ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部  科学技術活動のグローバリゼーションの進展と我が国の課題
第2章  科学技術活動のグローバリゼーションの推進
第3節  内なるグローバリゼーションを目指して
2.  人材の確保


(国立試験研究機関等における人材の確保)

基礎研究を推進するには人材の確保が重要である。我が国の研究者の数はここ数年順調に増加しているが,これは主として民間企業の研究者数の伸びによるものである。大学等では漸増,国立試験研究機関では横ばいとなっており,特に国立試験研究機関における人材の確保が重要な課題である( 第2-2-4 , 7図 )。

政府研究機関の研究者数を国際的にみると,日本はこの10年間で3%増の27,006人(1990年)であるが,米国では15%増の65,800人(1988年),ドイツでは約20%増の20,574人(1987年),フランスでは1.7倍以上の22,200人(1987年,OECD統計)であり,いずれも年々増加する傾向にある。

今後,我が国の基礎研究を充実させていくためには,国立試験研究機関における人材の確保に努める必要がある。また,大学等においても,大学,学部等の新増設などにより研究者数は増加しているものの,基礎研究の充実のために今後も人材の確保に努めることが必要である。

(将来の研究人材の確保)

我が国が基礎研究を充実させていくためには,将来にわたって優秀な研究人材を確保することが重要である。これは,国立試験研究機関だけではなく,大学等や,今後は基礎研究での役割を大きくしていくと考えられる民間企業にとっても重要な問題である。

研究者に対する需要量を実質国民総生産(GNP)の関数,研究者の供給量を生産年齢人口の関数と考え,過去の研究者数の推移から将来の研究者の需要量と供給量を推定した結果によれば,研究者の需要量は供給量を大きく上回り,2005年には実質GNPが年平均3%の伸び率で成長をした場合には約36万人,実質GNPが4%で成長をした場合には約51万人の研究者不足が発生するとの予測結果もある( 第1-2-8図 )。ここで用いられた予測モデルは極めて単純化されたものであり,研究者の需要量,供給量を大きく左右する要因には,研究開発投資額,高等教育の規模など他にも多く存在すると考えられ,これだけにより将来の研究者の需給の問題を議論することはできないが,近い将来,研究人材の確保が大きな課題となってくることを示唆しているものである。

第1-2-8図 研究者数の将来予測値

将来の研究者を養成する大学等の理工系学部への入学志願者が減少する「理工系離れ」の傾向があることも問題である。また,今後,18歳人口が大幅に減少することもあり理工系への入学志願者は減少を続けるものとみられ,1989年における工学部及び理学部への入学志願者の18歳人口に対する割合のまま一定で推移すると仮定した場合,入学志願者は,2000年には工学部で約89,000人,理学部で約11,000人にまで減少するとの予測結果もある( 第1-2-9図 )。我が国では,21世紀初めにかけて欧米と比べてもより激しい若年層の減少が見込まれており,これに加えて若者の理工系離れに歯止めがかからないと,我が国の科学技術活動の大きな障害となることが予測される。科学技術関係の人材を確保するためには,給与等の処遇の改善,研究環境等の勤務環境の整備などにとどまらず,青少年が科学技術の分野に進んでみたいと思うように,科学技術のイメージアップを図っていくことが大きな課題である。中でも,新たな研究成果を見出したときに突然遭遇する研究者にしか味わえない喜びや感動を,次の世代に伝えることを怠ってはならない。

第1-2-9図 工学部及び理学部への入学志願者予測

また,より優秀な研究者の養成という観点からは,研究者の流動化を促進し,研究者個人個人の創造性が十分に発揮できるような研究環境を整えていくとともに,我が国の大学院の質的,量的な拡充が望まれる。

さらに,女性,高齢者,外国人の活躍の場を広げていくことも課題となっている。女性については,結婚や育児によって不利益を受けることなく,仕事を継続しうるような環境を作っていくこと,高齢者については,能力があり,かつ本人にも意欲がある場合に,その活躍の場を用意していくこと,外国人については,我が国の社会構造全体を外国人を取り込んだ形でも円滑に機能しうるようにしていくことなどが今後の課題としてあげられる。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