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第1部   科学技術の地域展開
第1章  科学技術の地域への新展開
第2節  国の科学技術政策の地域展開
1.  国立試験研究機関・大学等の新たな展開


(国立試験研究機関・大学等の地域展開)

国立試験研究機関は国の行政目的に応じ必要な研究を実施することが使命となっており,多くは東京圏に設置されていたが,筑波研究学園都市の建設に伴い,国の研究機能を筑波に集積する方針の下に東京都内の研究機関の移転が進められ,現在では30の国立試験研究機関が筑波研究学園都市に所在している。

このほか,工業系,農林水産業系などの国立試験研究機関では,主要な地域ブロックごとに地域との関係で役割が規定されている研究機関が設置されている(工業技術院大阪工業技術試験所,北陸農業試験場,東北区水産研究所等)。これらの研究機関は,地域における研究のセンターの役割をもち,地域固有の研究,地域における研究水準の向上や地域への研究成果の普及を図る等の業務を遂行している。また,特有な自然環境や産業に関する研究を行う研究拠点は我が国の当該分野の研究のセンターの役割を持ちながらも,地域に設置されている例も多い(遠洋水産研究所(静岡県),養殖研究所(三重県),防災科学技術研究所新庄雪氷防災研究支所(山形県)等)。

国立試験研究機関(支所を含む)の拠点数については,前節に分析したとおり総数としてほとんど横ばいであり,地域展開としての顕著な傾向はうかがえない。国立試験研究機関もその他の行政機関と同様行政改革の方針のもとで組織の抑制が行われているため,総数としての拠点数は大きな変化は見られないものである。なお,「国の行政機関等の移転について」(昭和63年7月19日閣議決定)により国の機関の移転の方針が決定され,いくつかの研究機関については地方移転が行われ,また検討が進められているところである。

次に,近年,特殊法人等や,特殊法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構や特別認可法人の出資を受けて研究機関の設置が行われる例が多くみられ,このような中で地域に設置される機関も増えてきている。

大学については,戦後新たに多くの大学が全国に設置された。特に昭和30年頃からは理工系学生の増員計画が実施され,これに伴い各地の大学に理工系学部,学科が設置されることとなった。これら大学等については地域への適正な配置の方針の下に設置が行われている。

このような中で,文部省は「昭和61年度以降の高等教育の計画的整備について」(昭和59年,大学設置審議会報告)に沿って,高等教育機関の地域における整備を進めている。また,平成3年の大学審議会答申「平成5年度以降の高等教育の計画的整備について」に沿って,地方の中枢的都市及びその周辺地域での大学等の整備を重視することとしている。さらに,大学等に学園の候補地を紹介するものとして,学園計画地ライブラリーが昭和55年から国土庁大都市圏整備局に設置されている。平成4年4月現在,452市町村の538箇所が学園計画地として登録されている。

地方公共団体自らの努力としては,公立大学の設置が進められたほか,地方公共団体が用地や建物及び設備の一部を準備したり,または大学運営の経常費の一部を補助する公私協力方式により私立大学が地域に大学を開校する例が増えている。

また,対象とする研究分野が同一の分野の研究者が共同利用することを目的とする大学共同利用機関も地域に設置されている。

さらに,大学では,産業界等社会の各方面から多様な期待と要請に適切に対応するため,民間等との共同研究等の諸施策を実施しており,国立大学については,社会との協力・連携をより積極的に推進するため,共同研究センターを昭和62年度から整備してきている。この共同研究センターは,民間等との共同研究,受託研究等の場として活用されているほか,民間企業等が行う研究開発に係る技術相談等を行っている。昭和62年度に3大学に設置されて以来,毎年5大学に設置され,平成4年度に計画されているものを含めると設置大学は28大学になる( 第1-1-21表 )。

第1-2-21表 国立大学共同研究センター一覧

(大規模研究集積拠点の整備)

このような国立試験研究機関・大学等の東京圏以外への地域の展開に際しては,国としての方針に基づき研究集積を積極的に図っている例があり,例えば,筑波研究学園都市や関西文化学術研究都市がある。

また,科学技術分野全般ではなく特定の分野に限って集積が進められた例としては,茨城県の東海村等の原子力研究関係の施設等がある。

しかし,近年はこうした大規模研究集積拠点の整備としての地域展開以外に重要な研究拠点が地域展開していく例が多く見られる。

(重要研究拠点の地域展開)

現在,我が国は基礎研究の推進を図り,その成果を通じて国際貢献を図って行くことを科学技術政策の目標としており,こうした国の科学技術政策上特に重要な役割を果たすものとして,大型研究施設や総合的先端研究施設を設置する研究拠点,創造的な研究システムを採用する研究拠点が増えている。国の研究拠点の地域展開の中でも特にこのような重要な研究拠点が増えていることが注目される。

大型研究施設については,第1節でふれたように大型加速器などが例としてあげられる。近年,物質材料やライフサイエンスなどの各種の分野で大型加速器の必要性が高まっている。これら大型加速器の整備に当たっては施設立地などの観点からも地域における設置が増えている。

総合的先端研究施設とは,多くの研究設備を集積して設置し,それに関連して測定・分析・支援設備を総合的に整備することによりその効果的な利用を図る形態の施設である。

また,創造的な研究を実施するために,優れた研究者を外部から招へいし,研究者について任期を定めた流動的な研究体制を取り,先端的な研究設備を整備して実施される研究が進められている。近年,このような研究には,特に地域の優れた研究ポテンシャルを活用するため,積極的に地域の優れた研究拠点を活用している例が増えている。

次項では,地域における国の研究拠点の具体例として,大規模研究集積拠点の整備と,近年見られる重要研究拠点の動向を具体的に眺めてみることとする。


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