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第1部   科学技術の地域展開
第1章  科学技術の地域への新展開
第2節  国の科学技術政策の地域展開
2.  地域における国の研究拠点


(1)大規模研究集積拠点の整備

すでに研究学園都市として筑波及び京阪奈に整備が進められ,また原子力分野では茨城県で研究拠点の整備が進められている。特に,第四次全国総合開発計画においては,筑波及び京阪奈を文化・学術・研究等の拠点として整備するとともに,各地域においてその特性をいかした研究学園都市の整備を図ることとされている。

1) 筑波研究学園都市(茨城県)

筑波研究学園都市は,昭和39年に設置された研究・学園都市建設推進本部を中心として,昭和45年に制定された筑波研究学園都市建設法の制定等を経て,その建設及び試験研究・教育機関の移転が進められ,昭和55年3月に43の試験研究,・教育機関等の施設が概成している。

筑波研究学園都市は,首都圏全域の均衡ある発展に資するとともに,高水準の研究,教育のための拠点を形成し,科学,学術研究及び高等教育に対する時代の要請に応えるため国の施策として建設が進められている。

現在,筑波研究学園都市には,国の試験研究・教育機関等47機関が業務を行っており,また,民間の研究所も進出している。

このように,筑波研究学園都市の充実が図られてきており,さらに国際的な研究拠点として育成するための諸施策が行われている。

2) 関西文化学術研究都市(京都府,大阪府,奈良県)

関西文化学術研究都市は,近畿圏において培われてきた豊かな文化・学術・研究の蓄積をいかし,21世紀に向けた創造的かつ,国際的,学際的,業際的な文化・学術・研究の新たな展開の拠点づくりを目指すものであり),昭和62年6月に施行された関西文化学術研究都市建設促進法に基づき,その整備が進められている。

3) 原子力関係研究拠点

原子力分野の研究拠点として,茨城県の東海村をはじめとして,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団等の研究所が立地している。直接これらの研究所の研究支援を行う関係企業や財団も育成されつつある。

また,青森県むつ小川原地区には核燃料サイクル施設が設置され,第四次全国総合開発計画では原子力技術の特色をいかした多角的活用を検討することとされている。既に原子力と環境のかかわりをメインテーマに調査研究を行う(財)環境科学技術研究所が設置されているほか,再処理工場の建設計画に伴い,原燃技術開発センター(仮称)の整備が進められている。

(2)重要研究拠点

1) 国の機関

(1)通信総合研究所関西支所(兵庫県)

通信総合研究所関西支所(関西先端研究センター)は,通信総合研究所の基礎研究の中核拠点として,神戸市と明石市にまたがり,平成元年5月に設置され,21世紀を展望した創造的・先端的な研究を進める役割を担っており,関西地域における産学官の研究活動の要としての役割を果たすことが期待されている。

(2)核融合科学研究所(愛知県,岐阜県)

核融合科学研究所は,名古屋大学プラズマ研究所(愛知県)などの改組転換により,大学共同利用機関として創設され,核融合プラズマの学理及びその応用の研究を推進するとともに,岐阜県土岐市に,世界最大のヘリカル型核融合実験装置を建設中である。

(3)先端科学技術大学院大学(石川県,奈良県)

近年の著しい科学技術の進展に対応し,先端科学技術分野の基礎研究を積極的に推進するとともに,当該分野の高度の研究者・技術者の組織的な養成及び再教育を行うため,学部を置かない大学院のみの大学として,北陸先端科学技術大学院大学及び奈良先端科学技術大学院大学を創設した。

2) 特殊法人等

(1)創造科学技術推進制度

新技術事業団の創造科学技術推進制度は,研究者個人の独創性をいかすため,研究組織や施設を固定化しない人中心の流動的システムで研究が総合的に推進されている。このため,各プロジェクトの研究推進に適した場所が選定され,現在,北海道,福岡県等11都道府県で研究が行われている。

(2)フォトダイナミクス研究(宮城県)

理化学研究所は,平成2年度にフロンティア研究システムとして仙台市において,フォトダイナミクス研究を開始した。フロンティア研究システムとは,国,機関を越えて優秀な研究者を一定期間採用し,先端的研究領域における基礎的研究を実施するものであり,フォトダイナミクス研究では,光と物質や生物との相互作用の解明を目的とする研究を実施している。

(3)イオン照射研究施設(群馬県)

我が国最初の本格的イオンビーム利用研究施設である日本原子力研究所高崎研究所のイオン照射研究施設(TIARA)は,平成3年度から稼働しており,国内外の研究機関と協力して,イオンビームを用いた放射線高度利用研究として,宇宙環境材料,核融合炉材料,バイオ技術,新機能材料等の研究が行われている。

(4)動力炉・核燃料開発事業団敦賀新型炉センター(福井県)

動力炉・核燃料開発事業団は,福井県敦賀地区の施設を敦賀新型炉センターと位置付け,新型原型炉「ふげん」を運転するとともに,高速増殖原型炉「もんじゅ」については,平成5年3月の臨界を目標に総合機能試験を進めている。

