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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
6.  科学技術をめぐる新たな要請
(3)  地球環境問題への取組みと科学技術


地球環境問題への対応も,観測・監視,現象及びその影響の解明,対策のための技術開発等の面において,今後の科学技術への新たな重要な要請となった。

地球環境問題としては, 第1-1-76表 に示すようなオゾン層の破壊,地球の温暖化,砂漠化,酸性雨等がある。一般には,被害・影響が国内にとどまらず,国境を越え,ひいては地球規模まで広がる環境問題,または,先進国も含めた国際的な取り組み(政府開発援助等)が必要とされる開発途上国における環境問題を指している。

第1‐1‐76表 地球環境の変動による影響及び被害について

第1‐1‐77表 1989年の地球環境問題主要国際会議


このような地球環境問題は,人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大な問題である。また,将来の発展の基盤である環境を損なうことなく開発を進める「持続可能な開発」の考え方は世界共通の認識となっている。このような考え方に立って世界経済の安定的発展を図りつつ地球環境保全に努めることが重要であり,平成元年7月にパリで開催されたアルシュ・サミットの経済宣言の中においてもこのような考え方が確認された。

地球環境保全の基礎としては,科学的知見を重視するとともに,問題解決にあたっては,技術による積極的な対応が必要となっている。科学技術の分野においては,関連する技術の開発・普及に努めるとともに,地球環境保全をめざす国際的取り組みにも積極的に貢献し,問題解決へ向けての努力を行うことが必要である。これからの科学技術の面からの取り組みとしては,地球環境に関する観測・監視網の確立,現象機構の解明・環境への影響解析評価等調査研究の充実,対策技術の開発,それらに関する情報の流通等に分類される。

このような問題意識の高まりにつれて,本年は先進国,開発途上国を含めた多くの重要な国際会議が開催された (第1‐1‐77表) 。9月11〜13日には国連環境計画(UNEP)の協力を得て我が国政府の主催により東京で「地球環境保全に関する東京会議」が開催された。同会議での議長サマリーから,科学技術関連の事項をみると,地球環境政策が確固たる科学的根拠に基づいたものとなるよう科学と政策とのより良い関係を促進することが重要であるとし,そのためには広範な分野での技術的進歩が必要であるとしている。具体的には,人工衛星等による全地球的な観測網の充実,地球環境に関する科学的研究の積極的推進,環境に優しい物質や製造技術等の開発,エネルギー効率の向上や再生可能エネルギー,国の決定がなされている場合には安全性の維持と向上を条件とした原子力発電などの非化石燃料の開発・利用等があげられている。そして,これらの研究開発及び方向づけのための国際協力の重要性に関しても述べている。

こうした中で,高度な経済活動を営み,地球環境に大きなかかわりを持つと同時に,公害防止等の関連分野でも優れた技術力を有している我が国としては,今後さらに「世界に貢献する日本」の立場から国際的地位に応じた役割を積極的に果たしていくことが必要となっている。

我が国では地球環境保全に関する関係閣僚会議において平成元年6月,広域的な大気,海洋,生態系等の観測及び人工衛星による全地球的な環境監視の分野での積極的な貢献などの我が国の政策の基本的な方向を示した「地球環境保全に関する施策について」が,また10月には「地球環境保全に関する調査研究,観測・監視及び技術開発の総合的な推進について」が申し合わされた。さらに,6月には科学技術会議地球科学技術部会において「地球環境問題に取り組む際の地球科学技術の面からみた基本的考え方」がとりまとめられ,科学技術面での国の施策の基本的な方向などが示された。産業界においても,排出抑制,対策技術の開発を精力的に進めており,国全体として積極的な対応が図られることが期待される。

以上みてきたように,科学技術の社会への適切な受入れ,倫理面での対処,地球環境問題への対応など,従来に増して社会的な側面に重点を置いた科学技術活動の展開が必要になっているところである。


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