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第1部   いま,世界の中で
第2章  主要国の科学技術政策動向(各国編)
第2節  欧州
3.  イギリス


イギリスにおいては,1992年4月の第2期メージャー政権誕生以来,政府が科学技術の振興により積極的にかわり,産業競争力,技術力を重視する方針が明確に打ち出された。科学技術局(OST)の新設をはじめとする科学技術政策の総合調整機能の強化,政府の今後の科学技術政策及びそれを実現するための施策を明らかにした「科学・工学・技術白書」の発表,科学技術行政体制の再編等の科学技術政策が展開されている。以下では,その研究開発活動と科学技術政策の最近の動向をみていくこととする。


脚注:1ポンドは,1985年において309円,1990年において258円,1991年において238円,1992年において224円,1993年において167円である。(IMF為替レート)


(1) 研究開発資源

(研究費)

イギリス国内で使用された研究費は1992年において126億ポンドとなっており,国内総生産の2.12%に相当する( 第1-2-英1図 )。研究費の対国内総生産比は年々減少傾向にあり ( 第1-2-英2図 ),先進主要国と比較した場合,日本2.99%,米国2.61%,ドイツ2.56%,フランス2.42%,いずれも1992年)の中で最も低くなっている。

第1-2-英1図 イギリスの研究費の推移

第1-2-英2図 イギリスの研究費の対国内総生産比の推移

第1-2-英3図 イギリスの研究費の組織別負担割合の推移

第1-2-英4図 イギリスの研究費の組織別使用割合の推移

また,研究費の負担及び使用について組織別にみてみると,負担割合は産業の占める割合が最も大きく約50%を占めるが,政府負担は年々減少傾向にあり,1992年は35.4%となっている。また外国による負担割合が他の先進主要国と比較して高く,約10%を占める。使用割合についてみると,産業の占める割合が最も大きく全体の60%以上を占め,政府及び高等教育機関がこれに続いている( 第1-2-英3図 , 第1-2-英4図 )。

(研究人材)

研究者数は,1992年において12万3千人であり,組織別では企業の研究者が7万1千人と最も多く,大学の3万1千人がこれに次いでいる。研究者数の推移についてみると,1988年には13万7千人であったものが,毎年数千人ずつ減少している。その主要な要因は企業における研究者の減少である( 第1-2-英5表 )。

第1-2-英5表 イギリスの研究者数


(2) 科学技術行政体制

イギリスにおける科学技術行政は,内閣府内の科学技術局を中心として行われている。現在の科学技術行政体制は,1992年4月の下院総選挙後,二期目に入ったメージャー政権が着手した科学技術政策の見直しに基づく再編が行われたもので,1992年の組閣前と比べると大きく異なっている。1992年4月組閣前及び1994年4月現在の科学技術行政機構の概略図を, 第1-2-英6図 , 第1-2-英7図 にそれぞれ示す。以下に,科学技術局の新設,貿易産業省の再編,科学技術会議の設置等の動きについて触れることとする。

なお,政府の科学技術政策は,1993年5月に発表された「科学・工学・技術白書」(以下,「白書」という。)において明らかにされた。白書は,学界や産業界の研究関係者から意見を聴取した結果に基づいて作成されたものであり,「我々の潜在力の実現:科学,工学及び技術のための戦略」との標題が付けられている。この中で,潜在力を持つイギリスの科学技術力を,産業界との連携により経済競争力に結び付けていくべきであるという認識に基づき,組織改編を含む様々な施策が提言された。

(科学技術局の新設)

1992年4月,1960年代の初期以降置かれていなかった科学技術担当大臣が置かれ,政府の科学技術政策を調整する権限が首相の代理である同大臣のもとに集中された。これと同時に,教育科学省の科学部門と首相科学顧問事務局が併合され,内閣府内の公務・科学庁(OPSS)の科学技術部門として,首相科学顧問を局長とした科学技術局が新設され,科学技術政策に関する総合的な企画・調整機能が持たされた。

これに伴い教育科学省は教育省へと改編され,研究分野毎に置かれている研究会議は,教育科学省の下から科学技術局に移管された。

第1-2-英6図 イギリスの主要な科学技術行政機構(1992年4月組閣前)

