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第1部   いま,世界の中で
第2章  主要国の科学技術政策動向(各国編)
第3節  アジア太平洋地域
4.  タイ



(1) 研究開発資源

民間を含んだ科学技術統計データは十分には整備されていないので,以下では主として,政府について述べる。

タイの研究開発予算は,1991年度は39億3千万バーツで対国民総生産比は0.16%,政府予算に占める割合は1.0%である。また,1991年の研究者数は9.8千人である( 第1-2-タイ1表 )。


脚注:1バーツは,1987年において5.62円,1989年において5.37円,1990年において5.66円,1991年において5.28円である。(IMF為替レート)

第1-2-タイ1表 タイの研究開発資源


(2) 科学技術行政体制

タイでは科学技術環境省を中心として,科学技術関係機関が整備されている( 第1-2-タイ2図 )。

‐科学技術環境省‐

1979年に,それまでは各機関で個別に行われていた科学技術活動を統一的な方針の下に総合的に行う,科学技術政策を担当する中心的な行政機関として,科学技術エネルギー省が設立された。さらに,1992年6月には,同省の環境担当部門の拡充と併せて,科学技術環境省(MOSTE)と名称変更がなされた。

同省は科学,技術の政策立案,促進の中心機関であり,主な活動としては次のとおりである。

1) 科学,技術,エネルギー及び環境に関連した政策,計画,枠組,プロジェクトの策定
2) 最大の社会経済的な利益と国家安定をもたらす効率的な業務と良好な調整のために,政策,計画,枠組,プロジェクトに沿って,科学,技術,エネルギー及び環境に関係した業務の管理,指導及び実施
3) 科学,技術,エネルギー及び環境に関連した実施計画の実行と,業務のフォロ一アップと評価
4) 関係した計画,枠組,プロジェクトを,常に適切で時代に即したものに改善
5) 生産・市場に向けた国内の技術の開発
6) サービスの提供と国内外の技術移転の促進
7) 科学,技術,エネルギー及び環境にとって重要なデータの調査,解析,研究及び提供
8) 科学,技術,エネルギー及び環境に関連した研究・開発成果の収集及び普及
第1-2-タイ2図 タイの主な科学技術関係機関

‐国家研究評議会‐

首相を議長とする国家研究評議会(NRCT)は科学技術環境省の下に専任の事務局を置き,自然科学,社会科学研究の支援(大学等を含む研究者への研究費の配分),国際的な協力などにより,国家レベルでの研究活動の促進を図るとともに,研究開発政策の立案等に積極的な役割を果たしている。

‐国立科学技術開発事業団‐

国立科学技術開発事業団(NSTDA)は1991年12月に科学技術開発法により設立された,資金提供及び研究組織であり,それまで科学技術環境省め管轄下にあった以下の1つの事務局と3つの国立センターから成り立っている。

1) 科学技術開発委員会事務局(STDB)
2) 国立遺伝子・バイオテクノロジーセンター(NCGEB)
3) 国立金属・材料技術センター(MTEC)
4) 国立電子・計算機技術センター(NECTEC)

国立科学技術開発事業団の重要な役割としては,第1に国の経済的,社会的レベルを引き上げるとともに,生産及びサービスの供給能力を増加するため,科学及び技術の知識及び能力を強化するとともに,すべての方面での国家発展のため,国内及び海外から技術の消化・移転のための能力の開発を行う。

第2に,サービス等の活動と同様に,結果を応用させることにより,工業・農業生産の製品や過程を改善することを目的として解析作業や研究を行うとともに,新しい製品,新しい過程,新しいサービス,新しい活動につながる解析,研究を行う。さらに,結果の普及及び商業生産段階に向けたより一層の開発を行う。

‐タイ科学技術研究所‐

科学技術環境省内のタイ科学技術研究所(TISTR)は,総合的な研究開発機関であり,主な機能は以下のとおりである。

1) 国の経済的,社会的発展のための研究の実施と,政府機関及び民間企業への科学的・技術的サービスの提供
2) 経済,環境,健康,国民の福祉に適した自然資源の利用を促進するため,科学的・技術的研究を実施
3) 政府の政策に沿って,農業,工業,商業において国の利益となる科学的,技術的研究の成果を普及することにより,生産性を改善
4) 科学技術研究者の教育
5) 試験・測定及びその他の科学的・技術的サービスの提供

(3) タイの科学技術政策

(国家経済社会開発5カ年計画)

タイでは1961年から国家経済社会開発5カ年計画が策定され,最初の科学技術計画は第5次5カ年計画(1982年〜1986年)にあらわれた。

第7次経済社会開発計画(1992年〜1996年)中では,科学技術発展の目標として以下の目標が設定されている。

1) 農業,工業の生産性向上のための技術を開発・利用
2) 科学技術人材の増加
3) 官民の研究開発投資の増加

(国家研究開発政策及びガイドライン)

現在のタイの科学技術政策については,国家経済社会開発計画(第7次:1992年〜1996年)の実現に向けて,国家研究評議会の審議を経て作成された「国家研究開発政策及びガイドライン」(第4次:1992年〜1996年)がある。特に,経済的・社会的発展を推進するため,タイ政府は,その生産性と国際的競争力を高め,国民全体の生活の質を向上させるための,主要な要因としての科学技術能力を高めようとしている。

具体的な施策は以下のとおりである。

1) 公的,民間部門の科学技術開発での協力を推進することにより,データ処理領域の確立を含む農業,工業,サービス部門の生産性を増加する。
2) 技術的研究開発における技術移転を含む公的及び民間部門間の密接な協力を奨励し,国の経済的ニーズに沿った方向,優先度,目標を決定する。
3) 適切な予算と人員を配分することにより,公的部門の研究開発を支援して,国際競争力を高める。適正技術開発に関する応用研究に重点を置くことにより,国内製造業,特に小規模企業が生産と雇用を拡大できるようにする。
4) 科学技術人材の継続的な増加を加速する。このため,奨学金及び国内外での訓練と研究機会をより一層与えることにより,民間部門に対する支援も行う。
5) 輸入に代わる新製品を開発するために,民間部門の科学技術研究開発投資を促進するため,優遇税制やその他の特典を与える。
6) 優遇税制を与えたり,技術移転を支援するために外国人専門技術者のタイでの労働を奨励することにより,外国からの近代技術移転を促進する。
7) 科学技術開発で各国との協力を拡大する。

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