と効率性の向上を目的とした航空管制業務のための航空ミッション(航空航法を含む)機能に併せて気象ミッション機能も持つ,運輸多目的衛星を1999年度に打ち上げる計画である。

(ニ)人工衛星共通技術の分野

人工衛星の共通技術の開発を行う衛星としては,技術試験衛星「きく」が開発されており,現在,移動体通信実験等を目的として,1987年8月27日こ打ち上げられた技術試験衛星V型「きく5号」を運用している。また,H-IIロケット試験機の性能を確認するとともに,大型静止三軸衛星バス技術の確立を図り,あわせて,衛星による固定通信及び移動体通信並びに衛星間通信に関する高度の衛星通信のための技術開発及びその実験を行うことを目的とする技術試験衛星VI型(ETS‐VI)「きく6号」が,1994年8月28日に打ち上げられたが,アポジエンジンの不具合により,静止衛星軌道への投入が不可能となった。このため,宇宙開発委員会に特別調査委員会を設置して原因の究明及び今後の対策等について調査審議を行っている。その他,ランデブ・ドッキング技術や宇宙用ロボット開発の基礎となる遠隔操作技術等をこれまでの要素技術に関する研究成果を踏まえて,軌道上実験等の実施により確立するとともに,宇宙用ロボットに関して先行的な実験を実施することを目的とする技術試験衛星VII型(ETS‐VII)の開発等を進めている。

(2) ロケット等

(イ) M系ロケット

科学衛星打ち上げのため,L(ラムダ)ロケットの開発を経てM(ミュー)ロケットが開発された。M系ロケットは,全段に固休推進薬を用いたロケットで,現在,M‐3SIIロケットが使用されている。

また,1990年代以降の科学観測ミッションの要請に応えることを目的とし,各段を大型化するとともに機体構成の簡素化を図った3段式のM-Vロケットの開発を進めている。

(ロ) H‐IIロケット,J‐Iロケット

静止衛星等の人工衛星の打上げのため,N系ロケット,H‐Iロケットの開発を経て,現在,1990年代における大型人工衛星の打上げ需要に対処するため,2トン程度の静止衛星を打ち上げる能力を有する2段式のH‐IIロケットの開発を進めている。H‐IIロケットは,第1段,第2段ともに液休酸素・液休水素エンジンを採用した大型のロケットであり,1994年2月4日に試験機1号機の打上げに成功した。

朝日をあびて発射台を飛び立つH‐IIロケット試験機 1号機(1994年2月)

また,小型,安価な打ち上げ需要に対応するため,低軌道へ1トン程度の輸送能力を有するJ‐Iロケットの開発を進めている( 第3‐4‐7表 )。

(ハ)宇宙往還技術試験機

宇宙ステーション等への物資の輸送,回収などを可能とする無人有翼往還機の主要な技術の早期確立を目的とする宇宙往還技術試験機について,今世紀中にH‐IIロケットにより打ち上げることを目標として研究を進めている。

(3)宇宙環境利用,有人宇宙活動

(イ)第一次材料実験「ふわっと92」

第3‐4‐7表 我が国の主な人工衛星打上げ用ロケットの主要諸元

「ふわっと92」は,1992年9月に打ち上げられた米国のスペースシャトル「エンデバー」号に我が国の宇宙飛行士毛利衛氏が搭乗し,約8日間にわたり,宇宙環境の特性を利用して,我が国の材料実験22テーマ,ライフサイエンス実験12テーマ及び米国の実験9テーマを含めた計43テーマの実験が実施された。本計画は我が国の有人宇宙活動に必要な技術の修得に大きな意義を有するものと考えられる。

(ロ)宇宙ステーション計画

日,米,欧,加4極の国際協力により進められている宇宙ステーション計画は,低軌道(平均400km程度)の地球周回軌道に有人の宇宙ステーションを建設し,本格的な宇宙環境利用,有人宇宙活動の展開のための基盤の整備を目指すものである。我が国は独自の実験棟(JEM)をもって本計画に参加することとしており,日本人宇宙飛行士も搭乗し,長期間にわたり滞在することになっている。なお,本計画の枠組みを定める「宇宙基地協力協定」について,1989年9月5日に我が国が受諾,1992年1月30F日に米国が受諾し同日付けで日米間において本協定が発効した。

