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第3部   政府の施策
第3章  政府機関などにおける研究活動の推進
6.  多分野の協力による研究開発の推進
(7)  物質・材料系科学技術


新材料が過去において,経済社会に及ぼした影響は極めて大きなものがあり,新超電導休の発見にみられるように,新しい材料の出現が,新しい技術を開拓し関連技術にも質的変革をもたらし,産業に対してはもちろんのこと社会に対しても大きなインパクトを与えてきた。

特に,近年,情報・電子,ライフサイエンス等の先端科学技術分野においては,未踏分野を切り拓く革新的な研究開発の多くは新たな材料にシーズを求めており,独創的な研究開発を推進し,科学技術立国を図っていく上での共通的・基盤的技術として物質・材料系科学技術の重要性がより高まっている。

また,現在推進されている超高速コンピュータ,核融合,宇宙開発・海洋開発等大規模なプロジェクトの推進に必要な新たな材料研究開発の重要性が高まっており,これらのプロジェクトに適合する材料が求められている。

このような状況から,新材料の創製が今や,国家的にも極めて重要な課題となっている。


(1) 総合的な物質・材料系科学技術の推進

物質・材料系科学技術については,以上のような認識の下に,科学技術会議,航空・電子等技術審議会等の答申に沿って各般の物質・材料系科学技術施策が進められている。

科学技術会議においては,諮問第11号「新たな情勢変化に対応し,長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申(昭和59年11月)において,物質,材料系科学技術を新たな発展が期待される基礎的・先導的科学技術及び経済の活性化のための科学技術として位置付け,その研究開発を強力に推進する必要性が指摘されている。

また,同会議は,諮問第14号「物質・材料系科学技術に関する研究開発基本計画について」(昭和61年5月)を受けて,物質・材料系科学技術部会を設置し,この分野における研究開発目標及び推進方策に関する検討を行い,昭和62年8月に答申「物質・材料系科学技術に関する研究開発基本計画について」が出され,内閣総理大臣決定(昭和62年10月)された。

また,航空・電子等技術審議会においては,“昭和55年8月に諮問第5号「極限科学技術とこれに関連する材料科学技術に関する総合的研究開発の推進策について」に対する答申を行い,超高圧力,極低温,超高温等の極限科学技術及びそれに関連する物質・材料系科学技術についての総合的研究開発の指針を示した。また,近年,材料データの蓄積,情報処理技術の進展等を背景として,従来から進められてきた試行錯誤的な経験に基づいた方法に替え,より効率的な新材料を創製しようという気運が高まっており,このような状況を踏まえ,昭和59年9月,諮問第7号「材料設計理論に基づいた新材料の創製に関する総合的な研究開発の推進について」に対する答申を行い,材料設計に基づく新材料開発についての総合的推進方策を示した。

さらに,昭和61年3月,諮問第9号「新材料開発に係る計測及び制御技術の高度化のための重点課題及びその推進方策について」に対する答申を行い,新材料研究開発を進める上での重要な基盤的技術である計測技術並びに極限技術,ビーム技術等の制御技術の総合的推進方策を示した。

第3-3-22表 各省庁関係試験研究機関等における主な物質・材料系科学技術 研究開発課題



(2) 物質・材料系研究開発の推進

広範多岐にわたるニーズを背景として,各省庁において様々な物質・材料系科学技術に関する研究開発が活発に進められている。

科学技術庁においては,物質・材料系科学技術全体に係る共通的・基盤的分野を推進するため,金属材料技術研究所,無機材質研究所等において,極低温利用機器材料の研究開発等各種金属材料に関する研究開発及び生体機能性セラミックスに関する研究等無機材質の創製に関する研究等を進めている。

また,新技術開発事業団は,新技術の委託開発として,非酸化物系セラミックス用微粉末の製造技術,複合材料用白色導電性材料の製造技術等の開発を実施しているほか,創造科学技術推進制度により「化学組織」゛に関する研究開発等を実施している。

