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第1部  科学技術活動のグローバリゼーションの進展と我が国の課題
第3章  地球規模での転換期にのぞむ人類の科学技術に対する期待-我が国にとっての課題と展望日
2.  科学技術活動のグローバリゼーションの進展に直面する日本


このような中で,今や世界経済に占める規模の大きくなった我が国に対する国際社会からの期待は,我が国の中で想像する以上に大きなものとなってきている。我が国においては,相当古くから「国際化」という言葉が使われてはいるが,現実の思考体系は情報量の絶対的な違いなどにより,どうしても国内中心となりがちである。世界が我が国を見る目と,我が国が自らを見る目にあまり大きな認識の相違が生じないよう,常日頃意識して世界,あるいは地球全体をみるような努力を積み重ねていく必要がある。我が国が今後いかなる分野で国際社会において積極的な行動をしていくべきかを考えてみた場合,科学技術のように我が国が比較的得意とする分野は,まさに積極的な行動を展開するのに適切な分野の代表例であるといえる。

第1章及び第2章で分析してきたように,近年,世界における科学技術活動の国際的な規模の拡大,あるいは国際的な相互依存化には著しいものがあり,まさにグローバリゼーションと呼ぶのにふさわしい状況になってきている。このような中で我が国の科学技術,特に民間企業の推進する技術の発展は著しく,世界におけるハイテク製品輸出に占める割合の増加,登録された特許の質の向上,さらには海外における研究開発拠点の急増に見られるように,我が国は既に世界の注目をあびる存在になってきている。しかしながら,我が国は基礎研究の分野では,基礎研究レベルの国際比較,論文の引用される回数,国際共著論文の数,ノーベル賞受賞数という指標をみると,規模の面からはある程度の水準にあるものの,技術面との比較ではまだあまり世界に寄与しているとはいえない。我が国は,海外からみた基礎研究の水準とハイテク製品に代表される技術の水準の不均衡が他の先進諸国と比べて際立って激しく,このことが欧米からの基礎研究ただ乗り論がいつまでたっても消えない大きな原因である。情報の吸収に熱心でまるで「情報のブラックホール」のようにみえかねない我が国の行動に対する反感が欧米では底流に存在し続けているといわれているが,我が国においては民間企業の活躍による情報・電子技術などの特定の分野での華々しい技術的な成功が国内であまりに強く印象づけられてしまったため,文化の一つともいえる基礎研究の弱さについての幅広い認識の機会が奪われてしまったのではないだろうか。


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