その後,国際状況の変化を踏まえ,1993年12月に日,米,欧,加合同でロシアの本計画への招請が行われ,ロシアの参加表明があった。

1994年3月にロシアが参加した新しい宇宙ステーション計画の全体構成等に関する技術面での大枠が各宇宙機関間で合意された。

(ハ)国際微小重力実験室(IML)計画

宇宙ステーション計画への参加に必要な技術及び経験の蓄積を目的として,国際協力により,米国のスペースシャトルを用いて第1次国際微小重力実験室(IML‐1)計画が1992年1月22日から約8日間にわたって行われ,我が国は2種類の実験装置を搭載し,実験に参加した。第2次国際微小重力実験室(IML‐2)計画では,1994年7月に我が国初の女性宇宙飛行士向井千秋氏が搭乗し,我が国提案のライフサイエンス実験8テーマ及び材料実験4テーマを含む81テーマの実験を行った。

なお,今回の15日間の宇宙飛行により,「コロンビア」号はスペースシャトル史上最長飛行時間の記録を更新した。

(ニ) その他

宇宙実験を行う機会の確保等を目的として,低軌道を数カ月にわたり周回させた後回収する再使用可能な宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)の開発を進めている。

(4)人工衛星,ロケット等の技術に関する基礎的・先行的研究

科学技術庁航空宇宙技術研究所をはじめ各機関において,人工衛星やロケットの技術に関する基礎的な研究,また,無人有翼往還機やスペースプレーン等の先行的研究を進めている。

(5)宇宙開発分野の国際交流

冷戦構造の崩壊に伴う米国,ロシアの協調の動きや,地球環境問題の深刻化に伴う地球観測衛星等による宇宙からの観測の重要性の増大を背景に,近年,宇宙分野における世界各国の協力の必要性が従来にも増して拡大している。

このようななか,我が国においては,1994年7月,日,米,欧,加の協力による宇宙実験計画実施のため,スペースシャトルに向井千秋宇宙飛行士が搭乗し,ライフサイエンスや材料系の実験を行った(IML‐2)他,ロシアとの間で,1993年10月に宇宙協力協定を締結するなどした。また,国際宇宙年(1992年)の精神を継承し,1993年から開催されている国際宇宙機関会議(SAF)における協力を引き続き行うとともに,1993年9月には,我が国の提唱で第1回目のアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)を開催している。

2) 航空技術

航空技術は知識集約性,技術先端性が高いため,その開発は単に航空輸送の発展をもたらすのみならず,他の分野への波及効果も高く,我が国が今後とも科学技術立国を目指して発展していく上で大きな役割を果たすものである。

我が国では;これまで民間輸送機YS‐11等の自主開発,ボーイング767等の国際共同開発並びに民間航空機用ジェットエンジンV2500の国際共同開発を実施することにより技術を蓄積し,国際的な舞台で活躍する技術水準までに成長してきている。民間航空機においては,国際共同による開発方式が今後ますます世界の主流を占める傾向にあり,現在我が国では,新型双発民間航空機ボーイング777の国際共同開発に参加しているほか,小型民間航空機YSX及び次世代の民間超音速輸送機開発の調査を実施している。

今後の航空機及び航空機エンジンの開発をさらに積極的に推進していくためには,技術氷準の一層の向上を図る必要がある。このため,航空・電子等技術審議会の建議や答申に沿って,航空技術研究開発の推進を図るための施策が講じられている。本審議会は,「航空技術の長期的研究開発の推進方策について」(諮問第18号)に対する答申を1994年6月に行っている。

科学技術庁航空宇宙技術研究所においては,我が国の将来の航空機開発に必要となる技術の確立を目指した研究が進められており,将来の高速航空機,無人有翼往還機,スペースプレーン等に必要となる空力技術,新複合材構造技術,飛行制御技術,推進系技術等の要素技術の研究を推進している。このほか,航空安全及び環境適合性に関する研究並びに電子計算機による数値シミュレーション等の基礎技術の研究を進めるとともに,各種風洞等の大型試験研究設備を整備し,関係機関の共用に供し,我が国の航空技術の発展を図る上で主導的な役割を果たしている。

運輸省電子航法研究所においては,航法・管制に関する技術について,航空交通の安全性を向上させるための研究等を実施しており,これらの研究は今後の航空輸送の発展を図るうえで重要なものとして期待されている。

通商産業省においては,低速からマッハ5程度までの広範な速度域において高い信頼性等を有する「超音速輸送機用推進システム」の研究開発を行っている。この研究開発には欧米のエンジンメーカーも参加している。


