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第1部   いま,世界の中で
第2章  主要国の科学技術政策動向(各国編)
第3節  アジア太平洋地域
3.  インドネシア



(1) 研究開発資源

インドネシアの1991年の研究費は約5千億ルピアであり,対国内総生産比は0.2%である。組織別負担では,政府が約4千億ルピアを支出し,製造業部門が残りの大部分を支出している。使用組織別にみると,政府が31百億ルピア,製造業部門が16.5百億ルピア,公立大学が2.5百億ルピアを使用している。

インドネシアの1991年の研究者数は,1万7千人であり,その内訳は政府が5.4千人,産業が3.7千人,高等教育機関が7.8千人である。


脚注:1ルピアは1990年において0.0786円,1991年において0.0691円である。(IMF為替レート)


(2) 科学技術行政体制

インドネシアの本格的な科学技術活動は1952年のインドネシア科学委員会の設置に始まる。1962年,同委員会は研究省に改組されたが,その後研究省は廃止され,研究省が所管していた業務は,省庁には属さず大統領に直結したインドネシア科学院(LIPI)によって実施されることとなった。特に1978年にスハルト大統領が,研究・技術担当国務大臣に当時在外のハビビ氏を迎え,,同国の科学技術政策を一任してからは,同大臣を中心として急速に体制整備が進んだ。以下ではその主な機構について紹介する( 第1-2-インドネシア1図 )。

第1-2-インドネシア1図 インドネシアの主な科学技術関係行政機構

‐研究技術担当国務大臣‐

研究技術担当国務大臣(MENRISTEK)は,同国におけるすべての研究及び技術開発活動に関する政策の立案,優先付け及び調整を行い,大統領に対して直接報告することをその任務としている。

‐国家研究会議‐

国家研究会議(DRN)は,研究技術担当国務大臣に対する諮問機関として1984年に設けられたもので,教育,科学,研究及び技術応用のつながりを強化して,同国の早期工業化に向けた研究技術計画を立案し,その実施をフォローすることを目的としている。

‐インドネシア科学アカデミー‐

インドネシアにおける科学技術の振興とその利用の促進を図るための最高の機関として1990年にインドネシア科学アカデミー(AIPI)が設置された。本アカデミーには,工学,医学,社会科学,基礎科学及び芸術・文化の5部門が設けられており,現在,インドネシアにおける科学の現状を評価し,適切なプログラムを提案するための審議を行っている。

‐技術評価応用庁‐

技術評価応用庁(BPPT)は,同国の国家開発において必要とされる科学及び技術の評価,選択及びその応用を図ることを目的として,1978年に大統領直属の機関として設置された。その後科学技術の重要性の高まりに伴い,1982年及び1991年に改組されている。その主な任務は,

1) 国家開発に必要なあらゆる技術の評価及び応用に関する政策の立案
2) 技術の評価及び応用に関する計画実施の総合調整
3) 技術の応用に関し政府及び民間部門に対するサービスの提供
4) 国家開発のための技術の開発・応用政策を支援するための業務

となっている。

-インドネシア科学院‐

インドネシア科学院(LIPI)は,大統領に直結する独立機関として,1967年に設置された。現在の主な任務は,

1) 政府全体に対する科学技術に関する助言と提言
2)社会科学を含む広範な試験研究の実施
3) 科学技術情報の提供,工業標準の作成,標準機器の更正等の各種サービスの提供
4) 技術の移転促進

となっている。

-戦略企業庁‐

戦略企業庁(BPIS)は,1989年に研究技術担当国務大臣を長官として設立され,

1) 国の開発及び国の安全保障に寄与するための戦略産業の育成
2) 戦略産業の運営を統合的,効率的に行うための調整
3) 戦略産業の職務,運営の管理

を任務として,10の国営企業を所管している。


(3) インドネシアの科学技術政策

(経済開発5カ年計画による科学技術への取り組み)

インドネシア政府のマクロ政策の基本は,経済開発5カ年計画であり,この計画に沿って,科学技術分野ではそれぞれ( 第1-2-インドネシア2表 )に示すような目標を掲げ,体制の整備,人材の確保,試験研究設備の充実等の方策を講じてきた。

1994年4月から始まった第6次5カ年開発計画における科学技術政策には5つの主要な目標があり,これらの目標の実現のために6つの施策がある。また,開発プログラムとして5つの主要プログラムと2つのサポートプログラムがある( 第1-2-インドネシア3表 )。

第6次5カ年開発計画における科学技術関係予算では,約3兆63百億ルピアの支出が計画されている(第6次5カ年開発計画に記載されている「科学技術部門」の開発予算( 第1-2-インドネシア4表 )。

第1-2-インドネシア2表 過去5次の5カ年開発計画における目標と体制整備

第1-2-インドネシア3表 第6次5カ年開発計画の内容

第1-2-インドネシア4表 第6次5カ年開発計画における科学技術分野の開発予算計画

(長期的目標)

第2次25カ年長期開発計画はインドネシアの長期的発展の目標を定めた計画であり,現在の計画の期間は1994年度からの25年間を対象としている。同計画においては,科学技術開発の目的を「投資の拡充と人材の充実」においている。

資金面では,民間をはじめとする政府以外の部門による資金負担及び科学技術開発活動を増加させることを目標に掲げている。資金負担については,現在政府が約80%を負担しているが,25年後には,これが20〜30%にシフトすることが期待されている。また現在,科学技術関係経費の70%が政府機関により使用されているが,これも25年後には60〜70%が政府以外の部門により,国際市場における競争力強化を目指し,製品品質や生産工程の向上のために使われることが期待されている。また,これらにより,現在対国内総生産比0.3%の科学技術関係経費が,2%に向上することが期待されている。

人材面では,近隣諸国や,アジア太平洋地域の工業国に対する競争力を得るため,現在の年間当たり1万5千人の理科系大学卒業者を,25年後には6万5千人に増加させる。一方,3年制の高等教育課程ないし専門学校を卒業した技術者を増加させ,25年後には,様々な教育レベルの能力ある研究者,教員,技術者,オペレータ,調査員等を含めて科学技術に関わる人材を,全インドネシア人口の1%近くにもっていくことを目標としている。


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