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第3部   我が国の科学技術政策の展開
第1章  我が国の科学技術政策の概要
2.  科学技術会議


政府の科学技術政策を総合的に推進するため,科学技術政策に関する政府の最高諮問機関として科学技術会議が昭和34年2月に設置された。科学技術会議は,科学技術会議設置法に基づき,内閣総理大臣の諮問機関として総理府に設置され,内閣総理大臣を議長とし,関係閣僚,有識者で構成されており,科学技術一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立,科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標の設定,研究目標を達成するために必要な研究で特に重要なものの推進方策の基本の策定等について審議し,内閣総理大臣に答申し,あるいは,必要に応じて意見を申し出ることを主たる任務としている( 第3-1-1表 )。科学技術会議には,重要事項の適時,的確な処理を行い,機動的かつ弾力的な科学技術政策の展開を図るため,各界の有識者で構成される政策委員会が設置されている。政策委員会においては,答申等の策定作業の総括の他,科学技術振興調整費の運用方針の決定,科学技術振興に関する重点指針の決定,科学技術政策立案のための基礎調査等を行っている。

第3-1-1表 科学技術会議の主な答申の概要


(1)総合的基本政策の策定

1) 諮問第18号「新世紀に向けてとるべき科学技術政策の総合的基本方策について」に対する答申(以下「第18号答申」という。)(平成4年1月24日)

科学技術を取り巻く内外の情勢は大きく変化している。例えば,国際情勢においては,東西関係における緊張緩和の進展,欧州の統合等の国際社会の流動化等に見られる国際情勢の変化,地球環境問題等の人類の生存繁栄のために解決すべき問題に対する科学技術の役割の増大,科学技術分野における国際交流の増大等であり,国内においては,豊かな生活を指向する国民意識の高まり,人口構成の高齢化,さらには,科学技術と社会及び人間との調和や健康かつ安全で快適な生活の充実への要請の高まり等である。

このため,新世紀を展望して今後10年間にとるべき科学技術の総合的基本方策を策定すべく,平成2年6月22日,内閣総理大臣は,科学技術会議に対して諮問第18号「新世紀に向けてとるべき科学技術政策の総合的基本方策について」を諮問した。これを受け,科学技術会議では,1年半にわたって審議を進め,平成4年1月,内閣総理大臣に対し,同諮問に対する答申を行った。

同答申においては,科学技術によって,国際社会と人類全体のために貢献していくことを基本的な考え方とし,「地球と調和した人類の共存」,「知的ストックの拡大」及び「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」の3点を目標として,積極的かつ総合的な科学技術政策を展開する必要があること等が提言されている。

(2)重要研究開発分野の基本計画

1) 「エネルギー研究開発基本計画に関する意見」(平成3年6月21日)

地球温暖化,酸性雨等の地球環境問題の顕在化,近年のエネルギー需要の増大傾向等に見られるように,エネルギーを巡る情勢が大きく変化しており,このため,科学技術会議は,新たなエネルギー研究開発基本計画の案をとりまとめ,平成3年5月,意見具申した。これを受け,平成3年7月,新たな基本計画が決定された。

同基本計画においては,エネルギー研究開発への要請として,(1)エネルギーの安定供給の確保,(2)省エネルギー型社会の構築,(3)地球環境問題への対応,(4)国際社会への貢献,の4点を挙げ,これらを踏まえて,今後10年間に政府が中心となって推進すべき重要研究開発課題として,「エネルギー源の多様化」,「エネルギー利用の効率化」,「環境に対する負荷の低減」,「国際的な対応」及び「基礎・基盤技術」の5つの項目に整理し,合計38課題を提示している。

また,エネルギー研究開発をより効果的かつ重点的に推進していくため,重要研究開発課題の中から,2010年頃までに実用化の見通しが得られることが期待され,かつ,エネルギー需給構造の改善や地球環境問題への対応のための特に重要なものであって,今後政府が中心となって強力に研究開発を推進すべきものをプロジェクト課題として,9課題選定している。プロジェクト課題については,政府の各担当部局に対し,適切な研究開発推進計画の策定,比較的短期間毎の評価を求めるなど効率的・効果的な研究開発の推進を求めている。さらに,エネルギー研究開発の推進に当たって政府がとるべき方策として研究開発の総合的な推進,適切な評価の実施,人材の育成,研究開発の継続性の確保,国際協力の推進の5項目を示している。

2) 諮問第19号「ソフト系科学技術に関する研究開発基本計画について」(平成3年1月22日)

科学技術が高度化・複雑化する中で,科学技術の潜在的な可能性を引き出すとともに,複雑化する社会的諸問題等に科学技術が貢献していくことが重要な課題となっている。ソフト系科学技術は,このような課題の解決に極めて有効であり,ハードの性能を発揮させ使いこなしていくために重要であるとともに,人文・社会事象の諸要素の相互の連関分析等のソフト面での研究開発分野として重要となっている。

また,最近の情報・電子系科学技術等の関連分野の研究開発の進展により,ソフト系科学技術の振興のための基盤的環境が成熟しつつある。

このような状況を踏まえ,平成3年1月,内閣総理大臣は,科学技術会議に対し,広範な分野の学術的な知見を活用しつつ,ソフト系科学技術の研究開発を計画的に推進していくことが必要であることから,諮問第19号「ソフト系科学技術に関する研究開発基本計画について」を諮問した。これを受け,現在,科学技術会議では,新たにソフト系科学技術部会を設置し,調査審議を進めているところである。

