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第1部  科学技術活動のグローバリゼーションの進展と我が国の課題
第2章  科学技術活動のグローバリゼーションの推進
第3節  内なるグローバリゼーションを目指して


我が国の科学技術を取り巻く状況は,米国や欧州とは地理的,歴史的に事情が大きく異なっている。地理的に我が国は科学技術活動の中心から遠く離れており,国際交流を行う上で不利である。歴史的にも,我が国は,欧米に追い付くことを目標としてきたため,技術の育成に偏重してきたことは否めず,それが基礎研究でそれほど十分な活動を行ってこなかった要因となっている。しかし,我が国の科学技術活動は,世界有数の水準にまで上昇してきており,今後我が国のなすべきことは多岐にわたってきている。

我が国の科学技術活動のグローバリゼーションは,第1章でみたように進展しつつあるものの,まだ緒についたばかりである( 第1-2-2表 )。

第1-2-2表 科学技術活動のグローバリゼーションの進展段階

第1-2-3図 科学技術面での国際的役割

このような中で,今後の我が国の課題は,人類の生存,発展にとって共通の基盤を提供する基礎研究において,世界第一級の研究開発成果を創出していくことである。経済協力開発機構(OECD)の「技術・経済計画」(TEP)においても各国が基礎研究を支援することが求められている。我が国の科学技術面での国際的な役割として,「先端科学技術研究者調査」においても,66%の研究者が[国内基礎研究の充実による知的財産の蓄積]と答えている( 第1-2-3図 )。科学技術水準の世界的レベルへの上昇にもかかわらず,外から見て,我が国がこれまでのように情報の吸収に極めて熱心で,情報の発信が不十分のままであり続けた場合,我が国の行動態様は国際的に見て奇異なものと映り,他の諸国との共存さえ危ぶまれよう。我が国が,基礎研究において世界の人々の注目を集め,多くの優秀な研究者が集まり,研究成果を数多く発信する研究開発の基地となるためには,何よりも我が国の研究開発基盤を充実し,国際公共財として流通しうる基礎研究の成果あるいは広範な実用技術の基礎となる基盤的な技術などの知的ストックの形成への努力が最も重要である。

そのためには,公的研究機関の研究資金の充実と優秀な研究指導者や後継者の確保が必要である。また,そのような研究を実施するにふさわしい研究環境の整備も不可欠である。このような努力と並行して,外国人研究者の受入れ及びこれに伴う外国人研究者を受け入れるための環境,体制の充実,さらには情報流通の促進,開発途上国との協力等国際交流の促進が大きな課題となっている。

我が国の研究開発の大きな部分を担う民間企業においては,基礎研究への積極的な取組みとその成果に対する公共財的な扱い,従来の国内における研究マネジメントを世界において通用するものにしていくことが求められている。また,外資系企業による我が国への研究開発拠点の設置が円滑に行えるようにすることも必要である。

我が国の基礎研究を充実させ,発展させていくためには,我が国の研究費や研究人材,研究設備,研究支援体制など広い意味での研究環境が,世界的に通用するレベルになること,つまり,我が国の研究開発活動が,世界の研究開発ネットワークの真の一員となることが必要である。国内におけるこのような過程は,まさに「内なるグローバリゼーション」の完成を目指した長い道程といえよう。


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