第1-2-英7図 イギリスの主要な科学技術行政機構(1994年4月現在)

科学技術局は,科学技術関係予算,省庁間の協力の促進,省庁間にまたがる課題の調整を担当し,・また白書で示された政策の実現に中心的な役割を果たす機関として位置付けられている。科学技術諮問委員会(ACOST)に代わり1993年10月に新設された科学技術会議(CST)も,科学技術局の所管となった。

また,科学技術局の新設と並び,1992年4月,貿易産業省(DTI)の再編が行われ,エネルギー省の同省への吸収,雇用省からの中小企業行政の移管,製造業を中心とする主要産業別部門の設置,イギリスの産業の国際競争力を調査・分析する産業競争部門の新設等が行われた。貿易産業省はこれまでリンク計画(LINK)において主要な役割を果たすなど,これまでもイギリスの科学技術の推進に重要な位置を占めてきたが,今後も特に技術革新,企業への技術移転等の面で,科学技術政策の展開に重要な役割を果たして行くことになる。

イギリスの科学技術行政機構は,1960年代以来,教育科学省が大学行政と基礎研究を中心とした研究行政を担当し,産業貿易省(1970年に技術省から改編)が開発研究や技術行政を担当するという体制をとってきたが,これらの機構改革により科学技術局が科学技術政策の中心的な位置を占める体制へと大きく変化したといえる。

(科学技術会議の設置)

白書において設置が提案されていた科学技術会議が,1993年11月より活動を開始した。科学技術会議は,1987年に政府の科学技術に対する取り組みを強化する目的で設立された科学技術諮問委員会に代わるものである。

科学技術会議は,首相代理としての科学技術担当大臣を議長,首相科学技術顧問兼科学技術局長を副議長とし,産業界及び学会の代表者による委員10名から構成されている。科学技術諮問委員会の権限が,「科学技術の優先順位やその応用,国際協力等に関して政府に助言すること」等とされていたのに対し,科学技術会議の権限は,「科学,工学,技術の問題について政府に助言する」のみならず,「国際的な進歩を考慮に入れつつ,政府の研究開発支出のバランスと方向性について助言する」こと,及び「技術予測プログラムの結果に基づき,政府の研究開発投資の展望について助言する」ことが挙げられており,白書の中で明らかにした科学技術政策を実現していくために,より具体的な内容を挙げたものといえるだろう。

(研究会議の改編)

研究会議はこれまで,科学・工学研究会議(SERC)等,分野ごとの5つの研究会議がそれぞれ研究を推進してきた。各研究会議は,それぞれの傘下の研究所(ラザフォード・アップルトン研究所,デーズベリー研究所など)で研究プロジェクトを実施するとともに,大学への研究補助金の交付,政府研究機関や民間企業への委託研究等を実施している。

研究会議は,1992年4月の科学技術局の新設に伴い旧教育科学省から科学技術局の下に移管された後,1994年4月,白書での提案に従って,2つの研究会議の改編が行われた。

科学・工学研究会議は分割・改組され,工学・物理科学研究会議(EPSRC)及び素粒子物理・天文学研究会議(PPARC)が設置された。また農業食糧研究会議(AFRC)と科学・工学研究会議の一部が統合され,バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)となった( 第1-2-英6図 , 第1-2-英7図 )。

これらの研究会議のうち,工学・物理科学研究会議,バイオテクノロジー・生物科学研究会議は,他の3つの既存の研究会議と同様,関連分野の産業と密接な連携を図ることが期待されている。一方,素粒子物理・天文学研究会議は主に基礎研究を担当することとなっているが,大規模な研究施設が必要であることから,主に国際プロジェクトの一環として研究が実施されることとなる。

また,研究会議への調整を強化するため,公務・科学庁内に研究会議事務総長,科学技術局内にその事務局が設置され,これに伴い研究会議への助言を行う研究会議諮問委員会(ABRC)は廃止された。

研究会議の新しい役割は,従来の基礎研究,戦略的研究,応用研究の促進・支援に加え,それぞれの分野での研究開発と研究者に対する教育の促進・支援を通じてイギリスの産業競争力と生活の質の向上を目指すこととされており,上記の組織改編は,研究会議と産業界との連携において,研究会議が確実にその役割を果たすことを目的としたものであるとされている。


