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第3部   我が国の科学技術政策の展開
第3章  研究活動の推進
第1節  重要研究開発分野の推進
2.  人類の共存のための科学技術の推進


人間活動の拡大に伴い,地球環境問題その他の地球の有限性に起因する問題が顕在化している。これらの問題を解決し,地球と調和しつつ,人類が共存し得る新たな手段を提供するため,平成4年4月に閣議決定された科学技術政策大綱において,「地球・自然環境の保全」,「エネルギーの開発及び利用」,資源の開発及びリサイクル」,「食料の持続的生産」の各分野を,人類の共存のための科学技術と位置付け,その積極的な振興を図っている。


(1) 地球・自然環境の保全

近年,地球温暖化などの地球的規模での環境問題が顕在化しつつあり,国際的に協力してこれらの課題の解決を図って行くことが強く求められている。また,潤いのある生活環境を整備するため,地域において公害を防止するとともに自然環境を保全していくことが重要である。このため,地球的規模の環境問題への対応,公害の防止,自然環境の保全のための研究開発を推進していくことが必要である。

本分野については,「平成4年度地球環境保全調査研究等総合推進計画」(平成4年5月 地球環境保全に関する関係閣僚会議),科学技術会議第17号答申を踏まえた「地球科学技術に関する研究開発基本計画」(平成2年8月 内閣総理大臣決定),「公害の防止等に関する試験研究の重点強化及び総合的推進について」(毎年度 環境庁)等が策定され,研究開発が重点的に推進されている。

地球環境変動の把握・影響評価・対策技術,環境汚染の防止等の研究開発が,科学技術庁,環境庁,文部省,農林水産省,通商産業省,運輸省,郵政省,建設省等により推進されている。


(2) エネルギーの開発及び利用

エネルギー研究開発は,広範な分野を対象とし,長期にわたり膨大な研究開発のための資金及び人材を必要とするため,研究開発全般を計画的・重点的・効率的に推進することが重要である。このため,政府が中心となって推進するエネルギー研究開発について,昭和53年8月に「エネルギー研究開発に関する基本計画」が定められ,その着実な推進が図られてきている。また,平成3年6月,地球環境問題の顕在化等近年のエネルギーを巡る情勢変化を踏まえ,現行の基本計画を抜本的に改定することを求めた「エネルギー研究開発基本計画に関する意見」が科学技術会議から内閣総理大臣に具申された。これに基づき,平成3年7月,政府は新たな「エネルギー研究開発基本計画」を決定している。

1) 原子力開発利用の推進

原子力は,供給安定性,経済性の面のみならず,二酸化炭素,窒素酸化物等を排出しないことから地球環境負荷の面でも優れており,我が国のエネルギー供給構造の脆弱性の克服に貢献する主要なエネルギー源の一つとして着実に開発利用を進めることが必要である。

我が国では原子力の開発利用を原子力委員会の策定した原子力開発利用長期計画(昭和62年6月決定)に沿って,総合的かつ計画的に推進している。

(1)安全性の確保及び核不拡散対策

原子力開発利用は,開発当初から,放射性物質を確実に管理する対策を講じるなど,安全性の確保を最重点にして行われてきており,他の産業分野には見られない国による厳しい安全規制を始め,環境放射能調査や,万一の事故の際の備えとしての防災対策を含めた各般の安全確保対策が講じられている。

安全規制の一層の充実及び原子力施設の安全性の向上に資するために,原子力安全委員会は,安全研究年次計画の策定,研究成果の評価等を行い,安全研究の総合的・計画的な推進を図っている。

現在は,平成2年に策定した安全研究年次計画(原子力施設等,環境放射能及び高レベル放射性廃棄物等の3つの安全研究年次計画を平成2年度に策定,低レベル放射性廃棄物安全研究年次計画は平成元年に策定)に沿って,以下の原子力安全研究が推進されている。

軽水炉施設の安全研究については,日本原子力研究所を中心に,原子炉の反応度事故及び冷却材喪失事故等に関する研究を行っている。

新型転換炉施設,高速増殖炉施設,核燃料施設,放射性廃棄物の処理処分等については,動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力研究所等において各種安全研究を行っているほか,放射性物質輸送時の安全性,原子力施設の耐震安全性については,国立試験研究機関等において研究を行っている。その他,原子力施設の安全性,信頼性及びリスクを確率論的に評価する手法等については,日本原子力研究所,動カ炉・核燃料開発事業団等において研究を行っている。

