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第1部   科学技術の地域展開
第2章  地域と共に発展する科学技術
第6節  都道府県における科学技術の総合的取り組みと課題
2.  都道府県での科学技術への取り組み


(北海道)

北海道では,昭和26年に科学研究助成制度を発足させているほか,昭和27年には,北海道科学技術審議会を設置する等,都道府県で最も古い歴史を持っている。また,最近では,平成3年に「北海道における科学技術振興の基本方針」を策定し,北海道の特性を生かした科学技術の振興を行っている。

北海道における研究開発の特徴は,国立試験研究機関,公設試験研究機関や北海道大学等官学主導で進められ,寒地技術に代表されるように北海道の自然環境に根差した独特な研究テーマが多く,特に第一次産業やその関連分野を中心に進められてきた。

一方,北海道における産業構造は,製造業のウエートが依然として小さく立ち遅れが見られ,今後,産業構造の高度化への努力が強く求められている。

このため,北海道では産業構造の高度化を図るたや,平成4年に「北の技術開発ネットワーク基本計画」を策定し,先端技術分野を中心とした創造的な研究開発や技術開発を始め,産業化も含めた取組を全道的に波及させることが可能な仕組みをつくりだすこととしている。

現在,道内には2つのテクノポリスがあり,道央テクノポリスでは恵庭リサーチ・ビジネスパーク等を中心にメカトロニクス,新素材等の産業,函館テクノポリスでは道立工業技術センター等を中心に海洋関連・新素材関連産業の技術開発拠点として整備されてきている。

また,旭川地域では,頭脳立地構想を推進しており,旭川リサーチパーク等の整備が進められている。

さらに,道内には大型研究施設として,上砂川炭鉱の跡地を利用した約10秒間の各種無重力実験を可能とする垂直落下施設((株)地下無重力実験センター)やオホーツク流氷科学研究所等が設置されている。

なお,国の研究プロジェクト等も誘致され,大学,企業の研究者の参加による創造科学技術推進事業や生活・地域流動研究が実施されている。

(埼玉県)

埼玉県では,平成2年に「21世紀に向けた埼玉県の科学技術政策について」を埼玉技術懇話会(平成2年3月廃止)が策定しており,施策の進めるべき方向として科学技術教育の推進,研究開発活動の推進,地域経済活動の促進,国際化の推進を掲げている。

川口市に建設が予定されている「さいたまインダストリアル・ビジネスパーク」には,鋳物機械工業試験場と工業技術研究所を統合し,新たに工業技術センターを設置する予定となっているほか,生活科学センター,研究開発支援施設の整備も予定されている。

また,首都圏50km以遠の県北地域の豊かな自然や文化と調和した産業の振興を軸に地域振興を目指す「テクノグリーン構想」が進められており,その中核施設として,熊谷市に「テクノグリーンセンター」を整備し,研究開発,技術交流,人材育成等の産業支援や業務機能の集積を進めることとしている。

このほか,国立試験研究機関の地域移転の一環として,国立公衆衛生院の移転が予定されている。

また,遊びや学習体験を通して,児童・青少年の創造力や科学する心等を培うため,「さいたま科学創造パーク」を整備する構想があるほか,現在,県内の公立の小中学校から「科学技術推進校」を選び,児童・生徒に対して科学技術への関心を高める努力を行っている。

(神奈川県)

神奈川県では,昭和63年に神奈川県科学技術会議を設置し,平成2年には,地域の科学技術を振興するため,生活の質の向上,地域産業の高度化,知識の創造・進歩への貢献を基本目標とする「神奈川県科学技術政策大綱―人間・生活・産業と科学技術―」を定めている。

県内には民間企業の研究所も多く,また,基礎研究,先端技術研究開発を行う研究所が多いのも特徴となっている。

県では,公設試験研究機関の整備に力を入れており,心と体の健康の増進の分野,安全で文化的な生活分野,環境保全分野等,県民生活に直接関係する研究機能,産業系科学技術分野の研究機能を整備・強化し,総合的な研究開発体制の構築を進めている。また,国の行政機関等の地方移転の一環として,既に文部省宇宙科学研究所が移転したほか,大蔵省印刷局印刷研究所,水産庁中央水産研究所等が移転準備を進めている。さらに,生活・地域流動研究として,平成4年度からは「生活用水等を中心とした都市環境の浄化に関する研究」を実施している。