(3) 科学技術関係予算

イギリスの政府の研究開発予算の推移を 第1-2-英8図 に示す。1994年度(1994年4月〜1995年3月)の当初予算は1993年度予算がら減少しているが,1993年11月に行われた議会での大蔵大臣による1994年度予算説明においては,科学技術を教育,雇用訓練等と並んで「人的資本」と位置付け重視する姿勢を示すとともに,追加予算が可能であるよう配慮することが述べられている。

第1-2-英8図 イギリスの政府研究開発予算の推移

政府の研究開発予算を組織別にみると,研究会議への予算額は毎年増加しており,1993年度までの政府全体の研究開発予算の伸びの主な要因となっている。一方,1994年度の国防省への当初予算は1993年度から減少し,1994年度の予算全体の減少の主な要因となってはいるが,政府予算全体に占める割合は依然として40%を超えており,組織別にみた中で最も大きな割合を占めている。また,政府の研究開発予算を目的別にみた場合も,1992年度の国防の占める割合は42.6%であり,最も高くなっている( 第1-2-英9表 )。 第1-1-英10表 に,政府の研究開発予算のうち研究会議別の予算の内訳を示す。研究会議の予算の中では,1993年度までは科学・工学研究会議が占める割合が最も多く,医学研究会議がこれに続いている。組織改編後も科学・工学研究会議を前身とする工学・物理科学研究会議の占める割合が最も多くなっている。

政府の研究開発予算における性格別構成比の推移をみると,基礎研究予算の占める割合が増加し,応用,開発研究の割合は減少している( 第1-2-英11図 )。1992年度の政府組織別にみた研究開発予算の性格別構成比は,研究会議及び高等教育資金委員会の予算では,その73.5%が基礎研究であるのに対し,国防研究開発では75.1%が開発研究であり,また貿易産業省等の民生省庁では基礎研究が50,0%,応用研究が44.1%を占めている( 第1-2-英12図 )。

第1-2-英9表 イギリスの政府目的別研究開発予算(1992年度)

なお,イギリスにおける大学への研究資金の流れの特徴である二重支援(Dual Support)システムは,科学技術行政体制の改編後も継続されることとなった。二重支援システムは,大学での研究に対し,教育省の高等教育資金委員会から支出され各大学の裁量で使用できる一般研究資金と,研究会議から特定の研究に対し出資される特別資金による二重の資金源を供給する制度である。白書作成の過程において,一般研究資金についても公務・科学庁から支出されるべきであるという議論があったが,同システムによる2つの資金の相互補強的な関係,資金受領者の政府研究開発戦略の理解促進といった点からその存続が決定された。

第1-2-英10表 イギリスの研究会議における政府研究開発予算の内訳


(4) イギリスの科学技術政策

(科学技術政策の見直し)

イギリスにおいては,これまで述べてきたように,科学技術局を中心として科学技術行政機構が改編され,政府が科学技術の振興に一層積極的にかかわり,産業競争力・技術力を重視する方向性を明確に打ち出している。

第1-2-英11図 イギリスの政府研究開発予算の性格別構成比の推移

第1-2-英12図 イギリスの政府研究組織の性格別構成比

イギリスにおけるこうした科学技術政策関連の大きな動きは,1987年に行われた首相の元への権限の集中,及び科学技術諮問委員会の設置以来のことである。また科学技術政策・組織の総合的な見直しという点からみると,1970年代の初頭以来のことである。

その背景として,グローバル化する世界経済の中でのイギリスの産業競争力に対する危機感の高まりがあるといえる。1994年4月に科学技術局から発表された報告書「将来展望」(Foward Look)の中では,技術力を利用した新製品開発の熾烈な競争が世界的に展開され,欧州,北米,日本のみならず東南アジアからも,急速な技術的変化が出現するようになった現状において,イギリスは科学技術による技術革新がもたらす経済的効果を最大限に活用する必要があるとの認識が示されている。

以下では,白書で提言された施策を中心として,科学技術関連の主要な施策について記述する。

(将来展望の発行と技術予測プログラム)

