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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第2章  国際的な科学技術の状況変化と我が国の対応
2.  諸外国における科学技術への取組
(3)  技術力向上をめざすアジア諸国



(各国における科学技術振興の動き)

1980年代央に一時的な経済成長のスローダウンをみたアジアNIES及びASEAN諸国は引き続き技術力向上による工業化の進展により高い成長を遂げつつある。これらの国々では,その発展の基礎は科学技術力の取得とこれを支える人材にあるとして,国の計画の柱に科学技術の振興を掲げ,人作りに力を注ぎ,これを促進するための行政体制を整備しているところである。また,特にこれまでその発展は海外からの産業レベルの技術移転によるところが大きかったが,昨今は国による研究投資とともに自国の産業界の研究投資を増やすような施策を講じつつある (第1‐2‐20表)

第1‐2‐20表 アジアNIEs,ASEANの科学技術状況

アジアNIEsの代表たる韓国ではすでにその研究費の対GNP比はほぼ2%に達し,欧米先進国に近い投資構造になりつつある。その基盤の多くは我が国をはじめとする外国からの技術導入に依存しているのが現状であり,達成している技術力ももっぱら製造・生産技術にかかわるものであるが,引き続き,自らの研究能力の向上により基盤的な技術について欧米諸国に追いつくべく長期的計画を策定している。そこにおいては,電子・通信,ファインケミカルなど経済性のある製品技術の分野で早い段階に高い水準を達成し,次いでエネルギー・資源,新素材などの基盤的な技術カの向上をめざすこととしている (第1‐2‐21図)

シンガポールでは,その国情,経済構造がら大規模な研究投資は行ってぃないが,経済開発を支える技術力を重視した政策をとっている。その規模は小さいが,研究投資の増加,研究者・技術者の確保に努めるとともに生産技術の向上,ハイテク分野での技術力の向上をめざしているところである。

第1‐2‐21図 韓国における研究開発の長期目標

一方,アセアン諸国の一つであるマレーシアでは,第5次マレーシア計画の中で国家開発のための有力な手段として,科学技術に重要な位置付けを与えた。ここでは,工業化促進のための科学技術の重視,科学技術基盤の整備,民間の研究開発活動の促進,海外からの技術の効果的導入・移転の確保を規定している。しかし,研究投資,研究者・技術者の不足が強く指摘されている。科学技術の基本的な方向は,農業だけでなく,製造業における生産性向上,国際競争力の向上であり,特にハイテク分野の技術能力を重視している。

タイにおいては,研究投資水準は低く,第6次国家計画(1987〜91年)においてその対GNP比を0.5%に引き上げるべく,科学技術のインフラストラクチャーの整備をめざしている。タイでは,科学技術振興のための人材が不足しており,その確保が課題となっている。重点研究分野は,生物科学/パイオテクノロジー,材料技術,応用エレクトロニクス/コンピュータ/ソフトウェア開発となっている。


(アジアNIEsの技術力)

アジアNIEsはすでに,米国の製品貿易,ハイテク貿易で大きなシェアを占め,特にハイテク貿易では1988年において対米96億ドルの黒字となり,高い技術力を示すに至っている。我が国とのかかわりにおいても,近年において我が国の市場拡大に伴い,垂直分業的な関係から工業化のレベルを分かち合う水平分業の構造に移行した。これとともに,アジアNIEs諸国の産業の技術力は増し,我が国においても,主要製品分野で有力な競争相手とする評価が高くなっている。

海外市場でアジアNIEsの企業は,既に我が国企業の強力な技術競争の相手になっている。アジアNIEsの技術力について,我が国企業が今後どう推移するとみているのかを民間動向調査で聞いたのが 第1-2-22図 である。

全休でみて,「今後(3〜5年)位で競争相手となってくると思う」が57%と最も高く,「暫く(7〜8年以上),競争相手とならない」が23%,「現在競争相手である」が15%となっている。現在から今後3〜5年にかけて技術的に競争相手となると考えている企業は全体の7割に達していることになり,アジアNIEsの技術力の評価はかなり高いといえる。

業種別にみると,「暫く(7〜8年以上)競争相手とならない」とする業種は,医薬品工業だけであり,長期的に技術的優位性が高いと我が国企業がみている業種はあまりないと言えよう。このため,我が国としても相応の技術進歩を遂げない限り,近い将来において日本の技術力はアジアNIEs諸国にキャッチアップされる可能性が十分あるとみられる。

第1‐2‐22図 我が国とアジアNIEsとの技術力比較

以上みてきたように,欧米主要国においては,技術競争力の向上と基礎研究強化,アジアNIEs,ASEANなどでは,経済開発のための技術力確保に重点をおいて科学技術振興の施策を推進しているところである。


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