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第1部   いま,世界の中で
第2章  主要国の科学技術政策動向(各国編)
第3節  アジア太平洋地域
5.  マレーシア



(1) 研究開発資源

マレーシアにおいては,現在のところ民間を含んだ科学技術統計データは整備されていないので,以下では主として政府について述べる。

マレーシアの研究費は,1994年には1億16百万リンギ(プロジェクト予算であり,人件費,設備費等は含まない)である。また,1990年の公的部門の研究機関及び大学における研究科学者数は6.5千人である。


脚注:1リンギは,1990年において53.5円,1991年において49.0円,1992年において49.7円である。(工MF為替レート)


(2) 科学技術行政体制

マレーシアでは科学技術環境省を中心として,科学技術関係機関が整備されている( 第1-2-マレーシア1図 )。

-科学技術関係閣僚会議‐

科学技術関係閣僚会議は,科学技術発展の過程に対する国家の決意と指導力を発揮するため,首相を議長として設立された。この閣僚会議のメンバーは,首相の他,科学技術環境,国際貿易産業,教育,大蔵,人的資源の各大臣であり,現行の科学技術に関する政策,戦略,プログラムを調査・評価し,これらが国家開発目標に合致することを期するとともに,国の短期,中期,長期的な科学技術開発のための,政策,戦略,プログラムを策定し,進捗状況を把握し,評価することを目的としている。

‐国家科学研究開発会議‐

第1-2-マレーシア1図 マレーシアの主な科学技術行政体制及び試験 研究機関

科学研究活動を調整し,監視し,国の開発要求,目標に合わせるため,1975年に国家科学研究開発会議(MPKSN)が設立された。国家科学研究開発会議の機能は,科学技術関係閣僚会議,科学技術環境相等に対して以下の項目について助言することである。

1) 科学技術政策の立案
2)優先分野の策定
3) 科学技術活動の調整,施行,評価
4) 公的,民間部門における科学技術の利用
5)社会における科学技術に対する認識の強化方策
6) 工業技術開発行動計画や政府により承認された他の行動計画の勧告の実施状況を監視

本会議は,総理府副長官を議長とし,関係省の次官,大学の副学長,国立試験研究機関の長,産業界の代表で構成される。円滑で効果的に機能させるために,科学技術開発管理委員会及びIRPAプログラム調整委員会の2つの常設委員会を設けており,委員会の下に5つの作業部会と5つのパネルが置かれている。

-科学技術環境省

マレーシアの科学技術行政の中核となる科学技術環境省は,1973年に技術・研究及び自治省として発足し,1976年に環境部門を加えて科学技術環境省として改組された。科学技術環境省の目標は,国家発展のための科学技術開発活動を発展・展開すること,及び達成された進歩が生活の質と国の天然資源に悪影響を与えないことを確保することである。科学技術環境省の戦略は,以下のとおりである。

1) より適切な研究プログラムの策定・管理により,研究開発活動を推進する。
2) 科学技術に対して理解のある社会をつくる。
3) マレーシア独自の技術を推進,開発し,技術移転の機構を改善する。
4) 新技術を採用し,これに適応できるようするため,マレーシア人の能力を向上する。
5) より適切に調整された資源計画により,汚染を制御し,環境の自然な状態を守る活動を管理する。

(3) マレーシアの科学技術政策

(マレーシア計画)

マレーシア計画は,1966年から開始された国家経済社会開発5カ年計画である。第5次マレーシア計画(1986年〜1990年)においては,科学技術開発面においてはかなりの進展がみられ,研究開発費や研究開発活動,の量的な面だけでなく,管理面,政策面においても進展があったとされている。

第6次マレーシア計画(1991年〜1995年)における科学技術政策の目標は,高い経済成長を維持し,2020年までに先進科学技術工業社会を築くため,継続的な科学技術活動を確保することにある。このため,最新の先端技術を,特に技術,情報が重要視される分野に導入し,活用するための方策を講じることとし,海外からの直接投資,技術導入等を重要な手段としている。

政府は,国内産業の技術革新力を高めるため,自動製造技術,新素材,バイオテクノロジー,エレクトロニクス,情報技術の5つの重要技術分野の一層の開発を進めることとし,革新的技術の開発を促進するため長期計画を策定した。

(重点研究開発推進制度)

第1-2-マレーシア2表 マレーシアの分野別研究開発予算配分

社会経済発展を進めるために必要な技術基盤を形成するため,国家の研究開発資源を重点分野に投資することを目的として,1988年に重点研究開発推進制度(IRPA制度)が設立された。第6次マレーシア計画ではこの制度の下で,農業,工業,医学,戦略,社会科学の5つの分野について,合計5億88百万リンギが配分されており,全体で29の研究開発機関,大学が資金を受け,726の研究開発プログラムが支援されている。1991〜1993年の期間に,第6次計画の55.2%にあたる3億25百万リンギが支出されており,1993年は1億21百万リンギ,1994年は1億16百万リンギの研究開発資金が配分されている( 第1-2-マレーシア2表 )。

(工業技術開発行動計画)

工業基本計画(IMP)を補完することを目的として1990年に科学技術環境省により導入された工業技術開発行動計画(APITD)は,健全な国内技術基盤を形成するための種々の広範囲にわたる戦略とプログラムを提供している。この計画は,国家の科学技術能力を強化するための手段として,自主技術を開発,促進するために選ばれた輸入技術を適用するとともに,近代科学技術に一層理解のある社会を含む必要な基盤を開発する必要性を指摘している。

工業技術開発行動計画は,5つの戦略的強化方策に分類された42の勧告を提示しており,計画の目標は,2000年までに研究開発費を対国民総生産比2%まで増加させるとともに,このうち少なくとも,60%は民間部門の寄与としている。


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