白書の中では,政府の5年〜10年先の科学技術戦略を産業界,学界に対し明確化し,また政府による科学技術活動の概要・支出計画を公開するための報告書「将来展望」を,1994年より毎年4月に発行することが予告されている。

1994年4月,第1回目の上記報告書が科学技術局から発行された。

同報告書の発行は新たな科学技術政策を展開するためのポイントとされており,その冒頭では「科学,工学及び技術は主要な国家資源であり,富の創出にも,より広い国民の幸福のためにも不可欠である」と述べている。政府の方針や研究会議,各省庁の研究開発計画について記述されており,今後は技術予測プログラムの成果も考慮に入れて作成される予定である。

技術予測プログラムは,白書の中で提案され,同年中に開始された計画である。このプログラムの目的は,イギリス経済にとって優先度の高い,あるいは潜在的にその可能性のある研究・技術を選定することであり,首相科学顧問を議長とし産学官からの専門家をメンバーとする技術予測運営グループと,素材,エネルギー,農業・資源・環境など15分野の分科会により実施される( 第1-2-英13表 )。各界の交流を通じての情報交換が研究開発の成果を高めること,特に研究者と企業との接触により科学者がその研究成果の利用について認識することも,技術予測プログラムの狙いとするところである。

技術予測の結果は,企業,研究会議,関係省庁の研究開発計画の決定に際し考慮され,政府による研究開発投資計画の参考資料として利用される。1994年末には分科会報告,1995年の初頭には技術予測プログラムの最初の報告書が作成される予定である。

第1-2-英13表 技術予測プログラムの分科会一覧

(産学官の連携強化)

従来から行われていた政府の科学技術政策の中で,今後も継続されて行くものの一つとして,リンク計画がある。

リンク計画は,基礎的・戦略的研究と産業との格差を埋めることを目的とした政府による産学官の共同研究計画で,これまでは貿易産業省が中心的な役割を果たしてきた。主に科学・工学研究会議との共同助成により,1993年末までに460を越えるプロジェクトを実施し,政府資金としては総計2億ポンドが投入されたと報告されている。

同計画はプログラム単位で実施され,現在は食品・バイオ科学,高度素材・化学,高度製造業・工学,エレクトロニクス・通信,計測・センサーの5分野について,35のプログラムが実施されている。各プログラムは複数のプロジェクトから構成され,各プロジェクトには,大学あるいは研究会議の研究機関等と産業の双方から少なくとも一機関は参加する。プログラムの総経費の50%は政府が助成し,残りは産業が負担する。

1993年9月,大学・政府と産業との協力関係を促進するという科学技術政策の方向に沿い,リンク計画の所管は科学技術局に移行された。

現在,科学技術局では,共同研究の効果的な実施と技術移転の促進のため,リンク計画を拡大する作業を実施している。政府は1994年末までに,リンク計画をより広範な共同研究の基盤として再発足させることとしている。

また,産業研究開発への支援施策として,先端技術プログラム(ATP),小企業向け研究技術資金(SMART),研究途上製品支援(SPUR)等がある。先端技術プログラムは,前競争的な新技術の共同研究を支援することで技術の実用化を促進し,イギリスの産業競争力を向上させることを目的としたものであり,これまでに先端情報技術,製造技術,超伝導,先端ロボット等の分野について,22のプログラムが実施されている。また小企業向け研究技術資金及び研究途上製品支援は,ともに中小企業における研究開発支援を目的としたもので,小企業向け研究技術資金は従業員50人以下の企業または個人による革新的技術プロジェクトに対する資金提供,研究途上製品支援は従業員500人以下の企業での製品化研究への資金提供を行われる。

(産業における研究開発人材の育成)

産業界からの研究者・技術者の人材育成ニーズに対応するための施策として,大学院制度の改革についての提言や産学官共同研究への大学院生の参加促進等が白書の中で挙げられている。

大学院制度については,修士課程から博士課程へ進学する学生数の適正化を図ることにより,修士課程を終了した段階で産業界向きの人材を確保する必要があると,白書の中で述べられている。これを受けて科学技術局は,3年間の博士課程の前段階に独立した1年間の研究修士(リサーチ・マスター)の課程を設置し,学生は1年目の研究修士終了段階でそのまま博士課程に進むか就職するかを選択する制度を,1994年2月に提案した。

