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第1部  科学技術活動のグローバリゼーションの進展と我が国の課題
第1章  グローバリゼーションの進展
第1節  経済活動の国境を越えた拡大


(世界規模で進展する経済活動)

近年における貿易,海外投資,外国債券や株の売買の急激な伸びをみても明らかなように,経済活動は世界規模で展開し,相互に依存関係を強め,一体化しつつある。例えば,世界貿易の伸び率は1980年代中期以降世界の実質経済成長率を上回っている。また,生産と同時に消費されるという特徴を持っていることから,従来は国際取引の可能性が低いとされてきたサービス貿易(運輸,旅行,金融,保険,特許権使用料,コンサルタント技術料など)が,国際的な経済の関係が深まったことにより拡大し,1985年から1989年の5年間の年平均伸び率は14%と商品貿易の伸び率を上回っている( 第1-1-2図 )。さらに,海外への直接投資はプラザ合意による為替レートの調整を契機として急速に増大している。直接投資の拡大の様子を日本・米国・欧州共同体(EC)の3極間の直接投資の流れでみると,1985年から1989年までの間に大きく増加しており,特に我が国とECによる米国への直接投資の伸びが著しいことが分かる( 第1-1-3図 )。

このような動きが活発になった理由としては,世界的な規制緩和の動きや,東西冷戦の終焉などがあげられるが,高度に発達したコンピュータネットワークを中心とした情報通信技術,交通運輸技術等の発展による寄与も見逃せない。直接投資の急激な拡大は,産業構造の変化の中で高付加価値型の商品の需要が高まり,市場ニーズ対応型の商品が世界的に強く求められるようになってきたことなどを背景として,民間企業の活動が国境を越えて行われるようになっているためである。

このような直接投資は,逆輸入,投資受入れ国の産業の高度化・競争力強化などのプロセスを経て,貿易の流れに影響を与え,貿易不均衡を調整する役割を担っている。

第1-1-2図 世界のサービス貿易の動向

第1-1-3図 日米EC間の直接投資の流れ

(経済活動における国際的調整)

こうしてますます加速されて行く経済活動のグローバリゼーションは,基本的には世界経済の発展のために望ましい動きであるが,同時に相互依存関係の深化により,各国の政策が他の国の活動や政策に影響を及ぼすようなことも起こり,経済,政治面での利害関係の調整の必要性が増大する。現に,ガット(GATT)等における貿易制限的措置の是正,主要国首脳会議(サミット)における経済政策の国際協調,先進国蔵相・中央銀行総裁会議における金融政策の国際協調などが行われており,安定した国際秩序を形成していくための努力がなされている。

(科学技術活動における国際的調整)

直接投資により現地生産が増えてくると,販売拠点や生産拠点の拡,充・増設に加えて,市場ニーズへの対応のために研究開発拠点の現地設立も行われるようになってくる。すなわち,経済活動のグローバリゼーションは,もともと普遍的な性格を有する科学だけでなく,技術活動においてもグローバリゼーションを進展させることとなった。これに伴い,近年,知的所有権制度や技術の標準化などの科学技術に関する各国の制度や慣行の相違により問題が発生しているので,その問題の解決に向けて国際的な調和が求められている。


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