(5)SPring-8(兵庫県)

播磨科学公園都市の中心的な施設として理化学研究所及び日本原子力研究所が建設を推進している大型放射光施設(SPring-8)がある。これは,世界最大級の規模のもので,光速近くまで加速された電子が,磁場により曲げられたときに発生する光(放射光)を利用し,最先端の研究を行うための内外に開かれた共同利用施設であり,平成10年に供用を開始する予定である。

(6)新エネルギー・産業技術総合開発機構出資事業

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,基礎的研究開発の環境整備を目的とした産業技術研究基盤事業を行っている。

NEDO,地元の地方公共団体,民間企業の共同出資により,研究基盤施設を整備,運営する法人が設立され,次のような研究基盤施設が整備されている。

(イ)イオン工学センター(大阪府)

イオン工学に関する研究開発の進展を図る目的で昭和63年に設立され,イオン注入装置,イオン蒸着装置,分析・評価装置等が整備されている。

(ロ)鉱工業海洋生物利用技術研究センター(岩手県,静岡県)

海洋生物の鉱工業への利用技術に関する研究開発の進展を図る目的で平成元年に設立され,環境制御無菌培養システム,高温高圧培養装置,核磁気共鳴装置等が整備されている。

(ハ)地下無重力実験センター(北海道)

地下空間を活用して各種無重力実験に関する研究開発の進展を図る目的で平成元年に設立され,落下塔において無重力実験を行う実験研究施設が整備されている。

(ニ)超高温材料研究センター(山口県,岐阜県)

航空,宇宙,エネルギーを始めとする先端技術分野で実現が強く望まれている超高温材料の研究開発の進展を図る目的で平成2年に設立され,素材創製関連設備,実用化特性評価設備が整備されている。

(ホ)レーザー応用工学センター(新潟県)

レーザーの産業への利用技術に関する研究開発の進展を図る目的で平成2年に設立され,COレーザー加工機,よう素レーザー加工機,エキシマレーザー発振器等が整備されている。

(7)基盤技術研究促進センター出資事業

基盤技術研究促進センターは,民間において行われる鉱業,工業,電気通信業及び放送業に係る基盤技術に関する試験研究の促進を図るための出資を行っている。この事業により,蛋白工学研究所(大阪府),アモルファス・電子デバイス研究所(宮城県),エイ・ティ・アール通信システム研究所(京都府)等が設立されている。

(8)生物系特定産業技術研究推進機構出資事業

生物系特定産業技術研究推進機構は,民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験研究に対する出資を行っている。この事業により,北海道グリーンバイオ研究所,冷水性高級魚養殖技術研究所(岩手県),和歌山アグリバイオ研究センター,海藻資源研究所(愛媛県)等が設立されている。

(9)医薬品副作用被害救済・研究振興基金出資事業

医薬品副作用被害救済・研究振興基金は,民間において行われる医薬品技術等に関する試験研究に対する出資を行っている。この事業により,創薬技術研究所(福島県)等が設立されている。

(10)(財)環境科学技術研究所(青森県)

(財)環境科学技術研究所は青森県六ヶ所村に平成2年に設立された。

本研究所においては,原子力と環境とのかかわりをメインテーマに,放射線や放射性物質が環境に与える影響などを中心として調査研究を行っている。

(3)国の研究拠点の地域展開の条件と課題

国の研究拠点が地域に展開してきた理由としては,国の一極集中是正や地域の活性化の方針に沿った努力の一方で,東京圏や関東圏で研究拠点のための用地を確保することが困難になっていることもあげなければならない。最近の地価の高騰の一方で,研究施設によっては広大な土地を必要としたり,地盤等の厳しい立地条件,研究に必要な環境条件,電力や水利の確保等も必要となり東京圏や関東圏では対応が困難となってきている。一方,研究拠点においてもより積極的に,既に設置されている優れた研究拠点との交流を期待し,地元産業との交流や地元産業からの支援のもとで研究を実施しようとする考え方も出てきている。特に,近年,科学技術の推進に積極的な地方公共団体が出てきており,これら地方公共団体からの働きかけによって研究機関の地域展開が促進されでいるところもある。

このような国の研究拠点の地域展開に当たっては,本来の目的である国の研究が推進されていくための条件が整備されることが必要である。一般的には,優れた研究拠点が集積していること,施設・設備,情報等の研究環境が整備されていること,研究支援機能や関連産業の立地等があること,交通・通信などの基盤が整備される等研究者の交流が促進される条件が整っていることが重要であり,更には研究者自身の生活環境についても研究に対する意欲の向上を図る上から重要である。

「先端科学技術研究者調査」によると,研究面のほとんどの項目について,東京都,神奈川県,大阪府の研究者よりそれ以外の地域の研究者の方が不便であるとした割合が大きい。この結果から,東京等とそれ以外の地域との基盤整備についてはかなりの違いがあるといえる( 第1-1-22図 )。

第1-1-22図 研究面における不便


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