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第1部  科学技術活動のグローバリゼーションの進展と我が国の課題
第2章  科学技術活動のグローバリゼーションの推進
第4節  科学技術活動のグローバリゼーションを支える共通の価値観と共通規範
4.  国際共同研究の推進



(1) 国際共同研究

今後,研究分野の広域化,複合化がますます進展することが予想され,異分野にまたがった共同研究が増加していくと考えられる。また,共同研究は国内ばかりでなく国境を越えて盛んに行われるようになるであろう。

「先端科学技術研究者調査」によれば,研究者に国際交流の内容について聞いたところ,最も多かったのは「情報・文献の交換」72%であったが,次いで「研究者等の派遣・受入れ」66%,「研究成果に関する議論」57%,「共同研究」50%の順となっている( 第1-2-35図 )。また,国際共同研究を行う理由を聞いたところ,「異なるアプローチの研究を行い,結果を比較している」38%,「異分野なので知見や技術をお互いに補っている」27%,「国内に共同研究の相手がいないので,海外に求めている」27%の順に続いている( 第1-2-36図 )。

第1-2-35図 国際研究交流の内容

第1-2-36図 海外の研究者と共同研究を行う理由

さらに,国際研究協力を行う場合の条件について聞いたところ,「相手との信頼関係がある時」55%,「知的所有権に関する取決め」18%,「共著論文の投稿」10%の順に続いている(第 1-2-37図 )。このうち,国立試験研究機関や大学の研究者からは,国際研究協力を進めていくための条件は「研究者間の信頼関係がある場合」であるとの回答が最も多いが,民間企業の研究者は「知的所有権に関する取決め」との回答が最も多くなっている。それぞれの場合において,研究者等の間でトラブルが起こらないように国際研究交流が円滑にいくように対処していくことが重要である。

第1-2-37図 国際協力を行う際の条件

また,開発途上国との共同研究については,熱帯林,海洋,砂漠,遺伝子資源のような現地の自然あるいは地理的な特性を活かした調査研究が行われており,今後とも現地の要望を尊重した共同研究の推進が望まれている。


(2) メガサイエンス

メガサイエンスの進め方についての研究者の考え方は,「先端科学技術研究者調査」によると,「協力は望ましいが他の研究分野に影響が少ないようにすべきである」という考え方が過半数(60%)を占めている。このほか,「他の研究分野への資金配分へ多少影響があっても積極的に協力すべきである」と,「他の研究分野に影響が出るなら積極的に行う必要がない」が,15%でほぼ同じとなっている( 第1-2-38図 )。メガサイエンスに参加する場合はこのような研究者の意向を考慮し,スモールサイエンスともいわれる通常の研究への影響はできる限り少なくすべきである。

第1-2-38図 メガサイエンスについての研究者の考え方

メガサイエンスへの取組みのあり方については,関係国の認識を可能な限り共通のものとすることが重要である。基本的な進め方としては,個々の計画については,構想段階から国際的に十分な意見交換を行うことが重要であって,構想が固まってから他の国に呼びかけを行っても参加の実現には困難を伴う可能性が強い。また,大型の施設を国際協力により設置する必要性の評価方法の確立なども難しい課題ではあるが検討していくべきであろう。参加することとなった国による長期的な約束の維持は計画遂行には不可欠であり,研究や資金の分担を約束した場合は予算の確保などに十分配慮し計画の遂行に支障を生じないようにしなければならない。

プロジェクトへの参加を検討する各国が事前に国内において検討すべき事項は,当該研究の意義及び研究が成功した場合に見込まれる成果,本件を国際協力により行うことの自国にとっての意義,参加が見込まれる関係国の当該分野における研究開発力の把握とその中での自国の役割,他の交渉中の計画や既存協力事業との関連などがあげられる。計画開始後においては,運営の枠組みを通じた自国の発言権の確保が望まれる。いずれにしても参加協力の提案があった場合にはとるべき施策の方向についてだけでもできるだけ迅速な判断をすることが望ましい。

特定の計画を進める場合は,開始前に計画の目的の明確化,再評価の方法の明確化を図ること,計画の効率的運営と国際調整の円滑化,施設・計画を最先端のものに保つために必要な経費を予測し確保すること,知的所有権の適切な保護,配分を確保することが重要である。また,全参加国が参加する部分と参加国の選択により参加するがどうかを決める部分により計画を構成することも検討すべきであり,さらに,場合によっては参加を再検討する時点をあらかじめ確保することも検討すべきである。研究施設の立地される国においては,単に資金協力や研究者の派遣のみを行う場合と異なり,その計画が十分な成果をあげられるよう参加各国の研究者の受入れ体制の整備によって,よりよい環境を提供する等の面において努力する必要がある。

このようなメガサイエンスの取組みのあり方については既存の二国間協力の枠組みや国際機関の場において積極的に検討し,関係各国の間での相互理解を深めていくことが不可欠な状況となってきている。


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