産学官の連携による人材育成制度としては,科学・工学研究会議が貿易産業省と共同で推進してきたティーチング・カンパニー計画(TCS)がある。これは,学生を研究者(ティーチング・カンパニー・アソシエイト)として企業が2年間雇用し,学生は企業内のプロジェクトに参加しつつ大学院からの指導も受けるという制度であり,1993年までに1000以上の企業が参加した。また企業内の研究者に対しては,一時的に大学院で研究が行える制度として統合的既卒者開発計画があり,科学・工学研究会議により支援されきた。今後は工学・物理科学研究会議が貿易産業省と共同で,企業内の研究者の育成に携わっていくこととなる。

(政府関係機関による研究)

イギリスの政府関係の研究機関で実施されている主な研究分野は,以下の通りである。

研究会議のうち,工学・物理科学研究会議及びバイオテクノロジー・生物科学研究会議は,産業界との関連が深い研究会議であり,傘下の研究所では,物理・化学・情報技術・コンピュータの製造技術への応用等の研究,生物分子科学・遺伝子・細胞生物学・生物学等の研究がそれぞれ行われている。

ヒトゲノムプロジェクト,脳機能に関する研究,エイズ研究,がん研究等は,医学研究会議で実施されており,また,地球観測,地球科学,海洋科学等の分野は,自然環境研究会議の研究分野である。大気,環境保護,水質等の分野の研究は環境省で実施されている。

素粒子物理・天文学研究会議は,宇宙科学,地球観測,素粒子物理等の分野を対象とし,ビック・バンの解明,物質・反物質の非対象性等の研究が行われている。民生宇宙研究開発は貿易産業省,素粒子物理・天文学研究会議,英国国立宇宙センターと共同で実施されている。

核融合,核物質と放射性廃棄物等の原子力関係の研究開発,石油,ガス,石炭等の非核エネルギーに関する研究は,貿易産業省で実施されている。また経済社会研究会議では,人工知能の研究等が行われている。

(国際協力)

近年の科学技術分野のグローバル化に伴い,イギリスにおいても国際協力の重要性は認識されているが,協力関係から最大限の成果を得ることが要求されるようになっている。

イギリスはこれまでもEUの研究開発活動に民生研究開発予算の約7%に相当する年間約2億5千万ポンドを支出,バイオテクノロジー分野等で成果を上げてきた。「将来展望」においては,今後も,フレームワーク計画への参加を最大限に利用し,またその成果を効果的に普及させるという方針の元に,第4次フレームワーク計画(1994年〜1998年)に積極的に参加していくとされている。

大型施設の利用等で国際的な協力関係を必要とする原子力,宇宙の分野では,欧州原子核研究機関(CERN),欧州宇宙機関(ESA)科学計画等を支援するほか,EUにおける共同研究のーつとしてイギリス国内に建設された共同欧州トーラス型核融合実験施設(JET)における研究に参加してきた。今後も国際熱核融合実験炉(ITER)をはじめとする主な国際計画に参加を継続する他,欧州原子核研究機関への参加も出資金の負担額を考慮しつつ継続する予定とされている。

また海洋学,地球変動,ヒトゲノム等の地球規模の研究分野についても国際協力を継続していく方針とされている。

また,イギリスは,他の欧州諸国と同様,ユーレカ計画に参加している。欧州諸国以外にも,米国,日本などの科学技術力や,アジアの経済新興国にも注意を払っていくこととされている。

(国防研究開発)

国防研究費は今後わずかずつ削減されていくこととされているが,世界市場でのイギリスの国防産業の地位は維持していく方針であり,軍事力及び国防技術は継続して重視するとされている(第1-2-英8図参照)。ただし,国防研究開発においても経済面への貢献に努め,国防研究成果の民生移転,民生技術の軍事移転の双方を促進していくとされている。国防,産業の双方で利用可能な技術開発を目的として,国防省の国防研究機関による両用(dual-use)技術センターの設立が計画されており,最初のセンターが1994年4月に設立された。


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