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第1部   科学技術の地域展開
第2章  地域と共に発展する科学技術
第3節  地域の科学技術に関する指標の分析
2.  科学技術活動の成果


(科学技術活動とその成果の関係)

前項では,地域の研究拠点数,研究者数等の指標と,特許数,技術移転数,論文生産量等の指標を分析したが,両者の関係は現在の段階では明確にはしがたかった。これは,地域における積極的な科学技術活動が比較的最近始まったのに対し,研究の成果は比較的現れるのに時間がかかることから現在の指標では十分現れ切っていないものと考えられる。

しかしながら,第1章で見たように,国際会議開催件数,技術士事務所分布などに見られるように科学技術を通じた地域の活性化は着実に進んでいるところであり,タイムラグはあるものの今後地域における科学技術指標の値は高まっていくものと期待される。いずれにしても地域の科学技術政策を的確に遂行していくためにも,これら地域の科学技術に関する指標の研究が望まれる。

科学技術活動は論文,特許等の目に見える成果やあるいはノウハウ,技術ポテンシャルの向上など目には見えにくい成果を通じて最終的には社会的・経済的効果を生み出していく。国や都道府県の経済成長の技術寄与率の高まりはこれを示しているものと言えるが,現在行っている科学技術の具体的施策が直ちにどのような経済的・社会的効果を上げているかを示すことは難しい。すなわち,科学技術上の成果が社会的・経済的効果に結実するには,産業化のための資金確保,関連産業の支援,良質な労働力の確保,輸送通信などの社会資本の整備からはじまり国際的な産業構造の変化,国際的な金融条件なども大きな影響を与えるところである。

以下では,その一部の例で科学技術が地域に与えた効果を見てみることとする。

(筑波研究学園都市)

筑波研究学園都市の設置については,昭和45年筑波研究学園都市建設法に基づき建設が行われ,平成4年3月現在において国の研究教育機関等47機関,公益法人8機関,民間研究機関等約180機関が整備されている。このほか,筑波西部工業団地,筑波北部工業団地,東光台研究団地,つくばテクノパーク豊里,つくばテクノパーク大穂,上大島工業団地,つくばリサーチパーク羽成などの研究団地等が整備され,企業の進出も進んでいる。特に民間研究機関の設置は昭和60年以降顕著に進んでいるところである。

この地域においては,研究機関の研究集積を最大限活用するために各種の研究交流施策が講ぜられており,共同利用施設である科学技術庁研究交流センターの交流業務,筑波ネットワークの整備等が進められている他,茨城県においても茨城県科学技術振興財団を設置し交流の支援を図っている。例えば,国際交流については,「平成2年度つくばにおける外国人研究者等調査結果」によれば平成2年度に一定期間以上滞在した外国人研究者等の数は,昭和63年度の1,803人から平成2年度の2,295人と飛躍的に増えている。「先端科学技術研究者調査」によれば,将来の研究希望する候補地域として,東京,神奈川についで筑波地区は第3位を占めており,筑波地区の研究者で他地域での研究を望むものは極めて少なく(4%),研究者の研究環境としては好ましい点が多いものと評価される。

本地域で行われている科学技術活動がもたらす社会的・経済的効果を定量的に計ることは難しいが,一つの参考として,つくば市における人口,事業所数等の推移と茨城県全体におけるそれらの推移を比較してみる。いずれもつくば市が茨城県全体を上回っているが特に人口及び従業者数の伸びは大きく,つくば市の研究集積効果は一応発揮されていると見ることができよう ( 第1-2-36表 )。

第1-2-36表 つくば市と茨城県の比較(5年間伸び率)

しかし,筑波研究学園都市の研究環境については,「筑波研究学園都市における研究開発機能の集積効果に関する調査研究報告書(中間報告)」によれば,筑波地区に進出した企業で「国の施設や設備の利用が可能」を立地時の要因としたものが85%あったのに対し,立地後効果が得られたとするものは51%という数字が示されている。また国立試験研究機関における支援関係業務への不足感は強いとされているが,民間企業研究所においても「研究支援サービスを得やすい」を立地時の要因としたものが80%に対し,立地後効果が得られたとするものは41%と低い。更に,茨城県の策定した「グレーターつくば構想」においては,筑波研究学園都市に集積した科学技術,都市基盤等の発展エネルギーを県南,県西地域全域に効果的に波及させる必要が指摘されている。

(その他研究集積地域)

昭和58年に制定された「高度技術工業集積地域開発促進法」に基づきテクノポリス開発計画が申請され,現在までに26地域がテクノポリスの承認を受けている。テクノポリス地域における事業を見ると,テクノポリス開発機構における研究開発型企業育成を目的とする債務保証事業,研修・指導事業,研究開発事業等は59年度から63年度へ順調に伸びている。また研究開発施設,大学なども地域により差があるが整備が進んでいる( 第1-2-37表 )。企業立地についても立地件数,敷地面積などにおいて際立った増加もみられる( 第1-2-38表 )。また産学官の共同研究も増加している。しかしながら,テクノポリス開発計画においては平成2年度を当面の目標とした工業出荷額,工業従業者数,人口等の定量的な目標が設定されていたが,これら開発目標の達成状況は地域により大きな格差が生じている。特に,構造不況業種が主要な産業の一つに上げられている地域で目標達成状況に多大な影響を生じたり,また我が国経済のサービス化,ソフト化の進展により製造業自体の従業者数の増加が停滞傾向にあるためである。このように,新技術や新製品の開発を地域独自で行っていく努力は進み,産業構造の転換は着実に進みつつあるものの,目標達成という形では余り現れていない。テクノポリスについては,現在各地方公共団体では,内発的開発の重視,産学住遊が一体となったまちづくり,国際化への対応等を内容とした新しいビジョンの下に開発計画の変更を行った。

第1-2-37表 研究開発施設,大学などの整備状況

第1-2-38表 企業立地状況


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