また,低線量放射線の人体に対する影響,被ばく形式の特異性を考慮した内部被ばくの障害評価,環境中の放射性物質の挙動等について,放射線医学総合研究所を中心に研究を行っている。

我が国は,原子力基本法の基本方針に基づき,原子力の平和利用を確保するとともに,核兵器の不拡散に関する条約(NPT)及び米国等と締結した二国間原子力協力協定によって義務付けられている国際原子力機関(IAEA)の保障措置を受け入れるため,従来から原子炉等規制法に基づき国内保障措置を実施している。これらの協定をより効率的に履行するため,保障措置技術の研究開発等を実施している。

さらに,核物質の不法な移転及び原子力施設に対する妨害破壊行為の防止が核拡散防止上も重要であるとの国際的な認識のもと,我が国は,核物質防護条約に加入し,国内法令を整備するとともに,核物質防護に関する調査・研究を実施している。

(2)原子力発電の現状

我が国の商業用の原子力発電は,平成4年7月現在,41基が運転中で,発電設備容量は3,323.9万kWであり,平成3年度推定実績で総発電電力量(電気事業用)の26,7%を賄っている。

現在の我が国の主流の原子炉である軽水炉については,政府,電気事業者,原子力機器メーカー等が協力して,自主技術による軽水炉の信頼性,稼働率の向上及び従業員の被ばく低減を目指し,技術開発を実施してきたところであるが,現在の軽水炉の技術水準に満足することなく,さらなる経済性,信頼性,安全性の向上を目指した軽水炉技術の高度化が進められている。

原子炉の廃止措置に関する技術開発については,昭和56年度から,日本原子力研究所において動力試験炉(JPDR)をモデルとしてその研究開発に取り組んでいる。昭和61年度からは,JPDRの解体実地試験を行っており,平成2年度には放射線遮へい体の解体作業に着手した。また,(財)原子力発電技術機構においても昭和56年度から廃炉技術の確証試験を進めている。

(3) 核燃料サイクルの確立

我が国の原子力発電を今後とも円滑に推進していくためには,核燃料の安定的供給の確保とウラン資源の有効利用などを目指した核燃料サイクルの確立が重要な課題である。

原子力発電の燃料である濃縮ウランの安定確保は重要な課題であり,遠心分離法によるウラン濃縮技術の開発を積極的に推進している。動力炉・核燃料開発事業団の研究成果に基づき,青森県六ケ所村において民間濃縮工場が平成4年3月より操業を一部開始している。さらに,今後のウラン濃縮の経済性の向上を図るためレーザー法ウラン濃縮技術の開発を進めている。

使用済燃料については,ウラン資源の有効利用等の観点から再処理を行うことを基本方針としており,現在,動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場において再処理を行っている。また,東海再処理工場においては,平成4年3月末までに約609トンの再処理を行っている。

民間再処理工場については,青森県六ヶ所村において年間再処理能力約800トンの再処理工場の計画が進められている。

高速炉燃料の再処理については,動力炉・核燃料開発事業団において,研究開発が進められている。

核燃料サイクルにおいて,放射性廃棄物の処理処分対策の確立は重要な課題である。

原子力発電所等から発生する低レベル放射性廃棄物に関しては,発生量の低減化を図るとともに,減容化,固化等の処理を行っている。

現在,青森県六ケ所村において,低レベル放射性固体廃棄物を浅地中処分する計画が進められており,平成2年度に内閣総理大臣による事業許可が行われ,現在,施設が建設されている。

再処理工場から発生する高レベル放射性廃棄物は,安定な形態にガラス固化し30年から50年間程度冷却のため貯蔵した後,地下数百メートルより深い地層中に処分することを基本方針としている。ガラス固化体の一時貯蔵施設については,青森県六ヶ所村において建設が計画中であり,平成4年4月にには,内閣総理大臣による事業許可が行われた。また,地層処分の研究開発等については,動力炉・核燃料開発事業団が中心となり,研究開発を推進している。このー環として地層処分技術を確立するための深地層試験等の研究開発と高レベル放射性廃棄物等の貯蔵を行う貯蔵工学センター計画の着実な推進を図っている。

