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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第2章  国際的な科学技術の状況変化と我が国の対応
1.  進む技術のグローバル化
(2)  増す国際間の科学技術の交流と技術競争の激化



(国際研究交流の意義と課題)

国際的にみて,研究者の自由な研究開発の実施と交流及びその成果の広範な流通は,これまでの科学技術の発展の基本的底流をなすものであった。科学技術が発達した国ではこのような研究開発の一層の拡大と成果の利用をテコとして自国の産業経済の高度化を図ってきた。一方,技術力の向上,またこれを通じた工業力の開発をめざす国々にとっては,そのような国際的なシステムの恩恵を受け,目的とする成長や国民生活の向上を図ることができた。

今後とも,このような科学技術に関する自由を基本とするシステムは維持し,研究者の交流,研究施設へのアクセス及び研究成果の流通の促進等をうたった1988年4月のOECDによる科学技術国際協力のための共通原則に関する一般的フレームワークの考え方にも沿いつつ,さらに発展させる必要がある。

我が国も特に技術キャッチアップの過程では,このような体制の大きな受益者であった。今後の技術革新を先導する研究開発を維持するとともに,アジア諸国をはじめとする国々が技術力をベースに成長を遂げようとしている今日,我が国をはじめとする各国は積極的にこのような体制を更に充実させるために,必要な努力を行っていかなければならない。

第1‐2‐11図 他の諸国との国際,共同研究の必要性の変化

こうした研究者の国際間の往来,研究成果等の情報の円滑な流通を促進し,世界の科学技術発展の礎を築くとともに,国際的に円滑な研究協力を進めることは今日ますます重要な課題となってきている。研究開発が大型化し,グローバルな性格を帯びたものが増え,多分野あるいは他の国々との連携協力による総合的アプローチが求められるようになっているためである。我が国の先端科学技術研究者においてもこのような国際的共同研究推進の必要性の認識は,地球環境問題への対処に重要な役割を果たす地球・海洋科学技術分野の研究をはじめとして非常に高く,我が国の科学技術力に寄せる諸外国からの期待と協力の要請とも相まって,そのための体制,資金等の充実を図っていく必要がある (第1‐2‐11図)


(技術競争の激化と協調の動き)

国際的な力の関係において経済力の役割が増すにつれ,各国はその強化とその基盤をなす競争力や技術力の向上を図るのに積極的である。これは一方では,国際間の技術競争を促進し,経済社会の発展の原動力となるが,また,他方では摩擦をも惹起する。このような背景には,特に近年,(1)技術をめぐる市場が拡大し,その革新テンポも加速していることから技術競争が著しく激しくなった,(2)技術の拡散と普及が進み,これが市場や国民のニーズへの対応力を一層強め,その研究開発との相互作用により広範な技術の高度化が進んだ,(3)このため,米国等ではかつての軍事関連技術のレベルが高く,大きな波及効果をもった技術的状況から,民生技術の水準が相対的に上がり,その高度利用が図られるようになった,(4)これらを含め,国家が一段と国力の重要な構成要素として科学技術を見るようになり,科学技術に対してある種の保護の考え方を持ち込むようになった,ことなどが要因として挙げられよう。


‐日本と米・欧州間‐

日米間においては,昭和63年6月20日に日米科学技術協力協定が署名され,より包括的な協力関係の時代に入った。この協定下においては,両国の科学技術関係をより対等な,双方により一層の実りをもたらすものとするための道を模索することが課題となっており,両国の研究開発や情報への相互のアクセスの改善を図る努力をするとともに,協力のあり方についてハイレベルの討議が進められているところである (第1‐2‐12表) 。しかしこのような協調関係が進められる一方で,半導体,スーパーコンピュータ,人工衛星など高度技術分野については個別的に米国から我が国の対米国市場の拡大の要求が強く出されている。米国の研究へのアクセスも厳しさを増している (第1‐2‐13図) 。また,平成元年9月からは,日米構造協議が開始され,我が国からの提案により米国の研究開発のあり方に対する問題提起が一つのテーマとなった。

一方,欧州との間においても,産業界による高度技術関連の事業展開,またこれに伴う研究開発機能の立地などの要請がなされているところである。

第1‐2‐12表 日米科学技術協定に関する最近の進展

第1‐2‐13図 米国の研究成果の権利意識の変化 (我が国研究者の見方)


‐日本とアジアNIEs・ASEAN等諸国間‐

アジアNIEs,ASEANの工業発展に伴い,これらの国において技術力や人材の確保の必要性がますます強くなっている。既に,アジアNIEs諸国は貿易において我が国の規模に達し,その製品貿易比率は高い。このため,これらの国の産業の順調な発展のためには,より高い技術力が必要とされる。

各国政府は,自国の産業の研究開発力の強化,技術者の育成などに努めているが,我が国をはじめ先進各国は,その発展を支援する技術移転や技術協力をさらに進めていく必要がある。


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