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第1部   科学技術の地域展開
第1章  科学技術の地域への新展開
第1節  科学技術の最近の動向と地域への影響
3.  研究設備整備と研究関連活動


研究拠点以外にも研究設備整備や研究関連活動等で近年顕著な動向を示すもので地域への展開を示すものがある。以下ではその代表的な例を分析してみる。

(大型研究設備の整備)

最先端の研究を実施するにあたっては,研究テーマにより大型研究設備が不可欠な場合がある。近年,このような大型研究設備は設置場所に多くの制約があるなどから限られた地域に設置されることが多い。

このような大型研究施設の地域での設置状況を見てみることにする。

まず大型加速器の整備状況を見てみる。物質の微細な性状や物理的性質を研究するために,各種の加速器が開発され,利用されている。

比較的古くから設置されているサイクロトロンの設置状況をみてみると殆ど東京圏ないし関東圏に設置されている。

これに対し,近年特に加速器の中で注目されている放射光施設及び自由電子レーザについてみてみる。放射光施設は東京圏4箇所に対し東京圏以外の地域に10箇所(茨城県9,愛知県1)設置されており,東京圏以外への分散が進んでいる。

関西圏には以前は設置されていなかったが,理化学研究所と日本原子力研究所が共同して国内外の幅広い研究者の共同利用施設となる世界最大級の大型放射光施設(SPring-8)が,兵庫県播磨科学公園都市に建設中であり,内外から注目をあびている。

次に自由電子レーザを例にとって具体的に見てみると,茨城県(6箇所),埼玉県,千葉県,神奈川県,愛知県,大阪府(3箇所),兵庫県に計14箇所に分散して設置されており,東京圏では3箇所に対し東京圏以外の地域に11箇所となっており,大型研究施設が東京圏以外の地域にも設置が進んでいることが分かる( 第1-1-12表 )。

さらに,大型研究設備の例として超電導材料研究用超強磁界発生装置の整備の状況をみてみる。超電導材料については各国で研究開発を推進中であるが,超電導現象は,磁界と密接不可分な関係がある。このため,超電導物質・材料の研究開発を進めるためには,磁界,電流,外部圧力等多面的な解析を可能とする超強磁界発生のための施設設備が必要である。国内の超強磁界発生装置の整備状況をみると,10T(テスラ)級以上の装置は9基あり,宮城県(3基),茨城県(4基),東京都(1基),福岡県(1基)にそれぞれ設置されており,ほとんどが東京圏外であり,この分野でも大型研究施設が東京圏以外の地域に設置が進んでいる( 第1-1-13表 )。

第1-1-12表 自由電子レーザの整備及び整備予定状況

(放射性同位元素及び放射線発生装置)

また,放射性同位元素(RI)及び放射線発生装置の使用は近年ますます増大し,平成3年3月末には使用事業所数は約4,900にも達している。使用分野としては,医療,研究,教育,工業や環境保全等の多方面にわたっているが,特に研究機関,教育機関の使用は全体の19%,8%を占めている。研究・教育用RI等の使用事業所の地域別比率の推移を昭和56年から平成3年の間でみてみると,東京都及び東京圏の比率は低下しており,研究・教育用RI等の使用が東京圏から周辺の地域へ拡大しつつあることがあらわれている( 第1-1-14図 )。

第1-1-13表 主な超強磁界発生装置の整備状況

第1-1-14図 放射線使用事業所数の地域別比率の推移

(国際会議の開催)

科学技術関係国際会議の開催状況も地域の科学技術水準と密接に関連しているものと考えられるが,昭和57年度から平成4年度までの国内での国際会議の開催登録件数は全国で2倍以上に増加している。開催場所別に調べてみると,東京圏での件数の比率は64%から28%へと大きく低下しているのに対し,東京圏以外での件数の比率は36%から72%へと倍増しており東京圏以外の地域の伸びのほうが大きい。このことは東京以外の地域においても国際的な会議を開催できるだけの条件が着実に備わってきているものと考えられる( 第1-1-15図 )。

第1-1-15図 国内における国際会議の開催登録件数の推移

(技術士事務所の分布)

技術相談や技術指導,また技術移転,科学技術の中小企業への普及等を担う科学技術人材の育成・確保を目的として技術士制度が設けられている。技術士は,科学技術についての計画,研究,設計,分析,試験,評価又はこれらに関する指導の業務を通じて,我が国の科学技術の普及及び水準向上に貢献している。

このような技術士は全国に分布しているが,(社)日本技術士会が昭和62年に行った「技術士に関する実態調査」結果によると,昭和51年度から62年度までの11年間の技術士事務所の地域別分布の傾向をみると,東京圏の比率が61%から53%へとやや低下しているのに対し,逆に東京圏を除いた地域の比率が40%から47%へと増加している。これは地域における中小企業の活動が活発になってきているものと推測される( 第1-1-16図 )。

第1-1-16図 技術士事務所の分布

(大型研究設備整備の将来見通し)

科学技術庁が平成4年5月に産学官の研究者1,500人(回答950人)に対して実施しだ「先端科学技術研究者に対する調査(平成4年度)」(以下,「先端科学技術研究者調査」という。)によると,先端的な研究に携わっている研究者が将来必要としている施設は全体的には「大型計算機」(22%),「高分解能顕微鏡」(20%)が多い。

研究者の研究分野別にみてみると,ライフサイエンス分野では「高分解能顕微鏡」(22%),物質材料分野,生産・機械分野では「高分解能顕微鏡」(各33%,19%),情報・電子分野,エネルギー分野では「大型計算機」(各27%,36%),海洋・地球科学分野では「調査・観測船」(44%)がそれぞれ最も多く,各分野の特徴が現れている( 第1-1-17図 )。

第1-1-17図 将来必要な大型研究施設

「民間企業研究活動調査」によると,大型研究施設,設備,装置の設置を予定していると回答した民間企業は,設置場所としては「東京都,神奈川県又は大阪府(関西文化学術研究都市の地域を除く)」以外の地域に設置予定との回答が「東京都,神奈川県又は大阪府」に設置予定とする回答よりも多く,今後は地域に大型研究施設が整備される傾向がうかがわれる。


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