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第2部   海外及び我が国の科学技術活動の状況
第1章  研究費
2.  研究費の組織別の負担及び使用


(研究費の負担割合及び使用割合)

研究費は,負担及び使用についてそれぞれ組織別にみることができる。経済協力開発機構(OECD)は,政府 4) ,産業界,大学,民営研究機関,外国に組織分類している。主要国研究費の負担割合及び使用割合についてOECD分類により組織別にみてみる。

研究費の政府による負担割合は,国防研究費のウェイト,租税負担率,民間活力などの差異により,単純に比較できないが,おおよその状況を概観すればフランスが48%と大きく,次いで米国44%,イギリス37%であるが,我が国は人文・社会科学を含めると18%,自然科学のみでは16%と低い値となっており,研究費の多くを民間が負担している( 第2-1-4図(1) )。

使用割合では,各主要国とも産業界が約3分の2を占め,研究開発の実施においては各国とも民間企業が大きな役割を果たしている。フランス,イギリスは政府研究機関の使用割合がそれぞれ24%,15%と我が国及び米国に比べて大きな比率となっている( 第2-1-4図(2) )。

政府負担割合の推移をみると,各国とも長期的には漸減傾向にあり,これは産業界の研究開発活動が活発化し,各国とも産業界の比重が増大していることによるものである。また,国防研究費を除いた政府負担割合は,フランス33%,ドイツ30%,米国22%,イギリス22%であるのに対して,我が国は人文・社会科学を含めると17%,自然科学のみでは16%であり,低い値となっている( 第2-1-5図 )。


注)4.本書では,研究費及び研究者数を述べる場合,政府とは中央政府及び地方政府(我が国の場合地方公共団体)を意味する。

第2-1-4図 主要国の研究費の組織別負担割合及び使用割合

こうした負担源と使用組織間における研究費の流れを国際的に比較すれば,我が国は他の国に比べて全体として各部門間での研究費の流れが少なく,米国は産業界の使用する政府資金の比率が大きいのが特徴となっている( 第2-1-6表 )。

第2-1-6表 主要国研究費の産学官の資金の流れ

我が国研究費の政府から産業界への流れが少ない点については,従来,我が国では政府,大学,企業それぞれの組織ごとの独自性が強く,どちらかといえば各組織間相互の接触が少なかつたこと,諸外国に比べて研究開発を民間活力に委ねるところが大きいこと,また,米国等では国防研究費を通じた部門間の流れが多いこと等の要因を指摘できる。

第2-1-5図 主要国研究費の政府負担割合の推移

(組織別研究費)

主要国とも研究費の増加傾向が続く中で,こうした増加にどの組織の研究費が大きく寄与しているかを実質研究費の伸びでみると,米国の産業界の研究費の伸びは近年横ばいであるものの,その他の国は大きく伸びている。これは,産業界の研究開発活動が近年活発化してきていることを裏付けている。なかでも我が国産業界の伸びは特に大きい。また,各主要国の中でも,フランスの政府研究機関及び大学の研究費の伸びは,産業界ほどの高い伸びではないものの,比較的高い( 第2-1-7図 )。

このように各国とも研究費の伸びに産業界が大きな影響をもっているなか,我が国の研究費の伸びも会社等の研究費の動向によつて大きく影響を受けてきた。我が国の実質研究費の対前年度増加率に対する組織別寄与度の推移をみると,昭和40年代前半の高度成長期に産業界の研究費が大きく伸び,研究費総額が急増したが,40年代の後半から産業界の研究費の伸びにかげりがみえ始め,石油危機の影響もあって49年度には対前年度増加率も一時マイナスに,転じ,これに伴って研究費総額の対前年度増加率も減少した。50年代前半からは産業界の研究費はしだいに伸びを取り戻し,これを軸にして国全体の研究費も再び大きく伸び,現在に至っている( 第2-1-8図 )。

第2-1-7図 主要国の組織別実質研究費の伸び

第2-1-8図 我が国の実質研究費の対前年度増加率に対す組織別寄与度の推移

次に,我が国研究費の状況について組織別 5) に,述べることとする。


注)5.我が国の研究活動は総務庁統計局「科学技術研究調査報告」に従い,「会社等」,「研究機関」,「大学等」に分類して述べることとする。

○会社等 法人である会社(昭和49年度以前は資本金100万円以上,50年度以降53年度までは300万円以上,54年度以降は500万円以上のもの)及び営業を主たる業務とする特殊法人をいう。会社等に含まれる特殊法人は,日本放送協会,日本道路公団など。
〇研究機関 国営,公営,民営(財団法人,社団法人等)の研究機関及び研究開発を主たる業務とする特殊法人をいう。研究機関に含まれる特殊法人は,宇宙開発事業団,動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力研究所,理化学研究所なと。 なお,OECD分類での政府研究機関とは国営,公営及び特殊法人を指している。
○大学等 大学の学部(大学院の研究科を含む。),短期大学,高等専門学校,大学附置研究所,大学共同利用機関及び大学入試センターをいう。

-会社等-

平成2年度に研究を実施した会社等の数は1.38万社で,産業別構成比では,製造業が92.5%と大部分を占め,次いで建設業が6.7%となっている。製造業の中では,機械工業が全体の16.4%,電気機械工業が15.7%,化学工業が11.2%と大きな割合を占めている。

