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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
5.  地域における科学技術ポテンシャルの向上
(2)  地域における科学技術の施策の推進と活動の活発化



(地域における科学技術政策の動向)

各地域においてその活性化の手段として,科学技術を重視した計画が立案されるようになった。

都道府県においては,昨今,地場産業やハイテク産業の振興,農業技術の高度化等のため,科学技術政策を重要な施策のひとつとして位置付けているところも多く,科学技術振興に関する指針等の制定(工業技術等の特定分野のものを含め18都道府県),科学技術に関する審議会の設置をはじめとする積極的な活動を展開している (第1‐1‐70表)

第1‐1‐70表 都道府県の科学技術に関する審議会等の設置状況

地域の科学技術行政の施策の方向としては,公立試験研究機関の強化(26都道府県),研究開発の実施又は支援のための第三セクターの設立等を図っているケースが多い。代表的な例としては,

(1)神奈川県は,世界的な科学技術の開発拠点を目指して,“頭脳センター構想”を従来より進めてきた。平成元年度からは,エレクトロニクス,バイオテクノロジー等の多分野の複合的な先端技術を必要とする産業の振興に資するため,5年間に650億円を投入し,15の県立試験研究機関を9機関に再編整備する計画を有している。さらに,先端技術研究者の育成のための財団法人神奈川科学技術アカデミー(県より35億円を出資)を,また高度技術分野の計測・分析ニーズに対応する財団法人神奈川高度技術支援財団(同21億3,000万円拠出)を設立している。
(2)富山県は,活力ある産業づくりのため,技術立県を目指して,科学技術に親しむ風土の醸成,研究開発の支援,情報化の促進等の諸施策を進めている。また同県は,県立試験研究機関の機能強化・再編整備を行い,平成2年をめどに富山県立大学(機械システム工学科,電子情報工学科の設置を予定)の設置準備を進めているほか,民間企業の先端技術事業を支援するため,富山技術開発財団及びバイオ産業振興協会を設立している。

などを挙げることができる。

第1‐1‐71図 地方自治体における科学技術政策推進への見方

こうした地域単位の科学技術関連施策の推進は,地域ごとの特色ある分野での役割を果すことが可能であるとみられ,我が国における研究活動の充実,多様化のために第一線研究者からも期待されているところである (第1‐1-71図)


(地域における国立試験研究機関,大学,公立試験研究機関の現状と役割)

国等の試験研究・教育機関は,筑波研究学園都市の整備により42機関(大学等を除く)が同都市に立地したが,その他の国立試験研究機関については地域に分散し地域色ある研究活動を行っている。

例えば,農林水産省東北農業試験場における冷害をもたらす“やませ"への対策の研究,科学技術庁国立防災科学技術センターの長岡(新潟県)及び新庄(山形県)における雪(害)対策の研究,通商産業省中国工業技術試験所における瀬戸内海の大型水理模型を使った瀬戸内海水質保全の研究などがその一端である。

第1‐1‐72表 国立大学共同研究センタ‐一覧

国公立大学は,研究交流等を通じて地域との連携を深める動きがある。例えば国立大学は,産業界等との研究協力・交流を図るための場として,共同研究センターを13大学に設置している (第1‐1‐72表) 。また,一般的に民間企業と研究協力を促進するよう努めている。

公立試験研究機関は,地域に密着した農業振興,地場産業振興のための研究開発活動を推進するとともに,地域産業従事者への技術指導を実施しており,地域における技術の向上に果たすべき役割は大きい。昭和62年度において公立試験研究機関の機関数は662か所,研究者数は約15,000人(63年),研究費は約2,156億円となっている。研究者は,農学分野が54.3%と多く,また,工学分野が24.3%を占めており,地域における技術の振興とともにバイオテクノロジーなどの研究の推進が期待されている。

別表 民間企業の都道府県別研究者数

地域における科学技術の振興が期待されており,なお一層の研究開発活動の展開が望まれる。国全体の調和のとれた科学技術の発展のためには,各地域における人材の確保・活用とこれによる研究の充実が重要であるが,このための素地はあると考えられる。その中心的役割を果たす機関として,各地域における大学,国公立試験研究機関,あるいは今後地域展開がなされる公的研究機能には,新たな期待がよせられるところである。また,民間企業においても,このような研究機関との連携を深め,円滑な交流を推進し,ひいては地域の技術ポテンシャルの向上に寄与するような役割も期待されるところである。


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