また,高レベル放射性廃棄物から有用金属等を分離し,さらに長寿命核種を短寿命核種又は非放射性核種に変換する核種分離(群分離)消滅処理技術の開発も日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団等を中心に実施している。

(4) プルトニウム利用の展開

我が国は,ウラン資源の有効利用を図り,エネルギーの安定供給に貢献するため,使用済燃料の再処理によって得られるプルトニウム。

利用体系の確立を目指すこととしている。その際,高速増殖炉による利用を基本とするが,当面は,プルトニウム利用体系に係る広範な技術の確立等を図るため,軽水炉及び新型転換炉における利用を進めることとしている。軽水炉におけるプルトニウム利用(プルサーマル)は,現在ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料少数体規模実証計画が進められており,これに続いて,実用規模の実証計画を進め,その後本格利用に移行することとしている。また,新型転換炉の開発は,これまで動力炉・核燃料開発事業団等において進められてきており,現在原型炉「ふげん」が順調に運転されている。実証炉については民間の主体的役割の下に建設の計画が進められている。高速増殖炉については,これまでその開発は動力炉・核燃料開発事業団を中心に進められてきており,実験炉「常陽」は現在まで順調に運転されている。この成果を踏まえ,同事業団で建設を進めている原型炉「もんじゅ」については,平成3年4月に機器据付を完了し,同年5月から総合機能試験を行っており,平成5年3月の臨界を目指している。

実証炉については電気事業者の主体的役割の下に1990年代後半の着工を目標に計画が進められている。

英仏に委託している再処理から回収されるプルトニウムの返還輸送については,当面海上輸送により行うこととし,輸送の開始時期は平成4年秋頃としている。

(5)先導的プロジェクト等の推進

核融合の研究開発については,恒久的なエネルギー源としてその実現が世界的に期待されており,我が国では,原子力委員会の定める基本計画の下,核融合の研究開発を計画的かつ総合的に推進している。

平成4年6月,原子力委員会は,第三段階核融合研究開発基本計画を策定し,現在,本計画に基づき,日本原子力研究所,文部省核融合科学研究所を始め大学,国立試験研究機関がその研究開発に携わっている。

核融合研究開発の進展状況については,日本原子力研究所が,昭和63年度よりト力マク型臨界プラズマ試験装置(JT-60)の高性能化計画を進めプラズマ電流の駆動効率で世界最高記録を達成するなどの成果を得た。更に,世界最先端のプラズマ閉じ込め研究を行うための大電流化工事を平成3年3月終了し,平成3年7月からは重水素を使用した実験を実施している。また,日本,米国,EC,ロシアの4極の協力により推進している国際熱核融合実験か(ITER)計画については,概念設計活動の成果を踏まえ,4極間で工学設計活動への移行につき協議が行われた結果,平成4年7月には,ITER工学設計活動に関する協定等が締結され,本年度より工学設計活動が開始されることとなった。文部省核融合科学研究所においては,環状磁場系の定常運転及び高温プラズマに関する閉じ込め物理の究明を目指し,超伝導コイルを用いた世界最大の大型ヘリカル装置計画を推進している。

放射線利用については,医療分野では,X線CT等による診断やX線,ガンマ線等を利用した悪性腫瘍の治療が実用化されており,現在,速中性子線,陽子線,重粒子線による治療の研究が行われている。特に,放射線医学総合研究所においては,速中性子線,陽子線のほか,がん細胞に対する治療効果が特に高い重粒子線によるがん治療の研究が行われており,現在,重粒子線がん治療装置の建設が着実に進められている。また,大学においても,筑波大学陽子線医学利用研究センター等において陽子線等によるがん診断・治療の研究を行っている。

農林水産業の分野では,品種改良,害虫防除,食品照射等に放射線が利用されている。工業分野では,非破壊検査,各種高分子材料の改質などに放射線が用いられている。研究利用では,昭和62年度から7年計画で日本原子力研究所がイオン照射研究施設を建設中であり,平成3年度より一部運転が開始されている。また,平成10年度の完成を目指し,平成2年度から,日本原子力研究所と理化学研究所が大型放射光施設(SPring-8)を兵庫県播磨科学公園都市に整備を進めている。さらに,文部省高エネルギー物理学研究所においては,トリスタン入射蓄積リングを用いた大強度放射光実験設備による研究を行っている。

