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第2部   科学技術活動の動向
第3章  国際交流の動向
3.  国際機関における活動
(2)  国連専門機関及び国際原子力機関


国連専門機関とは,国連憲章第57条及び第63条に基づき,協定により国連と連携関係をもつ国際機関であり,科学技術の分野では,国際連合教育科学文化機関(ユネスコ:UNESCO),世界保健機関(WHO)などにおいて,独自の憲章に基づいて活動が行われている。


(1) 国際連合教育科学文化機関

国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は世界を代表する知的協力機関として科学技術の様々な分野における国際協力の推進を図っている。基礎科学の分野での我が国の協力としては,昭和40年以来,東京工業大学で,「ユネスコ化学,化学工学国際大学院研修講座」を開設しているほか,昭和48年以来,大阪大学を中心として,「ユネスコ微生物学国際大学院研修講座」を毎年開設している。また,天然産出物に関する化学及び微生物学の分野において,東南アジア諸国の若手研究者養成を目的とする基礎科学のネットワーク事業推進のため昭和50年以来ユネスコに信託基金を提供(昭和63年度10万米ドル)しており,各国の大学及び研究機関間を結ぶネットワークを通じて,研修コースの開催,研究者の交換事業などが進められている。

海洋学,水文学及び生態学等の研究の分野では,政府間海洋学委員会(IOC)等が推進している熱帯海洋全球大気研究計画(TOGA),非生物資源に関する海洋科学(OSNLR)並びに国際水文学計画(IHP),人間と生物圏計画(MAB),国際地質対比計画(IGCP)等の諸事業がそれぞれ進展している。これらの計画は,いずれも人類の生活環境としての地球の実態を明らかにし,天然資源の合理的利用と環境保全のための科学的基礎を提供しようとする長期的な政府間共同調査事業であり,我が国は,これらに理事国等として積極的に参加している。

特に,IOCの西太平洋海域共同調査(WESTPAC)に関して,昭和56年度からは,ユネスコに信託基金を提供(昭和63年度3万米ドル)し,本事業参加国の研究者を東京大学海洋研究所の研究船「白鳳丸」,気象庁の海洋気象観測船「凌風丸」及び海上保安庁水路部の測量船「拓洋」の航海並びに日本海洋データセンター(海上保安庁水路部)の「海洋データ管理に関する短期研修コース」に受入れる等積極的に参加・協力している。さらに,東南アジア地域での人間と生物圏計画(MAB)事業を推進するため,昭和58年度からユネスコに信託基金を提供(昭和63年度2万米ドル)して,我が国をはじめ各国でセミナーを開催する等積極的に参加・協力している。また,IGCP関係では,ユネスコと共同で九州大学において「国際地熱エネルギー研修コース」を昭和45年以来毎年実施している。

科学技術情報の分野では,ユネスコは,各国の科学技術情報量の飛躍的増大に対処するため,その国際的流通を円滑迅速にすることを目的とした世界科学情報システム(UNISTST)事業を推進しており,先進国間の情報交流と開発途上国援助の両面から多角的に展開されつつある。1976年からは,各国内の図書館,資料館,文書館に関するインフラストラクチャーの整備計画(NATIS)等をUNISIST事業と一体的に実施する総合情報計画(GIP)が発足し,我が国は,GIPの政府間理事会の理事国として積極的に参加している。また,GIP事業の一環として,我が国は,国際逐次刊行物データシステム(ISDS)事業において,国立国会図書館が国内センターとして参加しているほか,地域協力事業においてアジア,太平洋地域の科学技術分野における情報と経験の交流のためのネットワーク事業(A S TINFO)に参画している。

科学技術政策の分野では,各国が適切な政策により科学技術を発展させることができるよう,各地域ごとに「科学技術を開発に適用させるための大臣会議」を開催しており,アジア地域では1968年,1981年の2回にわたり開催され,常時レビューが行われている。


(2) 世界保健機関

世界保健機関(WHO)は,すべての人が到達し得る最高基準の健康を共有することを目的としており,この目的達成のため,我が国は世界第2位にランクされる分担金を拠出し,またエイズ対策等の特定プロジェクトに分担金以外の任意拠出を毎年行う等,WHOの事業活動に大きな貢献をしており,また,研修生の受入れ,専門家の派遣,国際会議等の開催等を通じても積極的な協力を進めている。