(7) 海洋科学技術

海洋は生物資源や鉱物資源等,膨大な資源を包蔵するとともに広大な空間を有しており,その開発利用は国土が狭小であり四方を海に囲まれた我が国にとって重要な課題である。さらに,海洋は地球環境変動に大きな関わりを有するとともに,海洋底プレートの動きは地震や火山活動の大きな要因と考えられていることから,その実態解明は急務となっている。このような背景の下,1990年代に入り,海洋の諸現象を全地球規模で総合的に観測・研究するためのシステム構築をめざした世界海洋観測システム(GOOS)計画が,国連教育科学文化機関(UNESCO:ユネスコ)政府間海洋学委員会(IOC)によって提唱され,1992年6月ブラジルで開催された環境と開発に関する国連会議(UNCED:地球サミット)で採択されたアジェンダ21においても,同計画の推進が盛り込まれている。今後,これら国際的な動向を踏まえ,地球環境問題に関連する海洋調査研究などの海洋科学技術に関する研究開発の推進が不可欠である。

1) 海洋科学技術の基本的推進方策等

海洋科学技術に関する研究開発を進めるに当たっての基本的考え方は,内閣総理大臣の諮問機関であり,海洋開発に関する基本的かつ総合的事項について調査審議を行う海洋開発審議会の答申に示されている。同審議会は,諮問「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」に対する1990年5月の答申において,今後の海洋科学技術の推進に関する基本的考え方として,

・地球的規模の環境変動の究明と海洋の実態解明のための海洋調査・技術開発の推進

・海洋に存する厳しい条件を克服し,新たな海洋開発の可能性を探究するための科学技術の推進

等の重要性を指摘している。

また,同審議会は諮問「海洋調査研究の展開とそれに関連する技術開発・基盤整備等我が国の海洋調査研究の推進方策について」に対する1993年12月の答申において,地球環境問題に対応した海洋調査研究の推進方策に関して

・大型海洋観測研究船の整備等海洋調査研究基盤の充実

・地球規模の海洋調査研究の計画的な推進

等の重要性を指摘している。

我が国の海洋科学技術は,この海洋開発審議会の答申を尊重しつつ,関係省庁の連携の下にそれぞれの所掌に応じて研究開発の推進が図られている。各省庁,における海洋科学技術に関する具体的施策は,海洋開発を総合的に推進するために関係省庁が緊密な連絡を図る場である海洋開発関係省庁連絡会議が毎年とりまとめる海洋開発推進計画に沿って実施されている。また,地球規模の海洋の諸現象を解明するため,関係省庁・大学等の連携のもと,世界海洋観測システム(GOOS)計画等の国際的な海洋調査研究プログラムに積極的に参加している。

2) 海洋科学技術に関する研究開発の推進

科学技術庁では,海洋科学技術センターが中心となって海洋科学技術に関する先導的・基盤的な研究開発を進めるとともに,関係各省庁・大学等の協力の下,総合的なプロジェクトを推進している。

このうち,海洋科学技術センターでは,地震予知に関連する海底地形,深海微生物等の生態等の調査のために必要な深海調査技術の研究開発を行ってきている。1993年度には,有人潜水調査船「しんかい2000」,「しんかい6500」,無人探査機「ドルフィン3K」等による深海調査研究活動を推進するとともに,一万メートル級無人探査機「がいこう」の開発を進めており,1994年3月にはマリアナ海溝の試験潜航において水深10,909mまで到達した。また,プレートテクトニクスや地球環境の変遷の解明を目指す深海掘削船システムの開発研究等を行っている。

有人潜水調査船「しんかい6500』

また,海洋観測については,海洋の実態解明を進めるため,熱帯域や北極域等において総合的な観測研究の実施,広域観測技術として海洋レーザーや音響トモグラフィー等の開発を行うとともに,地球規模の海洋調査研究を可能とする大型海洋観測研究船の整備に着手した。

さらに,沿岸域の適切な管理と開発に資するため,波力利用技術の研究開発や各地域において自治体との共同研究開発事業を推進した。

一方,関係省庁や大学の間における総合的な連携協力の下に,我が国及び東アジア地域の水産,気象等に大きな影響を与えている黒潮の大蛇行メカニズムの解明等を行うための海洋開発及び地球科学技術調査促進費による黒潮の開発利用調査研究,科学技術振興調整費による海洋の熱及び物質の移動現象の解明に関する研究を推進している。