さらに,科学技術振興調整費により,「極高真空の発生・計測利用技術の開発に関する研究」「真空紫外光の発生と利用技術に関する研究」「熱応力緩和のための傾斜機能材料開発の基盤技術に関する研究」「レアメタルの高純度化による新機能創製のための基盤技術に関する研究」等を実施している。

このほか,理化学研究所,日本原子力研究所等においても物質・材料系科学技術に関する研究が実施されている。

文部省においては,学術の振興を目的として科学研究費補助金等により大学を中心として物質・材料系科学技術の基礎的研究が行われている。

科学研究費補助金特定研究では,「高効率光化学プロセスの研究」,「酸化物高温超伝導体」,「高温超伝導材料を基盤とする新エレクトロニクス」,「有機金属化合物の機能と物性」等の研究が計画的に進められている。

通商産業省においては,例えば,次世代産業基盤技術研究開発制度により,「ファインセラミックス」,「高効率高分子分離膜材料」,「導電性高分子材料」,「高結晶性高分子材料」,「高性能結晶制御合金」,「複合材料」及び「光反応材料」に関して製造技術及び評価技術等に関する研究開発が,実施されている。また,繊維高分子材料研究所において各種高分子材料の開発に関する研究が実施されているほか,機械技術研究所,化学技術研究所,電子技術総合研究所等においてそれぞれの目的に沿った材料開発が行われている (第3-3-22表)


(3) 超電導に関する研究開発の推進

昭和61年1月,スイスIBMチューリッヒ研究所における発見を契機とし,昭和63年1月の科学技術庁金属材料技術研究所におけるビスマス系新超電導体の発見など,高い温度でも超伝導現象を生じる酸化物系の新しい超電導物質が相次いで発見された。この新超電導体は,それらが実用化されれば経済社会に与えるインパクトが甚大であり,世界的に大きな期待が寄せられている。しかしながら,これら酸化物系超電導体は未だ物質の段階であり,実用材料として利用されるようになるためには今後,理論の解明,新物質の探索,材料化等の基礎的・基盤的研究開発が重要である。このような点に鑑み,科学技術会議政策委員会超電導に関する懇談会が昭和62年11月に取りまとめた「超電(伝)導研究開発の基本的推進方策について」等を踏まえ,関係省庁においで本分野の研究開発が推進されている。

科学技術庁においては,金属材料技術研究所,無機材質研究所,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団,宇宙開発事業団,理化学研究所等が有する既存のポテンシャルを最大限に活用し,研究基盤を整備するとともに,当該ポテンシャルを核(コア)として,国内外に開かれた研究者主休の柔軟な共同研究,研究者交流及び情報交換並びに技術展開を推進する「超電導材料研究マルチコアプロジェクト」を創製し(昭和63年5月),超電導材料の基礎的・基盤的研究を推進している。

文部省においては,学術の振興を目的として科学研究費補助金等により大学を中心として基礎的研究が行われている。科学研究費補助金では重点領域研究として「超伝導発現機構の解明」,特別推進研究として「高温超伝導体の研究」が計画的に進められている。

通商産業省においては,次世代産業基盤研究開発,大型工業技術研究開発,国際特定共同研究事業,大型省エネルギー技術研究開発などの諸制度を用い,電子総合技術研究所,化学技術研究所などを中心に産学官の連携のもと超電導材料・超電導素子の開発,超電導電力応用技術の開発などを行っている。

郵政省においては,「電気通信フロンティア研究開発」において,将来の超高速・高性能通信技術の実現を目的とし,通信総合研究所を中心に産学官の連携により超電導技術を用いた電気通信技術の研究開発を実施している。

運輸省においては,将来の高速輸送を目的とする超電導磁気浮上式鉄道の実用化に向けて研究開発を促進するため(財)鉄道総合技術研究所への助成等を行っている。

このほか,我が国においては,国際共同研究プロジェクトvAMAS(新材料と標準に関するベルサイユプロジェクト)の一環として産学官の連携のもと超電導材料の試験評価技術の確立及び標準化のための研究を行っている。


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