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第2章   豊かな生活を創造する科学技術への期待


歴史を振り返ってみると,科学技術は人類発展の原動力として社会を発展させ,文明社会を構築してきた。

例えば,客観的に自然や人間の実像を探ろうとする科学的な態度は,西欧社会にルネッサンス(文芸復興)を起こし,中世を終わらせ近代への道を開いた。羅針盤の利用と造船技術の発展は,大航海時代を拓き,歴史が地球規模で展開されるようになった。また,ワットによる蒸気機関の実用化に端を発して,産業革命が起こり,消費財等の大量生産時代を迎えた。自動車や飛行機の発明は,人間の行動範囲を一挙に拡大し,コンピュータ,半導体,通信等の発展は,高度情報社会の到来をもたらした。

科学技術の経済成長に果たす役割については,平成2年度年次経済報告において,この10年間の実質経済成長率の平均値の5分の2が技術進歩の寄与であると分析されているように,科学技術が経済成長に大きな貢献をしていることは,衆目の一致するところとなってきている。

一方,科学技術は経済成長の牽引力としてのみでなく,生活を量的にも質的にも豊かなものにする原動力でもあり,国民の科学技術への期待は大きい。

すなわち,総理府が平成2年1月に実施した「科学技術と社会に関する世論調査」の結果によると,「科学技術の発達により生活水準は向上した」と回答した者は76%に達し,また,「科学技術が発達すると,我々の生活はより健康的で快適なものになる」と回答した者は54.4%であった。また,科学技術庁が平成2年6月に保健・医療,エネルギー,環境・安全等の分野の研究者に対して実施した「先端科学技術研究者に対する調査」の結果によれば,「生活の質の向上のために,今後科学技術による寄与度を増大させる必要がある」と回答した者が86.3%に上った( 第2-1図 )。これらは,科学技術の発達により生活水準が向上したとの強い認識と将来に対する期待を国民は抱いており,研究者もそれに応える必要性を強く認識している結果といえる。

そこで,本白書においては,科学技術の経済成長への貢献とは異なった視点に立ち,科学技術が豊かな生活の創造にどのように貢献しているかを分析することとした。本章では,このような観点に立ち,豊かな生活の実現に向けて科学技術への期待が大きく,かつ豊かな生活の基盤をなすと考えられる側面に焦点を当て,第1節においてフロンティア領域の開拓を通じて豊かな生活がもたらされてきた事例をみるとともに,第2節において生活者の視点からみて豊かな,生活の基盤に対し科学技術が具体的にどのように貢献しているかを分析し,第3節において豊かな生活の創造に向けての課題と展望を探ることとした。

第2-1図 生活の質の向上に対する科学技術の貢献


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