文部省では,東京大学海洋研究所等が中心となって,海洋環境の変動の解明・予測,保全のための総合的観測システム構築を目的とする世界海洋観測システム(GOOS)に関する基礎研究,深海底を掘削し,海洋底プレート運動・構造等の解明に資する国際深海掘削計画(ODP)及び西太平洋海域共同調査への参加,海洋の物質循環の解明に資するオーシャンフラックス研究等の海洋に関する学術研究を行っている。

農林水産省では,水産関係試験研究機関が中心となって,バイオテクノロジーを導入した養殖業振興のための技術開発をはじめ,水産資源の培養,漁場環境の保全,水産物の持つ人の健康に有用に働く機能の適正な評価とその有効利用のための研究開発等を行っている。

通商産業省では,資源エネルギー庁,工業技術院地質調査所等が中心となって,海底鉱物資源の開発と環境影響予測,海底地質の調査等を行っている。

運輸省では,海上保安庁においては水路業務運営のための海洋観測,深層海洋における物質の拡散に関する研究等を,気象庁において気象業務推進のための海洋気象観測やエルニーニョ現象の解明等,海洋気象現象の把握及び気候変動に関する調査・研究等を行っている。

郵政省では,通信総合研究所において,海洋油汚染・海流・波浪などの計測技術及び予測技術を確立するための高分解能3次元マイクロ波映像レーダの研究等を行っている。

建設省では,土木研究所において海浜の安定化と混合砂の分級に関する研究,熱帯地域における海岸の保全手法に関する研究等を実施している。また,国土地理院において,沿岸海域基礎調査等を行っている。

なお,海洋開発推進計画に基づき関係省庁が1994年度に実施する主な海洋科学技術分野の研究開発の課題は, 第3-4-8表 のとおりである。

第3‐4‐8表 主な海洋科学技術分野の研究課題(1994年度)



(8) 地球科学技術

地球の諸現象を解明しようとする研究が,気圏,水圏,地圏及び生物圏における各分野において進められている。近年の人工衛星を用いたリモートセンシング技術等の観測技術の発達や,スーパーコンピュータによる数値シミュレーション技術の発達は,地球に関する科学技術の研究に進歩をもたらすこととなった。

このように,人類の長年にわたる地球に対する探求を通じ,近年,地球及び地球の諸現象に関する知見の蓄積が急速に進んでおり,地球を一つの系として把握することが可能な段階になっている。これらの成果を地球の諸現象の予測・予知や人類の持続的発展に利用するとともに,多くの未知の領域への探求を一層活発に行うべきとの要請が高まってきている。また,人間活動の増大が原因と考えられる地球規模の環境変動が世界的に大きな問題となっており,地球は無限であり不変であるとの認識を改め,人間と地球の自然とが調和・共生する科学技術への指向が強くなってきている。

このような状況を踏まえ,我が国においては,科学技術会議の答申を受けて,1990年8月に,10年程度を展望した「地球科学技術に関する研究開発基本計画」が内閣総理大臣決定され,地球を深く理解し,その成果を活用して人類の繁栄に資する科学技術である地球科学技術に関し,研究開発を推進するに当たっての基本的考え方,重要研究開発課題並びに地球科学技衛を推進するに当たって政府が担うべき役割及び実施すべき施策が示されている。

地球で生じている複雑な現象とそのメカニズムをより詳細に解明し,健全な環境を維持しつつ持続的発展を図るためには,関連する科学技術を統合した研究開発を推進することが必要である。また,常に地球全体に目を向けた巨視的な観点と,長期的な展望に基づいた研究開発を行うことが必要である。

地球科学技術を推進するに当たり,地球に関する科学的知見を深めるだけでなく,科学的知見を得るために観測・解析・予測技術の開発の進展を図るなど,科学的知見の蓄積と技術の開発を密接な連携の下で進めること等が必要である。また,一国で対応できないものが非常に多く,高度な科学技術水準を要するものが多いため,各国の協力の下に実施するとともに,我が国に対する国際的期待を踏まえ,我が国にふさわしい国際的活動をより積極的に実施することが必要である。

1) 地球的規模の諸現象の解明に係る研究開発等

地球温暖化,オゾン層破壊,異常気象,地震,火山噴火等の地球に関する諸現象は,我々人類の社会生活と極めて密接な関連を有し,重大な影響を及ぼすおそれがあることから,その現象を科学的に解明し,適切な対応を図ることが強く要望されている。