また,高温工学試験研究については,高温の熱供給を図り,将来のエネルギー供給の多様化の可能性を高める高温ガス炉技術の確立及び高温工学に関する先端的基礎研究を進めることを目的とし,日本原子力研究所において高温工学試験研究炉(HTTR)の建設及び熱利用研究を進めている。

原子力船の研究開発については,日本原子力研究所が中心となって原子力船「むつ」による研究開発等を進めている。原子力船「むつ」は平成3年2月から,海洋環境下における振動・動揺・負荷変動等が原子炉に与える影響等に関する知見を得るため,概ね1年間の実験航海を実施し,平成4年2月に成功裡に全ての実験を終了した。この間,4回の航海によリ, 東はハワイ諸島沖,南はフイジー諸島沖,北は力ムチャッカ半島沖にまで航行し,通常海域,高温海域,荒海域等において所要のデータ等を取得した。原子力船「むつ」は原子炉を原子炉室ごと一括して船体から撤去する「撤去隔離」方式により,解役を行うこととしており,実験航海終了後,解役の第一段階である使用済燃料の冷却を行っている。また,舶用炉の改良研究については,経済性,信頼性等の向上を目指した設計評価研究を進めている。

さらに,日本原子力研究所,大学,国立試験研究機関等において炉物理・核物理に関する研究,放射線に関する生理学研究,燃料.材料の照射試験等の基礎研究を幅広く行うとともに,原子力用材料技術,原子力用人工知能技術,原子力用レーザー技術,放射線リスク評価低減化技術の4技術領域についての基盤技術開発を,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,理化学研究所及び国立試験研究機関において進めている。

実験航海中の原子力船「むつ」

(6) 国際社会への主体的貢献

原子力開発利用は,各国毎に取り組むだけではなく,相互依存関係の中で,国際協力により効率的に研究開発を進めることが重要である。

先進国との協力については,情報交換,人材交流,研究協力等の二国間協力の他,条約,協定等に基づく政府レベルの多国間協力や国際機関を通じた協力も積極的に推進している。開発途上国との協力については,原子力委員会がアジア地域原子力協カ国際会議を開催する等,近隣アジア諸国との地域協力を積極的に行っている。平成3年4月には,日ソ原子力平和的利用協力協定を締結した。

(7) 国民の理解と協力

原子力開発利用を円滑に進めていくためには,国民の理解と協カを得ることが重要である。このため,まず安全の確保に万全を期すとともに,各種メディアを通じた広報のほか,各地の勉強会に講師を派遣するといった対話を重視した草の根的な広報や身の回りの放射線を実際に測定するための簡易な測定器を貸し出すといった体験型広報活動を実施している。

2) 自然エネルギーの研究開発

太陽エネルギー,地熱エネルギー,海洋エネルギー,風力エネルギー,バイオマスエネルギー等は,その資源特性から見て解決すべきいくつかの問題があるが,二酸化炭素等を排出しないクリーンなエネルギーであるため,その利用は地球温暖化防止のための主要な対策の一つとなる。このため,新エネルギー技術研究開発プロジェクト (サンシャイン計画)をはじめ,理化学研究所,海洋科学技術センター等で積極的な研究開発が進められている。

太陽エネルギーについては,給湯用,冷暖房用,太陽光発電等の利用が考えられ,既に民生用給湯システムについては,技術開発を終了し,一般家庭に普及している。このため,産業用ソーラシステム等の技術開発を積極的に推進するとともに,太陽光発電については,太陽電池・システムの一層の低コスト化,高効率化等を目指した研究開発を進めている。また,太陽発電衛星技術等について,長期的な観点から実現可能性の検討を進めている。

地熱エネルギーは,資源量が豊富なエネルギーであり,暖房,農作物栽培等地域社会に密着したエネルギーとしての利用も考えられている。このため,地熱資源賦存量を評価する手法や地熱資源の探査・掘削・採取技術の研究開発,中高温熱水を利用したバイナリーサイクル発電システム,高温岩体システムの開発等を推進するとともに,地熱エネルギーの多目的利用技術や環境保全技術の開発を進めている。