(3)科学技術振興施策の総合調整

1) 科学技術振興調整費の運用

科学技術振興調整費は,総合的な科学技術の振興を図るため,科学技術会議の方針に沿って運用される制度として昭和56年度に創設され,昭和56年3月に科学技術会議において決定された「科学技術振興調整費活用の基本方針」及び各年度ごとに政策委員会が決定する具体的な運用方針に沿って運用されている。平成3年度から,重点国際交流制度が,平成4年度から,異分野交流研究創出制度,生活・地域流動研究が開始された。

2) 科学技術振興に関する重点指針

科学技術政策大綱に示された基本方針を踏まえ,政策委員会では,各年度ごとに,翌年度に重点的に推進すべき施策に関する指針を決定している。平成3年度においては,同年6月,平成4年度に推進すべき重点項目として,基礎的部門の中心的な担い手となっている大学,国立試験研究機関等における若手研究者等の人材の充実,地球環境問題,エネルギー問題等人類共通の問題への積極的な取り組み,陳腐化・老朽化が著しいなど危機的状況にある大学,国立試験研究機関等の施設・設備の開発・設置を含む整備充実等を内容とする「平成4年度科学技術振興に関する重点指針」を決定した。

3) 科学技術政策立案のための基礎調査等

政策委員会の下に置かれている基礎調査小委員会の検討を踏まえて,科学技術振興調整費の活用により,研究開発の総合的かつ効率的な推進方策の検討に必要な調査分析等を進めている。

平成3年度においては,科学技術の展開方向に関する調査,国際科学技術活動の推進に関する調査,科学技術振興基盤の強化に関する調査,科学技術と人間及び社会との調和に関する調査が実施された。また,基礎調査の一環として毎年科学技術フォーラムが開催されているが,平成3年度においては,「科学技術のグローバル化をめざして」をテーマとして,第11回科学技術フォーラムが平成4年1月に開催された。

(4)答申等のフォローアップ

科学技術会議の答申等については,指摘事項をより一層具体的な施策に反映させるとともに,その後の所要の調整等を目的として,政策委員会等の場で必要に応じフォローアップが行われている。

科学技術会議政策委員会は,平成3年度まで,毎年度第11号答申に指摘された事項に関して政府が実施してきた施策をとりまとめており,平成4年度からは第18号答申に沿った政府の施策をとりまとめることとしている。

(5)国際展開

我が国を巡る国際情勢の急激な変化の中,我が国の科学技術分野における国際貢献の必要性に対する認識は一層高まっており,また,大規模かつ長期的な研究開発分野の協力のあり方,地球環境問題等のハイレベルな政策課題が急増しており,科学技術会議としても積極的かつ主体的な国際展開が求められている。

1) 日米EC3極国際科学技術政策会合

科学技術会議は,科学技術会議,米国大統領科学技術顧問会議及びEC科学技術研究委員会からの代表が集まり科学技術政策一般について意見交換する3極会合の開催を提案し,関係者の合意を得て平成3年10月に第1回会合を東京で開催した。米国からはマクテイグ大統領科学技術顧問会議委員等,ECからはファゼラ科学技術研究委員会議長が参加した。

2) 科学技術会議国際招へいプログラム

人類共通の課題の克服や大型国際共同プロジェクトの推進に見られるよう,近年,科学技術の政策分野における国際協調が一層重要となってきている。この点に鑑み,科学技術会議では,平成2年度より,海外の科学技術政策に携わる要人を我が国に招へいし,科学技術会議政策委員会等のメンバーと意見交換等を行う「科学技術会議国際招へいプログラム」を発足させた。平成3年度においては,平成4年3月,オーストラリアからクレイグ首相科学会議委員,カナダからニコルソン国家科学技術諮問会議委員を招へいし,科学技術会議議員と,各国の科学技術政策,国際協力等に関し意見交換を行った。

3) カーネギーグループ会議(政府首脳科学技術顧問会合)

ブロムレー米国科学技術担当大統領補佐官の提案で,平成3年2月,本会合が米国で開催され,日本から森科学技術会議議員が出席した。

サミット国,EC及び旧ソ連の首脳の科学技術顧問,科学技術担当閣僚等9名がメンバーとなっており,科学技術の諸問題に関し意見交換を行い,結果を各国首脳に報告し,サミット等に反映させることが目的である。第2回会合は平成3年10月にニューヨークで,第3回会合は,平成4年5月にロンドンで開催された。

4) 科学工学者会合

平成3年6月にオタワで,平成4年5月にパリでそれぞれ開催された科学工学者会合に科学技術会議議員が参加し,科学技術分野の国際協力等について意見交換を行った。

(6)地域展開

平成3年度より,科学技術会議と都道府県の科学技術審議会等との連携を強化し,地域における科学技術政策の企画立案に資するため,科学技術会議政策委員会委員と地域科学技術審議会会長をメンバーとする「地域科学技術政策会合」が開催されている。平成3年7月,12道府県をメンバーとし,オブザーバー18県,計30道府県の参加を得て,第1回会合が東京で開催された。第2回会合が,平成4年4月に東京で開催された。


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