このほか,科学技術支援体制の整備として,神奈川の産業社会の中で研究開発型企業を戦略的に育成する拠点として「かながわサイエンスパーク(KSP)」を平成元年にオープンしている。同パークには,任期制による先端的かつ高度な科学技術分野における基礎・応用研究や社会人を対象とした高度な教育を行う(財)神奈川科学技術アカデミー,技術情報・試験計測サービス等,企業の技術力,経営力の強化を支援する(財)神奈川高度技術支援財団が設立されている。

(富山県)

富山県では,昭和58年に富山県科学技術会議を設置しており,平成3年には,新県民総合計画に掲げる「日本一の科学県」づくりを目指し,西暦2000年までに実施する具体的施策として「富山県科学技術プラン」を策定している。

富山県科学技術プランでは,「フロンティアに挑む人づくり」,「研究開発を推進する基盤づくり」,「新しい科学技術を創造するシステムづくり」を3本の柱とし,「頭脳基地富山を創造する」ことを目標としている。

富山県は,日本海側随一の工業集積を誇り,医薬品,メカトロニクス,金属製品等を中心とする多様性のある産業構造となっており,近年は,新素材の開発等の高付加価値化や加工組立型産業への転換が図られている。

富山テクノポリス域内では,富山県立大学の新設,工業技術センターの中央研究所や機械電子研究所の整備等が行われている。また,同地域は同時に頭脳立地計画の承認を受けており,頭脳産業の業務用地である富山イノベーションパークのほかに,中核支援施設として富山県総合情報センター(富山イノベーションセンター)が整備されている。

一方,大学や公設試験研究機関を中心に医薬品,バイオテクノロジー関連の研究にも力を入れている。また,地域研究情報ネットワーク「TORINET」の運営も行っている。このほか,生活・地域流動研究として,平成4年度からは「富山の自然生態からのバイオテクノロジーを用いた有用資源開発等に関する研究」を実施している。

(石川県)

石川県では,昭和57年に石川県技術振興会議を設置し,工業技術の振興を図っている。

県の長期構想である「21世紀へのビジョン〜物と心の豊かさを実感できる社会の建設〜」においては,研究開発等,知識サービス生産部門の集積,高度な科学技術の振興等を掲げている。

石川県では,第3次産業の就業人口の増加が大きく,また,製造業では,機械工業と繊維工業の割合が高くなっているが,近年,電子機器産業の台頭がみられる。

先端的研究開発拠点の整備としては,学部を置くことなく大学院のみを置く独立大学院である北陸先端科学技術大学院大学を活用して,産学官共同研究,社会人の再教育等を推進するとともに,同大学を核とした「いしかわサイエンスパーク」の形成を図ることとしている。

「いしかわサイエンスパーク」には,先端分野の基礎・応用研究を行う20〜30の研究所の立地集積を図るほか,産学官交流等の拠点施設として石川ハイテク交流センター(仮称)を平成5年度までに整備することとしている。

また,研究者間の情報交流を促進するための研究開発情報ネットワークとして,石川県工業試験場の地域研究情報ネットワーク「ハイテクネット石川」が整備されている。このほか,筑波研究学園都市での情報収集等の基地として,石川県つくば開発技術情報センターが設立されている。

さらに,県内企業のハイテク化と産業構造の高度化を促進する産業振興の拠点として,石川トライアルセンターを設立し,受託研究,人材育成等を行っている。

(山梨県)

山梨県では,平成3年度に山梨県科学技術会議を設け,科学技術振興の指針となる「山梨県科学技術政策大綱」を策定し,これを同県の当面の総合計画である「山梨プレ幸住県計画」の主要な柱として位置付け,新たな世紀への飛翔・文化としての科学技術の確立を目指し,施策を推進している。

このような中で,県民の科学技術に対する認識や関心を高めるための科学技術に親しむ講座の開催や青少年の創造性,独創性を育むための科学技術教育や創意工夫活動を推進している。

また,県立試験研究機関合同の科学技術研究発表会や共同研究を行っているほか,基盤整備にも取り組んでおり,平成3年度には,工業技術センターの新施設を完成し,現在,果樹試験場,森林林業総合研究所の整備を進めている。

