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第2章   豊かな生活を創造する科学技術への期待
第2節  生活者の視点からみた科学技術
2.  快適で安全な環境
(3)  安全な社会,快適な居住環境


安全な社会や快適な居住空間の確保は,生活の基本となる重要な課題であり,それに取り組んでいく必要がある。

社会の高度化とともに情報ネットワークは,一層複雑化,巨大化する傾向にあると考えられるが,これらの安全比を維持・向上する努力は続けられなければならない。このため,情報,通信技術を核とした高度なネットワーク社会の進展とともに,その安全を確保するため,サブシステムを有する多重防御システム等により信頼性の向上が図られている。

さらに,故意の攪乱等によるネットワーク機能の低下やコンピュータ・ウイルスの侵入の防止のための研究を推進し,一層の信頼性の向上を図っていく必要がある。警察活動の基盤となる通信の分野では,移動通信技術,各種の通信システムを統合化するネットワーク技術,画像処理技術等の研究開発が進められている。また,犯罪捜査の一層の科学化を図るため,遺伝子による個人識別等の研究が進められている。

また,自然災害は生活に大きな影響を及ぼす場合もあるので,自然現象の理論的解明や予防に関心が持たれており,また科学技術が果たす役割も大きいと考えられる。地震については,地殻変動観測及び地震観測の充実等による地震発生の理論の確立や地震予知研究への期待が大きく,また建築物の高層化に伴い地震波を考慮に入れた建築物の免震技術の開発が進められている。一方,暴風雨等の気象については,それらによる被害を未然に防ぐために,気象予測技術の高度化が期待されている。

快適な居住環境の確保には,火災や盗難の防止,安全性の確保等が重要であり,科学技術による貢献が期待されている。居住火災を防止するために,難燃性の建築材料の開発が進められており,また,居住の安全性を確保するためには,火災,盗難,ガス漏洩等用のセンサーを配備した家庭用セキュリティシステムの開発利用が進められている。

このほか,居住空間の利便性を高めるため,多様化する住まい手ニーズに対応した高機能な住宅を生産するための技術開発が推進され,また,家電製品等を電話により操作するホームオートメーションに関する開発利用が進められており,将来の普及に期待が寄せられている( 第2-16図 )。快適な居住空間の設計手法は欧米に比べて遅れており,室内における快適性を向上させるために,間取りや窓の大きさ,机の形状・色彩,さらに空調技術等に人間工学の視点を取り入れた研究開発が期待されている( 第2-17図 )。さらに,高齢者の行動特性に合わせた設計を取り入れた生活しやすい居住環境の設計が期待されている。このためには,人間の行動や感性の解析とそれらに基づいた適切な居住環境に関する研究が重要である。このように居住空間において,快適性を追求する科学技術が一層求められるようになると考えられる。

科学技術庁が昭和61年に実施した「我が国における技術発展の方向に関する調査」(技術予測調査)では,環境,安全分野は他の分野と比較して,社会的制約の大きい分野であるとの指摘が大きかった( 第2 -18図 )。また,「先端科学技術者に対する調査」によれば,蓄積された技術が生活インフラ(快適な居住空間,地下空間利用,計画的都市づくり等)の整備に十分活用されていないと,ほとんどの研究者が回答(96%)しており,さらにその主な理由を質問したところ,「公共投資が不十分であり,技術の利用が少ない」(56%),「既存の規制が障害となっている」(41%)と回答した者が多かった。科学技術が生活インフラの整備に利用されていくために,技術を利用するための十分な公共投資等が求められている( 第2-19図 )。

第2-16図 ホームオートメーションの普及予測

第2-17図 各種技術における欧米との比較

第2-18図 社会的制約の大きい分野(上位3位までの分野)

第2-19図 生活インフラの整備のために技術が利用されていない理由


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