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第3章   海外及び我が国の科学技術活動の状況
第1節  各国(地域)の科学技術政策
4.  イギリス


(概況)

イギリスの科学技術は,基礎部門(大学,国立研究所)の伝統的な充実を背景にしており,その高水準の科学技術力を産業界の研究開発力に移転するため,一連の産業振興策がなされてきている。政府負担割合は減少の傾向にあり,産業界研究費の自己負担が伸びている。

基礎部門に対して,政府は高い出資比率を維持しており,特に理学分野への支出割合が大きく,基礎科学部門を中心とした科学技術基盤を実現している。

(体制)

科学技術政策の推進については,担当省庁毎に,それぞれ立案実施されているが,首相の諮問,助言機関として科学技術諮問委員会及び首相科学顧問が設けられており,国全体の科学技術の調整を行っている。また,産業の革新分野については産学共同技術開発等の実施に際し,共同研究によって省庁間の融合が図られている。

基礎,学術部門は教育科学省が,産業部門は貿易産業省が担当しているが,産業界への技術移転の実施段階においては,各省庁傘下の研究機関と産業界との共同研究によりなされている。

貿易産業省は,4つの研究所をその傘下に持ち,同省の研究開発基本計画(1988年白書)によると,産業振興策は個別企業の研究から共同研究に重点を移しており,これと併せて1987年には一研究所の改組が実施されている。

教育科学省は,科学研究の審議,実施機関である5つの研究会議(科学工学研究会議,医学研究会議,農業食料研究会議,自然環境研究会議,経済社会研究会議)と大学の財政をつかさどる大学資金委員会を持ち,これらを総括調整する研究会議諮問委員会を通じて補助金の給付をおこなっている。5つの研究会議はそれぞれの分野における大学への科学研究補助金及び共同研究分担金の審査を行うとともに,付属研究機関を持つ事業実施機関である。

(最近の動向)

政府は民間活力の活用を重視し,政府資金については真に必要なものに限って効率的に支出することを方針としており,科学技術についても基礎研究の充実や環境問題への対応について積極的な姿勢を示す一方,市場に近い分野での研究(Near Market Research)は民間にまかせる方向にある。また,高速増殖炉,有人宇宙開発等の大型プロジェクトには消極的傾向がみられる。

貿易産業省は,産学共同及び技術移転の推進のために,これまでの政策の見直しを行っており,1988年白書によると,

・実用化の前段階で長い開発期間を要するものについて,企業間の研究協力の推進及び産業界と大学との提携の強化
・技術移転のより一層の活性化(開発力と実用技術との結びつきの強化)
・個別企業の研究から共同研究へと重点を移行し,いままでの資金援助の廃止(中小企業の先端技術に関する開発研究については従来通り)

の3点に政策の方向をみることができる。

貿易産業省が資金援助している産業界の共同研究は,LINK,ユーレカ,先端技術プログラム,一般産業共同プロジェクトの4つのプログラムが進行中で,これらのプログラムには,複数企業の参加が必要とされている。中小企業に対してはSMARTプログラムが進行中であり,企業単位の助成を行っている。

教育,学術の基礎科学部門においても生産性,効率の観点からの財政合理化が図られており,大学補助委員会は大学と国家との緩衝器という従来の役割を越え,教育科学省の施策に組みこまれることとなり,研究能力評価区分による選別的補助金配分方式を導入してきている。また,従来の大学,学部の枠にとらわれず学際的な研究を推進するため学際研究センターを設立し,重要な研究課題について集中して助成を行う方式を採用している。

研究会議を通じて支出される科学研究補助金は,各研究会議において審査,決定,支給されている。研究会議全体の予算の5割以上を占める科学工学研究会議の基礎部門をみると,工学29%,理学71%(87年)で,理学への投資割合が大きい。


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