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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
5.  地域における科学技術ポテンシャルの向上
(1)  地域にみる科学技術力



(地域における人材面で見たポテンシャル)

研究開発活動の地域展開は,各地域の情報発信機能の整備,地域において求められる技術志向の産業の振興,また,先端技術産業の立地あるいはその支援などのため重要な課題となってきている。こうした観点から,ここでは地域における科学技術ポテンシャルとして最も重要であり,近年,特に各地においても確保の要請の強い人材を中心として地域の状況を分析してみる。

第1‐1‐64図 民間企業の地域別研究者数

民間動向調査においては,各都道府県ごとに企業が配置した研究者の実数を調査した。これにより,我が国の民間の研究者27万人余のうち,833社に在籍する研究者約21万5,000人の都道府県ごとの分布が明らかになった。これによると,東京都,神奈川県,埼玉県(以下この章では「東京圏」という。)に集中しており,民間企業研究者の49%が東京圏で研究開発活動を行っている (第1‐1‐64図) 。また,60%が東京圏を含む関東地域に存在している。

民間企業の研究者は,その多くが開発研究に従事しており,研究者が配置されている場所も研究所のみではなく,製造事業所に多い。このため,製造事業部門のある各地域にも研究者の若干の分散が見られる (76ページ別表参照) 。また,大学の理科系教員の地域ごとの勤務地を見てみると,国公立を中心に大学が全国各地にあることを反映して,関東地域に勤務している理科系教員は,全国の41%であり,大学での研究機能は比較的地域的な分散がみられる (第1‐1‐65図)

第1‐1‐65図 地域別理科系大学教員数,研究機関研究者数

一方,公的研究機関については,国立試験研究機関が約1万人の研究者を擁し,このうち,筑波研究学園都市のある茨城県に4,500人いる他は,東京圏2,800人,近畿600人,北海道500人などとなっている。特殊法人の研究者3,600人のほとんどは,東京圏を含む関東に存在している。自治体設立の公立試験研究機関については,15,000人の研究者を擁し,全国的に分散しているが,その実数は中部,近畿及び九州において比較的多い (第1‐1‐65図)

以上を総合してみると,研究人材の東京圏への集中は見られるが,一方,企業の事業活動の展開に伴う各地域への人材の分散,公的研究機関の存在もあり,大学のポテンシャルを加味すれば,各地域においても人材面からみた研究開発活動推進の基礎的条件は整え得るものと考えられる。


(民間企業の研究開発活動の展開)

我が国の研究開発に大きな役割を占める民間企業の研究所の立地は,昭和60年から63年までの4年間に東京圏を中心とした関東地域にさらに集中する傾向が見られた。これに対して,生産拠点である工場の立地については,関東内陸,東北,中部(東海)地域に多く立地しており,研究所と生産拠点との間の相関は必ずしも高くない (第1‐1‐66図)

民間企業の地域への研究所立地の条件としては,「情報格差が生じないこと」(51.4%),「優秀な人材確保が図れること」(44.1%),「生産現場,市場ニーズ,商品開発のフィードバックを受けられること」(43.5%)が挙げられている。このようなことから現在も研究所の立地は情報,人材の得やすい東京圏を中心に進んでいるとみられる (第1‐1‐67図)

第1‐1‐66図 工場の立地件数シェアと研究所の立地件数

第1‐1‐67図 民間企業の研究所立地に必要な条件

第1‐1‐68図 業種別民間企業研究者の分布

各地域における具体的な研究機能の分布を人材面から見ると,いずれも電気機械器具工業が多い (第1‐1‐68図) 。その他の特徴を見ると,東北,関東は通信・電子・電気計測器工業,中部は自動車工業,近畿は電気機械器具工業が圧倒的に高いほか,化学関係,中国・四国は自動車工業,化学関係,九州は化学関係及び機械工業である。

なお,近年,医療機器,電子・通信機器等の研究開発が主導する技術先端型業種の工場の地域への立地が進みつつある (第1‐1‐69図) 。このような工場においては高度技術分野に関する優れた研究開発技術者を擁する可能性があり,そこでの研究開発機能の整備と相まって,当該地域における研究開発ポテンシャルを高める役割を果たすことも可能となってくると思われる。

1‐1‐69図 技術先端型業種の工場立地動向(昭和54〜63年累計)


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