ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3章   海外及び我が国の科学技術活動の状況
第1節  各国(地域)の科学技術政策
2.  西ドイツ


(概況)

西ドイツは,研究開発費の対GNP比が2.8%と日本,米国と並んで主要国では世界最高水準にあり,またその比率も着実に伸びてきている。これは西ドイツ産業界の活発な研究開発投資と公的研究機関の充実によるものであり,特に近年の西ドイツ産業界の研究開発投資の伸びは大きく,近年の6年間の年間の伸びは実質で7.6%に達している。

(科学技術政策)

科学技術政策の基本理念は,従来から基礎研究重視にある。シュミット政権末期から基礎研究能力,総合的基盤力では優れているが,エレクトロニクス等のハイテク分野で日米に遅れをとったと懸念する声が強くなり,現コール政権下で応用研究重視・産業界への研究助成の強化へと一時期科学技術政策の転換がなされた。しかし,西ドイツに最も多くの恩恵をもたらしてきたものは基礎研究であったとの見方から,再び基礎研究を重視するようになっている。

1982年にまとめられた科学技術に関する指針では,

1) 基礎研究を重視し,研究者の自由を保証
2) 政府資金は政府の責任分野や社会経済的に政府の支援を必要とする分野に限定
3) 科学技術の進展は人類諸活動の可能性を拡大するものとして肯定
4) 研究開発(特に核融合,海洋,極地,宇宙)の長期計画と国による基盤整備の推進
5) 連邦政府と州政府の連携強化
6) 国際協力の推進

が示されている。

(科学技術政策体制)

連邦全休の研究開発を推進している主要な省庁は,連邦研究技術省(連邦研究開発予算の約48%),連邦経済省(同8%),連邦教育学術省(同11%),連邦国防省(同20%)の4省で,各省庁の調整は連邦研究技術省が行っている。連邦研究技術省は公的研究機関等への助成や国家的研究プログラムの支援を,連邦経済省は連邦研究技術省等との共同で高度技術を志向した中小企業の振興を,連邦教育学術省は大学への助成を実施している。

公的研究機関の1989年における研究費は約76億マルク(5,600億円),研究者2万2,600人であり,主要な研究機関としてはマックスプランク研究協会(62研究所,研究費793億円,研究者数3,200人),大規模研究機関同盟(13研究所,研究費2,444億円,研究者数8,500人),フラウンホーファ一研究協会(26研究所,研究費411億円,研究者数1,700人)を挙げることができる。また,州立である大学(総数242,うち総合大学61,工科大学16,研究費6,670億円,1987年の研究者数36,600人)は伝統的に基礎研究の重要な担い手である。こうした公的研究機関,大学では,各機関内又は各機関相互間の研究交流,研究者移動が弾力的に行われている。

公的研究機関,大学への基本的研究資金は,連邦政府及び州政府が直接拠出しており,研究プログラムには大部分がドイツ研究協会(1989年予算856億円)を通して提供されている。研究者への資金支援機関としては,ドイツ研究協会の他にフォルクスワーゲン財団,国際的研究者交流を支援しているドイツ学術交流会,アレキサンダー・フォン・フンボルト財団などがある。

(最近の施策動向)

政府は,近年「国が本来責務を持つ課題に集中すべきである」との態度を鮮明にしてきており,特に基礎研究に対する資金増額は大きく,連邦研究技術省予算の3分の1を占めるに至っている。また,環境保護,エイズ対策などの健康・安全に関する分野及び宇宙研究関連に予算を重点配分している。

宇宙研究に関してはヨーロッパ宇宙機関を通じた国際協力を中心に置いているが,自国プロジェクトと国際協力を統括的に推進するため,昨年7月にドイツ宇宙機構を設置した。大型基礎研究プロジェクトの実施は,国際協力を基本方針としている。

技術振興政策は,産業界への不介入を基本方針にしており,大企業への資金援助を縮小しつつあるが,技術革新を志向する中小企業に対しては,税制上の優遇,人件費補助等の間接的助成を増額している。

東西両ドイツが統一の方向に進みつつあり,科学技術の研究環境をめぐってはすでに両ドイツ間の研究者交流が活発化したが,西ドイツが東ドイツの研究環境を今後どう改善,支援していくか注目される。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