さらに,この一環として,地球環境問題についても貢献できる高度な研究開発機能を持つ環境科学研究所建設構想を推進している。

(静岡県)

静岡県では,昭和62年に策定した「静岡県新総合計画 豊かな心と活力のある社会をめざして―21世紀へのみちづくり―」の基本目標のひとつとして「多彩で活力にみちた産業を育てる」を掲げ,地域産業の高度化,高付加価値化の推進を行っている。

昭和62年から平成3年まで設置していた静岡県科学技術振興会議において,平成元年には「21世紀を展望した静岡県の科学技術振興のありかた」,平成2年には「静岡県における科学技術振興施策の基本方向」をとりまとめ,この結果に基づいて,平成3年には,中小企業者の研究開発の支援,高度技術の研究開発等を推進する(財)静岡県科学技術振興財団が設立されている。

また,浜松テクノポリス圏域には,中核施設として静岡県浜松工業技術センターが整備されており,光技術産業,高度メカトロニクス産業,研究開発型中小企業群等を工業開発の目標分野として開発計画が進められている。平成3年には,旧(財)ローカル技術開発協会が旧(財)電子化機械技術研究所と統合して,(財)浜松地域テクノポリス推進機構が設立されている。同機構は,県内の研究者,技術者をパソコンネットワークで結び研究交流を活性化し研究開発機能の高度化を目指す静岡県研究情報ネットワーク「ハイテクネット静岡」の運営も行っている。

このほか,県内にはNEDOの研究基盤整備事業として(株)鉱工業海洋生物利用技術研究センターが設置され,(株)海洋バイオテクノロジー研究所が同センターの設備を利用し研究を実施している。

(京都府)

京都府は,昭和36年に京都府科学技術審議会を設置し,産業振興にかかわる科学技術の振興に関する調査研究,科学技術振興対策の審議等を行ってきている。また,平成2年に策定された「第四次京都府総合開発計画」においては,真の豊かさを実感できる社会の実現を掲げ,「ハイテク&ハイタッチ」をテーマに,科学技術の振興に取り組んでいる。

京都府南部には,文化,学術,研究,産業の新しい拠点を形成すると共に,魅力ある居住環境,都市環境の創造を目指す関西文化学術研究都市(京都府域)の建設が進めらている。既に,(株)国際電気通信基礎技術研究所や(財)国際高等研究所,財地球環境産業技術研究機構等の研究機関が設立されている。平成2年には,ハイタッチ・リサーチパークがオープンし,異なる分野の地元企業を中心に十数社が研究所を設置している。また,京都・大阪・奈良の研究交流のための研究情報ネットワークとして「けいはんなネット」が運営されている。

一方,京都市内には都市型リサーチパークとして京都リサーチパークの建設が進められており,中小企業の技術力向上の中心となる京都府中小企業総合センターが移転・整備されたほか,京都市工業試験場,京都高度技術研究所等の研究機関等の集積がなされている。

京都府は,地元の中小企業から全国型企業へ発展した例も多く,高度な科学技術プロジェクトへの中小企業の参加が積極的であり,府もこうした中小企業参加の計画に熱心である。中小企業の技術振興のため,(財)京都産業技術振興財団を設立し共同研究,情報・人材交流の支援等を行っている。

(大阪府)

大阪府では,昭和61年に大阪府科学技術懇話会を設置し,昭和63年に「大阪府研究開発大綱―研究開発の新たな推進に向けて―」を策定している。大綱では,「地域の活性化に資すること」,「府民生活の向上に資すること」,「国際化に資すること」を研究開発推進の基本としている。また,平成3年に策定した「大阪府新総合計画―交流と創造,新しい豊かさの先導をめざして―」においても「学術・研究の拠点づくり」,「技術革新を先導する産業社会づくり」等を掲げている。

大阪圏は,多くの分野で東京圏に優るとも劣らぬ水準を維持していることから,多くの研究プロジェクトが進行しているが,特に大阪府下では,各地域ごとにライフサイエンスや材料工学等,既存の地域ストックをいかした特色ある科学技術分野の振興が図られている。