また,国連食糧農業機関(FAO)及びWHOは,両機関合同の食品規格委員会において,消費者の健康を保障し,食品の円滑かつ公正な国際取引を保護するため,国際食品規格を作成する作業を進めており,我が国もこれに参画している。


(3) 国際原子力機関

国際原子力機関(IAEA)は世界の平和,保健及び繁栄のための原子力の貢献を促進・増大することを目的としており,我が国はIAEAの理事国として,総会,理事会に代表を派遣し,その活動方針策定に積極的に参加するとともに,各種専門家会合への参加,諸会合の本邦開催,技術援助計画に基づく専門家の派遣,研修員の受け入れ,国際熱核融合実験炉(ITER)計画,国際原子力情報システム(INIS)等への参加などIAEAの各種活動に参加している。また,我が国は,昭和53年8月,アジア,太平洋,極東地域のIAEA加盟国間の原子力科学技術に関する研究,開発及び訓練の推進,協力を目的とした「原子力科学技術に関する研究,開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)」に加盟した。旧協定失効後,新たに発効した1987年のRCA協定にも引き続き加盟し,アジアの開発途上国に対し積極的な貢献を行っている。

また,IAEAは,世界の核不拡散に貢献するため,各国と保障措置協定を締結し,国際査察を実施している。各国の原子力利用の進展に伴って,この面でのIAEAの役割は年々重要性を増し,有効な保障措置を効率的に適用するための方策の検討が進められている。特に,技術面でIAEAを支援するため,日本,米国,西ドイツ,イギリス等は保障措置技術支援協力計画をもっており,我が国は昭和56年11月に「対IAEA保障措置技術支援計画」(JASPAS)を開始して,IAEAに対する保障措置技術の支援を推進している。また,我が国からの拠出金により,大型再処理施設保障措置適用に関する検討(LASCAR計画)をIAEAにおいて実施している。


(4) 国際電気通信連合

国際電気通信連合(ITU)は,電信,電話,ラジオ,テレビさらに衛星通信,ISDN等を含む電気通信全般において,国際協力の維持,開発途上国への技術援助の促進,技術的発達と能率的運用の促進を目的とし,この目的達成のために1)電気通信についての研究,規則の制定,決議の採択,標準化勧告等の作成,2)周波数の割当,混信の除去,3)開発途上国への技術援助,4)宇宙技術を使用する電気通信手段等の調和等の活動を行っている。

我が国は,世界のトップクラスの分担金を拠出し,管理理事国としてIT Uの活動に積極的に寄与している。また,我が国から多数の専門家がITUの常設機関である国際無線通信諮問委員会(CCIR),国際電信電話諮問委員会(CCITT)の研究委員会議長,副議長を勤めており,制度的,技術的課題に対する我が国の提案が各委員会において多数採用されている。加えて,選挙により選出される国際周波数登録委員会(IFRB)の5名の委員のうち1名は,我が国から選出されており,各国が利用する周波数及び静止衛星軌道位置の登録等の業務を行っている。技術援助については,専門家を開発途上国に派遣する一方,諸外国から多数の人々を受け入れて研修を行っており,積極的な貢献を行っている。


(5) 世界気象機関

世界気象機関(WMO)は,自然災害の軽減,国土・資源の有効利用の促進等社会経済活動の円滑な遂行に欠かすことのできない気象事業の世界的な調和・発展をめざして,1)世界的な気象観測網確立の促進,2)気象情報の迅速な情報交換のための組織の確立・維持の促進,3)気象観測手法の標準化と,観測結果の公表の確保,4)気象情報の航空・海運・農業分野への利用促進等の活動を行っている。

この中で我が国は,WMO事業方針の決定や全世界的気象事業整備計画の策定に大きく関与するとともに,東アジアの気象予報・解析・通信中枢としての役割を果たしている。また,1977年以来静止気象衛星「ひまわり」による宇宙からの広域気象観測を実施するなど,全球気象観測体制運用の中核ともなっている。一方,台風襲来域にあるアジア諸国に対しては台風情報の提供とその拡充を図っている。さらにユネスコ政府間海洋学委員会,および国際民間航空機関とも協力しつつ東アジアにおけるWMOの海洋情報サービス中枢,航空気象サービス中枢を担当している。

開発途上国との科学技術協力に関しても,東南アジア,アフリカ,中南米等の気象機関の事業推進支援のため,技術・知識の移転を積極的に進めている。


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