ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2章   豊かな生活を創造する科学技術への期待
第2節  生活者の視点からみた科学技術
2.  快適で安全な環境


従来の環境問題は局地的なものであり,その原因となる物質への対応も講ずることが可能であった。しかしながら,近年では,環境汚染が地球規模にまで広がり,フロン等の増加によるオゾン層破壊,二酸化炭素等の温室効果ガスの増加による地球温暖化,酸性雨による被害,海洋汚染,熱帯林の減少,砂漠の拡大,野生生物種の減少等が地球規模の環境問題として取り上げられており,国際連合環境計画(UNEP)及び世界気象機関(WMO)の共催による「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)を始めとして,サミット等多くの国際会議において,この問題への対応が検討されている。

総理府が平成2年3月に実施した地球環境問題に関する世論調査によれば,地球環境の保全のために現在とるべき行動についての考えを聞いたところ,「影響が出てからでは手遅れとなるので,未解明な部分があっても対策に着手すべきである」と回答した者は57.9%であり,「科学的に十分な知識が得られた段階で対策を講ずるべきである」(29.0%)を上回った。また,地球環境問題に対し我が国が力を入れるべき課題を聞いたところ,「地球環境の保全に役立つ技術の開発と普及」を挙げた者(56.6%)が最も多かった。地球環境に対する関心の高さがうかがわれるとともに,対策のための技術の開発が強く望まれているといえる( 第2-5図 及び 第2-6図 )。

「先端科学技術者に対する調査」の結果によれば,「環境問題の解決に科学技術が今後,寄与度を増大させていく必要がある」と回答した研究者は95.1%に達しており,科学技術に対する研究者の関心は極めて高い( 第2-7図 )。また,環境に負担をかけない“環境に優しい”科学技術を重視した研究開発の進捗状況については,「現在すでに進展しつつあり,今後さらに進展が期待される」及び「現在まだ進展していないが,今後の進展が期待される」と積極的な対応が必要と回答した者があわせて85.9%であった。

第2-5図 地球環境保全のためにとるべき行動

第2-6図 地球環境問題に対し我が国が力を入れるべきこと

地球規模の環境問題は,人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大問題である。また,将来の発展基盤である環境を損なうことなく開発を進める「持続可能な開発」の考え方は世界の共通認識となっている。このような考え方に立って世界経済の安定的発展を図りつつ地球環境保全に努めることが重要である。地球環境問題の対策については,今後科学的知見の集積,経済的影響等の評価を踏まえつつ検討されるべきであるが,不確実性が高いことを理由に対策が遅らされることがあってはならず,また,地球温暖化への対策については,地球温暖化の実態把握,メカニズムの解明,将来予測,影響評価のための調査研究を行いつつ,可能なものから直ちに対策を講じることが望まれる。

第2-7図 環境問題解決に対する科学技術の貢献

技術開発の課題としては,環境に負荷をかけないエネルギーや物質の開発等が望まれる。例えば,二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しないエネルギーの供給の確保が重要であり,新エネルギーや再生可能なエネルギー源の開発,経済的に優れ最も現実的なエネルギー源である原子力発電の推進等が求められる。また,省エネルギー対策としては,廃熱の利用を進めるためのシステム面の開発等が必要である。

また,都市化の急速な進展にみられるように,社会システムは高度化・複雑化の一途をたどっている。社会における安全の確保は,一層重要となってきており,高度情報社会の維持,自然災害の緩和等の面で科学技術が果たす役割は大きいと考えられる。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