北大阪地域では,既に大阪大学の細胞生体工学センターやたんぱく質研究所を始め,国立循環器病センター,(財)大阪バイオサイエンス研究所,(株)蛋白工学研究所等の研究機関が集積しているが,こうした既存の学術・研究機関の集積をいかし,丘陵部においてはライフサイエンス分野の新しい研究拠点として国際文化公園都市の整備が進められており,また,千里中央地区では,ライフサイエンス分野の産学官の研究交流等を支援する拠点として千里ライフサイエンスセンターが整備されている。

東部大阪地域では,関西文化学術研究都市(大阪府域)の津田サイエンスヒルズにおいて,NEDOの研究基盤整備事業として(株)イオン工学センターが整備されたほか,基盤技術研究促進センターの出資事業として自由電子レーザ研究所の設置が予定されている。また,生活・地域流動研究として「無機化合物―有機複合系材料インテリジェント化に関する研究」が,(株)イオン工学研究所を中心に実施されている。

このほか,泉州地域では,大阪産業の技術高度化を目指す府立産業技術総合研究所の整備計画が進むほか,関西国際空港の立地インパクトを活用して,研究機関や先端技術産業・情報産業等が集積するハイテク・リサーチパークを形成するコスモポリス計画等が進んでいる。

また,大阪市地域では,情報通信,先端技術開発及び国際交易機能を備え,文化・レクリエーション・居住機能を合わせ持つ新しいまちづくりを目指すテクノポート大阪計画等が進められている。

(兵庫県)

兵庫県では,「創造的科学技術立県」を逸速く県政の重要課題として取りあげ科学技術振興施策を展開しており,昭和61年から平成4年3月まで設置していた兵庫県科学技術会議において,兵庫県科学技術政策大綱の策定,兵庫県科学技術白書,兵庫県科学技術ハンドブックの作成等を行ってきている。

兵庫県は,瀬戸内海臨海部を中心に,鉄鋼,造船,機械,化学等の重厚長大産業が展開し,民間企業の研究開発活動の中核を担う研究機関の集積が見られる。

西播磨テクノポリスは,高技術機械産業や健康福祉産業を中心に計画が進められている。テクノポリス域内の播磨科学公園都市は,優れた先端産業と研究機能,快適な居住環境に加え,余暇・文化等の「遊」機能を総合的に備えた理想的な都市として整備されており,日本原子力研究所と理化学研究所とにより大型放射光施設(SPring-8)が建設中であるほか,県立姫路工業大学理学部,先端技術研究開発センターの設置及び研究開発型企業の立地が進みつつある。

公設試験研究機関については,工業試験場と3つの工業指導所を一体化し,県立工業技術センターとして統合,高齢者脳医療・研究センター(仮称),県北農業技術センター(仮称)の設置を予定する等,強化を図っている。

このほか,創造的な科学技術の振興を推進する機構として,(財)ひょうご科学技術創造協会が設立され,共同研究開発推進事業,学術研究支援事業等を行うこととしている。

(山口県)

山口県では,平成3年に山口県科学技術振興会議を設置し,「山口県における科学技術振興の基本方針(仮称)」の策定作業に着手している。

県では,地域科学技術振興基金を創設し,リスクが多く民間企業単独では実施困難な基礎的研究分野について,県内の産学官で構成する研究グループ等に委託して研究開発を実施する基礎的研究開発事業等を展開している。また,科学技術分野において顕著な功績を挙げ,かつ,今後一層の活躍が期待できる県内在住の研究者等を対象とする表彰制度を創設する等,多角的な科学技術振興施策を展開し,21世紀に向けた技術・産業集積県づくりを強力に推進している。

宇部テクノポリスは,エレクトロニクス,メカトロニクス,新素材等の産業を中心に整備が進められている。昭和62年には研究開発支援施設として山口県メカトロ技術センターを開設したほか,県内の研究開発拠点の形成を目指す宇部新都市の建設を進めている。また,域内に東京理科大学山口短期大学を誘致したほか,山口大学に地域共同研究開発センター,工学研究科(博士課程)が設置される等,「学」の立地促進がなされている。

山口県は,素材産業が盛んであり,平成2年にはNEDOの研究基盤整備事業により素材創製関連の超高温極限環境を提供する(株)超高温材料研究センターが設立され,その研究設備を利用して(株)超高温材料研究所が研究事業,受託評価試験事業等を行っている。


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