会社等の研究費は,最近5年間(昭和60〜平成2年度)における実質の年間の伸び率が7.8%と急速に伸びている。平成2年度には対前年度比12.6%増(実質9.2%増)の9兆2,672億円に達し,我が国研究費総額の76.7%と大きな比重を占めている。

研究費の産業別構成比は,製造業が93.5%と大部分を占め,次いで運輸・通信・公益業の3.8%となっている。製造業の中では,電気機械工業が全体の34.O%,輸送用機械工業16.1%,化学工業15.3%となっており,これら3業種で全体の使用研究費の65.4%を占めている( 第2-1-9図 )。なお,この3業種における研究費の最近5年間(昭和60〜平成2年度)の年間の伸び率をみると,電気機械工業が10.2%(実質8.6%)と大幅な伸びを示し,輸送用機械工業9.8%(同8.3%),化学工業8.6%(同7.1%)となっている。

会社の研究活動に対する重視度を表す一つの指標として,売上高に対する研究費の比率をとりあげてみると,平成2年度においては,全産業で2.78%と過去最高水準となった。これは製品のハイテク化などに伴い企業における研究開発の比重が増大していることを示している。研究費の対売上高比率が大きい業種は,精密機械工業(5.94%),電気機械工業(5.86%),化学工業(4.89%)などである( 第2-1-10図 )。

―研究機関―

我が国の研究機関は,国営,地方公共団体設置の公営,財団法人等の公益法人を中心とした民営及び特殊法人に分類される。特に国営,公営,特殊法人においては,基礎的・先導的研究,原子力開発,宇宙開発等の大型研究,食糧,・エネルギー等の資源確保等政策の遂行上必要な研究,中小企業等を支援する研究,地域経済の発展を支えているその地域独特の産業に関する研究,民間で研究開発を進めることが困難な分野の研究等が行われている。

平成2年度における研究機関の研究費は1兆4,161億円(昭和60〜平成2年度における実質の年間の伸び率は3.3%)で,我が国の研究費総額の11.7%を占めている。研究機関の研究費については,国営・公営研究機関及び特殊法人研究機関の大部分,民営研究機関の27.4%を政府が負担しているため,政府による研究費の負担割合は研究機関全体の71.8%となっている。

第2-1-9図 会社等の産業別の研究費

第2-1-10図 主な業種における研究費の対売上高比の推移

平成2年度における研究機関の組織別研究費は,国営3,073億円(研究機関全体の21.7%),公営2,527億円(同17.8%),民営4,754億円(同33.6%),特殊法人3,806億円(同26.9%)となっている( 第2-1-11図 )。

第2-1-11図 研究機関の研究費の推移

‐大学等‐

大学等は,高等教育機関として研究に従事する人材の養成等の重要な使命をもっていると同時に,研究実施機関としても真理の探求を旨とする幅広い学術研究を行っており,特に基礎研究において極めて重要な役割を果たしている。

総務庁統計局「科学技術研究調査報告」によれば(以下同じ),平成2年度における大学等の研究費は,1兆4,063億円(昭和60〜平成2年度における実質の年間の伸び率は3.1%)で,我が国の研究費総額の11.6%を占めている。

大学等の研究費を国・公・私立別にみると,国立が7,544億円(大学等全体の53.6%),公立が853億円(同6.1%),私立が5,666億円(同40.3%)で,国立が過半を占めている。

学問別(学部別)に研究費をみると,理学2,047億円(構成割合14.6%),工学5,035億円(同35.8%),農学1,060億円(同7.5%),保健5,922億円(同42.1%)となっており,工学と保健の割合が大きい。

(我が国研究費の費目別構成比)

研究費は,人件費,原材料費,有形固定資産(土地・建物,機械,器具・装置など)購入費,その他の経費から構成されている。

我が国研究費のこれら費目別構成の割合の推移をみると,人件費の割合が一貫して最も大きい。人件費の割合は,昭和40年代後半に増加する傾向にあったが,50年度以降減少を続けており,平成2年度は40.8%となった。原材料費の割合はここ数年やや増加する傾向がみられ,平成2年度には19.6%になり,有形固定資産購入費は16.3%となっている。研究のために要した図書費,光熱水道費,旅費,通信費などの経費であるその他の経費の割合は,ここ数年増加の傾向がみられ,平成2年度は23.3%となった( 第2-1-12図 )。

我が国研究費の費目別構成比を組織別にみると,会社等は原材料費の割合が,研究機関は有形固定資産購入費の割合が,大学等は人件費の割合が比較的大きいのが特色となっている。

会社等の研究費に占める人件費の割合は,昭和45年度以降増加を続け,51年度には51.9%となったが,それ以降は漸減傾向にあり平成2年度には38.8%となった。

研究機関のなかでは,公営における人件費比率が著しく大きいことが特徴となっている。また,特殊法人においては有形固定資産購入費の占める比率が著しく大きく,これは,原子力開発,宇宙開発等の大型施設・機器を必要とするものが含まれていることによるものと考えられる。

大学等は会社等,研究機関に比べて人件費の割合が大きく,平成2年度は61.0%であり,特に公立では66.4%に達している。学問別にみると,大学等の平均に比べ理学は人件費の割合が小さい( 第2-1-13図 )。

第2-1-12図 研究費の費目別構成比の推移

第2-1-13図 組織別研究費の費目別構成比


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