また,地球科学技術が対象とする事象は,地球温暖化,地殻変動等,時間的にも空間的にも広がりを有し,一国のみの問題にとどまらないものである。このため,研究開発を進めるに当たっては,グローバルパートナーシップを確保することが極めて重要であり,世界気候研究計画(WCRP),地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)等の国際的な研究計画に積極的に参加するとともに,外国の研究機関等と共同研究を進めることが重要である。特に,我が国はアジア太平洋地域に位置し,経済的にも域内の各国と密接な関係を有することに鑑み,本地域に重点を置いた研究開発を推進することが必要である。

我が国においては,各省庁が自らの予算によって地球的規模の諸現象の解明等に係る研究開発を実施するとともに,科学技術振興調整費海洋開発及地球科学技術調査研究促進費,地球環境研究総合推進費により,関係省庁の国立試験研究機関や大学 さらには海外の研究機関等の広範な分野の研究能力を結集し,地球的規模の諸現象の解明,人間活動が地球環境に及ぼす影響の評価等総合的,国際的な研究開発を積極的に実施している。

国際的な取り組みとして,地球環境変動等における衛星データ,地上観測データ等の地球観測データについて,日米間のネットワークによる利用の促進を図るため,1994年5月,日米包括経済協議における地球観測情報ネットワーク(GOIN:Globa1 0bservation Informa‐tion Network)第3回共同作業部会において日米間のデータ流通量の評価,データ政策の検討,デモンストレーションの実施等について検討を行った。また,地球変動研究のための地域的ネットワークとして「アジア・太平洋地球変動研究ネットワーク(APN:Asia-Pacific Network for Globa Change Research)」構想に関して関係省庁とともに積極的に推進しており,アジア太平洋地域における研究ネットワークの構築に向けた検討を行うため1994年1月東京においてワークショップを開催し,2つのワーキンググループの設置を決定した。

現在,関係省庁において進められている地球科学技術に関する研究開発のうち主なものは 第3‐4‐9表 のとおりである。

第3‐4‐9表 主な地球科学技術分野の研究課題(1994年度)



2) 地球観測技術等の研究開発

地球的規模の諸現象の解明を図る上で必要な情報を集積するためには,地球観測により地球に関する情報を得ることが必要であり,地球観測技術の研究開発が重要である。そのため,1993年1月に,航空・電子等技術審議会より第17号答申「地球環境問題の解決のための地球観測に係る総合的な研究開発の推進方策について」が取りまとめられている。

現在,我が国では,この答申等に基づき地球観測衛星の研究開発,深海潜水調査船をはじめとする海洋観測技術の研究開発等地球観測のために必要な技術の研究開発を実施している。

(1)地球観測衛星

人工衛星による地球観測は,広範囲にわたる様々な情報を繰り返し,連続的に収集することを可能とするなど,極めて有効な観測手段であり,現在,特に地球環境問題の解決に向けて,国内外の関係機関と協力しつつ,総合的な推進を行っている。

宇宙開発事業団においては,海洋観測衛星1号「もも1号」及び1号-b「もも1号-b」,地球資源衛星1号「ふよう1号」を運用しているほか,地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS)及び熱帯降雨観測衛星(TRMM)の開発を関係機関との協力の下に進めており,通商産業省においては,米国航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星である極軌道プラットフォーム1号(EOS-AMl)に搭載する資源探査用将来型センサ(ASTER)の開発を進めている。また,衛星を用いた地球環境の観測と処理手法を確立するため科学技術庁において,関係機関との協力の下,地球環境遠隔探査技術等の研究等を推進している。

また,こうして得られた人工衛星データの流通を図ることが重要であることから,科学技術庁においては,国際ネットワーク化に向けたデータベースの整備を実施している。

また,このような地球観測衛星による観測は国際協力の下に行うことが重要であり,このため地球観測衛星委員会(CEOS),極軌道プラットフォーム調整会合(EO-ICWG)等の国際調整の場に積極的に参加し,貢献している。

(2)海洋観測技術

海洋は,地球的規模の諸現象に大きく関わっており,その果たす役割の解明が重要な課題となっている。このため,海洋科学技術センターにおいて,海洋音響トモグラフィー等海洋観測技術の研究開発を推進するとともに大型海洋観測研究船の整備に着手した。


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