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第1部   いま,世界の中で
第1章  転換期の世界における科学技術政策
第1節  主要国の科学技術政策動向
3.  アジア太平洋



(1) 中国

経済改革・対外開放政策の下で経済面で高度成長を続けている中国は,社会主義市場経済という目標を掲げ,経済発展を図ろうとしている。科学技術に関しては,1985年から改革と外部世界へ門戸開放が始まり,研究開発が経済発展に一層貢献するような研究開発資金配分システムの改革等が進められてきている。また,この改革に沿って現在は,経済発展の主流への奉仕,高度な新技術・産業の開発,基礎研究の強化の3点が中国の科学技術戦略なっている。

経済発展の主流への奉仕は,経済発展の目標実現を支援する研究開発を行うことであり,科学技術により農業近代化を図る(星火)計画など伝統産業の技術を改善するための活動が行われる。

高度な新技術・産業の開発は,経済,科学技術,国防,社会発展に大きな影響のあるハイテク分野で革新的な研究を行うことであり,ハイテク産業等を興し,世界の先進科学技術水準に追いつくことを目標としている。バイオテクノロジー,宇宙技術,情報技術等の7分野が開発の重点とされ,研究開発が行われる。

また,基礎研究は科学技術発展の基礎であり,社会経済の所続のな進歩に極めて重点であるとの認識に基づき,人材育成,研究者の資質向上,基礎科学分野等における中国の地位向上等を目指し,研究が進められている。


(2) 韓国

急速な経済成長を遂げてきた韓国は,1990年代に入り成長の鈍化がみられたが,このような状況を背景として1993年7月に,国際競争力を維持し,韓国経済の活力を保つことを目標とした「新経済5ヵ年計画」が策定され,各種の制度の先進国化,民間主導の成熟した経済構造への転換が目指されている。科学技術に関しては,韓国の科学技術を21世紀初頭までに先進7ヵ国の水準にまで高めることが基本的な目標とされている。

この目標達成のため,技術力の蓄積が先進諸国と比較してそれほど高くないとの認識をも踏まえ,少数の厳選した主力技術を集中的に開発し,それを中心に関連技術の開発を促進するという戦略をとることとしている。このため,超高密度集積半導体,広帯域ISDN,次世代自動車開発等の11のプロジェクトからなる先導技術開発事業(一般に「G 7プロジェクト」と呼ばれる。)を推進している。また,先進国との先端技術を中心とした国際協力,ロシア,中国などとの技術協力を推進することとしている。さらに,官民あわせた研究開発投資の拡充や,企業間の研究協力や産学共同研究の促進等のための施策が推進されている。


(3) インドネシア

インドネシアにおいては,ハビビ研究技術担当国務大臣の指導の下,技術評価応用庁,インドネシア科学院等の科学技術行政体制の整備が進んでおり,最近の経済開発5ヵ年計画において,体制の整備,人材の確保,試験研究設備の充実等の方策が講じられてきた。また,1994年4月から始まった第6次5ヵ年開発計画においては,科学技術政策の主要な目標は,科学技術の開発,利用,修得能力の向上,生産性・付加価値の向上と技術革新の促進,情報システムの構築,企業の技術力の向上等となっている。この目標に沿って,部門間,基礎・応用科学と技術との間の研究協力の促進,革新的産業の創出,製品の品質と生産工程の改良,科学技術人材の質的,量的な向上等のための施策が実施されている。

また,1994年から始まった第2次25ヵ年長期開発計画においては,長期的発展の目標を定めているが,科学技術開発の目的を投資の拡充と人材の充実に置いている。このなかで,特に,政府以外の部門による科学技術活動を増加させることが目標とされている。


(4) タイ

タイにおいては,科学技術環境省を中心として科学技術政策が推進されている。1992年から始まった第7次経済社会開発計画においては,科学技術発展の目標として,

1) 農業,工業の生産性向上のための技術の開発・利用
2) 科学技術人材の拡充
3) 官民の研究開発投資の増加

を掲げている。

このような目標を踏まえ,科学技術政策においては,生産性と国際競争力を高め,国民全体の生活の質的向上を図るために,科学技術能力を高めようとしており,官民における研究開発の推進,産業の生産性の向上のための科学技術開発における官民協力の推進,科学技術系人材の確保等のための施策が進められている。


(5) マレーシア

マレーシアにおいては,科学技術環境省を中心として科学技術政策が推進されている。1991年から始まった第6次マレーシア計画においては,科学技術政策の目標として,高い経済成長を維持し,2020年までに先進社会を築くため,継続的な科学技術活動を行うことを掲げている。

最新の先端技術の導入に関しては,海外からの直接投資,技術導入等を重要な手段としてとらえている。また,外国からの技術を消化しながら科学技術力を強化し,必要とされる人材の育成や環境の整備が図られている。さらに,国内産業の技術革新力を高めるため,自動製造技術,新素材,バイオテクノロジー,エレクトロニクス,情報技術の5つの分野の技術開発が促進されている。


(6) オーストラリア

オーストラリアにおいては,農産物と天然資源に依存した経済から脱却するための鍵として科学技術が位置付けられており,科学技術,とりわけ産業化に直接結び付く産業技術分野の能力拡大に向け努力がなされている。

科学技術を国際競争力の基礎と考える政府は,優れた研究能力は持つものの,研究成果を実用化する能力は一次産業部門以外では乏しかったとの認識に立ち,民間部門の研究開発力の強化,及び,公的研究機関と民間との連携の強化を科学技術政策の重点としている。

この方針に沿って,

1) 民間部門の研究開発投資を促進するための税制の整備
2) 民間部門の行う研究開発に対する助成
3) 公的部門の研究成果を民間部門に移転し,その産業化を促進するため,産業界,国立研究機関,大学等が共同して革新的な技術を開発する共同研究センターの設立

等に積極的に取り組んでいる。


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