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第1部  科学技術活動のグローバリゼーションの進展と我が国の課題
第2章  科学技術活動のグローバリゼーションの推進
第3節  内なるグローバリゼーションを目指して
5.  科学技術情報流通の推進


各国間の相互依存が強まるに従い,情報流通の持つ重要性はますます高まって行く。海外における我が国の情報に対する期待,不満の高まりに対応し,我が国から質の高い情報を迅速に提供していくことが求められている。そのためデータベースの充実のみならず,国際的普及の推進や入手が困難な文献の流通促進などが必要である。我が国の情報の国際的流通における最大の阻害要因は日本語が国際的に通用しないことである。膨大な情報を英語に翻訳するための手段として,日英機械翻訳システムを改善することが現在の最大の課題と言えよう。

また海外における我が国の科学技術情報の利用を容易にするという観点から,文献等のコピーを行いやすくするための複写権処理体制の整備が必要である。

(欧米における我が国に関する情報収集の動き)

科学技術分野における我が国の地位の向上とともに日本の科学技術情報に対する各国の関心が高まってきた。米国においては1970年代から我が国に関する情報収集の必要性が論じられてきたが,1986年に制定された日本技術文献法に基づき米国商務省に日本技術文献局が設置されたほか,1988年に締結された新日米科学技術協力協定でも科学技術情報の交換がうたわれている。欧州ではECが1986年からジャパン・インフォ・プロジェクトを実施し,我が国に関する情報収集を行っている。さらに日本情報専門家による国際会議が1987年と1989年に開かれ,我が国の情報へのアクセスの方法などについて論じられた。

このような我が国に関する情報収集の取組みの中で,海外の専門家から,「利用できる情報の内容が不明である」,「一次資料の入手が困難である」等の指摘がなされている。例えば,1989年に行った米国での調査によれば,我が国の情報の検索に日本のデータベースを利用したことが「ある」と答えたのは全体の5.4%と極めて低い。利用しない理由は,「必要がない」というものを除くと,「適切なデータベースが不明」という情報不足が最も多い( 第1-2-18図 )。

以上のことから,我が国の科学技術情報の海外への流通を促進するためには,各種情報の英文による所在案内の拡充,英文データベースの拡充,一次資料の英文化の促進などを図る必要がある。

第1-2-18図 日本のデータベース(DB)を利用しない理由

(複写権処理体制の整備)

複写権については,著作権者等とコピー利用者の間に立ち,権利処理を集中的に行う機関として,「日本複写権センター」を設立する計画が関係者により進められている。すでに「学協会著作権集中処理システム」(自然科学系学協会が発行する出版物を対象)と「著作者・出版者複写権集中処理センター」(その他の出版物を対象)が設立され,権利の集中的な受託に関する業務を進めているが,権利行使に関する業務は「日本複写権センター」を通じて行うことを前提に,それぞれの団体の関係者により,統一に向けて調整が図られている。日本複写権センターの設立によって,日本の各種文献を複写する際の許諾手続が簡素化され,海外においても我が国の情報の流通が容易になることが期待される。

(情報流通ネットワーク)

研究者間の情報流通の手段として様々なコンピュータネットワークが利用されているが,例えば研究者用情報ネットワークの一つに大型計算機を接続点(ノード)とするビットネット(BITNET)がある。その全世界におけるノード数は3,371であるが,国内のノード数はまだ3%弱に相当する93に留まっている( 第1-2-19図 )。またビットネットにより日米,間で伝送された情報は,日本から米国への発信量よりも,米国から日本への発信量が相当多い状況にある。我が国が情報発信基地としての役割を担っていくためには,このような情報提供機能を充実していき,科学技術情報の海外への提供を積極的に進めることが必要である。

第1-2-19図 BITNETのノード数(1990年5月現在)


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