海洋エネルギーは,海域特性を活かした利用が可能であり,高効率波力エネルギー利用システム,海洋温度差発電等についての研究開発が進められており,さらに消波や深層水利用等との複合システムの研究開発を進めている。

風力エネルギーについては,欧米においては,既に電力供給源の一部を担うものとして導入・普及が進んでいるが,我が国においては,現在,中・小型の集合型風力発電システムの研究開発が推進されている。また,風力エネルギーの利用拡大の観点から重要となっている大型風力発電システムの研究開発等の開発が推進されている。

バイオマスエネルギーや生物の光合成機能を利用したエネルギー技術は,エネルギー密度,輸送,貯蔵等の面に解決すべき問題が多いが,環境への負荷が小さく,再生可能なエネルギー資源として期待されており,基礎的研究開発が進められている。

3) 化石エネルギーの研究開発

我が国のエネルギーの中核である石油については,新規開発油田の中小規模化等探鉱・開発条件の悪化傾向等に対応し,石油開発技術研究開発の推進を図っている。また,日本周辺における賦存状況の把握とその活用に係る研究開発を進めている。

石炭は,原子力と並ぶ石油代替エネルギーとして,その利用技術の研究開発が進められている。特にサンシャイン計画の中で,石炭液化技術,低カロリーガス化複合サイクル発電技術,石炭利用水素製造技術,石炭水添ガス化技術等の研究開発が推進されている。

天然ガスについても主要な石油代替エネルギーの一つであり,かつ,クリーンで相対的に環境負荷が小さいことから,経済的・効率的な利用拡大に資するよう探鉱,液化,輸送及び貯蔵に関する研究開発が推進されている。

4) エネルギー利用の効率化のための研究開発

エネルギー安定供給の確保,地球環境問題への対応及び有限なエネルギー資源の有効利用の観点から,エネルギーの供給から最終消費にいたる各段階において,その利用の効率化を図るための研究開発を推進するとともに,社会全体としての最適なエネルギーの利用を図るための研究開発を進めることが必要となっている。

このため政府では,産業・民生分野の省エネルギー技術研究開発(ムーンライト計画),運輸部門におけるエネルギー利用の効率化に係る研究開発,建築物におけるエネルギー利用の効率化に係る研究開発等を積極的に推進している。このうちムーンライト計画においては,熱効率が高く,コージェネレーションの普及拡大に資するセラミックガスタービンの研究開発,発電効率が高くクリーンな燃料電池発電技術,超電導材料及びこれを応用した超電導発電技術・システム化技術,エネルギーの高効率・高密度貯蔵を実現するスーパーヒートポンプエネルギー集積システム,新型電池等の研究開発を推進している。

また,輸送分野におけるエネルギーの多様化技術として,セラミック・ガスタービン・エンジン,スターリングエンジン,アルコールエンジン,天然ガスエンジン等の新型推進機関の研究開発を推進している。

さらに,工場,発電所,都市等の廃熱利用システム技術,農林水産資源からの燃料用アルコールの開発・利用技術,地域の特性に応じたエネルギーの供給を図るための技術,燃焼に際して二酸化炭素等を排出しない水素のエネルギー利用システム技術等の研究開発や,エネルギーの最適利用社会に関する調査研究が推進されている。


(3) 資源の開発及びリサイクル

天然資源の開発及び管理に関する研究開発としては,通商産業省の大型工業技術研究開発制度において,深海底に多量に賦存するニッケル,銅,コバルト,マンガン等の重要金属を含有するマンガン団塊を採鉱するためのマンガン団塊採鉱システムの研究開発が推進されている。また,農林水産省のバイオテクノロジー先端技術開発研究制度では,動物遺伝子の解析と利用技術の開発が進められており,建設省では,建設技術開発プロジェクトとして,建設副産物の発生抑制,再生利用技術の開発が進められている。


(4) 食料等の持続的生産

食料等の持続的生産に資する研究開発としては,農林水産省では,化学肥料の投入の抑制や,土壌や生物の機能を高度に活用して,生態系との調和を図りながら生産性を向上させる生態系調和型低投入農業システムの開発や,バイオテクノロジーを駆使した植物育種に関する総合研究等が推進されている。また,通商産業省では,寒冷地バイオ資源の高度利用技術の開発に関する総合研究等が推進されている。


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