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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
4.  厳しさを増す研究・技術人材の確保と活用
(2)  研究者・技術者の確保の現状と見通し



(研究者・技術者の確保難とその対策)

我が国は,4年目に入った好況の下にあり,産業の各部門において人材の確保難が生じている。研究者・技術者についても,情報化の進展等に伴い,とりわけ厳しい人材確保難が現在起こっているところである。特に,産業の高度化に伴い,優秀な人材の育成・確保が不可欠であり,この面での対応が迫られている。

また,主に理工系学部卒業者の製造業離れに対する製造業の危機意識等にみられるように,最近,企業の新規採用者の大部分を占める新規学卒者の就職状況にも変化が生じつつある。

このような状況の中で,研究者・技術者の採用において大きな比率を占める企業が,理工系学生の研究者・技術者としての確保をどのようにみているかを調べた。民間動向調査によれば,最近,産業界においては,理工系学生の研究者・技術者としての確保に対して相当な意識を有しており,人材確保の状況について,「大変深刻」としているものと,「多少問題」としているものの比率を合わせると,全企業の約8割にも達している。大変深刻としている比率を業種別にみると,通信・電子・電気計測器工業の61.5%を筆頭に,鉄鋼業53.3%,機械工業48.6%,以下電気機械機具工業及び建設業と続いている。また,資本金規模別にみると,小規模企業ほど,人材確保の深刻度が大きい (第1-1-56図)

一方,このような人材確保難に対する措置として,企業では企業への理解度を高めるための「企業のPR活動の強化」策を講じているところが多く(68%)・この他「給与・人事面での改善」(29%),「職場環境の改善」(22%),「寮・社宅等の厚生面での改善」(18%)等の具体策を挙げている企業が多い (第1-1-57図) 。このように大部分の民間企業においては,人材確保対策を積極的に進めている。

第1‐1‐56図 理工系学生の製造業離れについて

第1‐1‐57図 理工系学生確保のための方策

第1‐1‐58図 理工系学生の製造業離れに関する見解

さらに,先端科学技術分野の研究者や研究管理者の意識をみると,いわゆる理工系学生の製造業離れについて悲観的にみている者が5割を越えており,その理由として「離れる絶対数が多くなっている」などを挙げている。組織別の研究者の意識では,国立試験研究機関及び民間企業の研究者が同様な見方を有している。他方,大学の研究者.も理工系学生の製造業離れについて危機意識を有している (第1-1-58図) 。今後,理工系学生の就職状況については,幾分の変化はあろうが,人材不足気味で推移するものとみられ,今後とも,産学官の各方面において創造性豊かな技術・研究人材の確保・育成に対する一貫した努力が求められよう。

また,量的な確保とともに,質的な面に関する配慮も重要である。特に,今後,我が国は独創的な科学技術の振興を積極的に推進していくことが求められており,このため,優れた研究者,技術者め需要を考慮しつつ適切な対応に努めることが必要である。


(ますます高まる研究人材需要)

近年,企業経営において研究開発は重要な要素であるが,“中でも,研究人材の確保がポイントとなっている (第1‐1‐59図) 。そこで,民間企業が研究者をどの程度増やしてきたか,また,今後増やす予定をもっているかを見てみる。

第1‐1‐59図 製造業における雇用の重点分野

第1‐1‐60図 企業の研究者の増員と景気変動との関係

第1‐1‐61図 企業における研究者の増員状況

民間動向調査によると,今後5年間において,4社に3社は,積極的に研究者の増員を図ることとしている。特に,輸送用機械工業,通信・電子・電気計測器工業,出版・印刷業,油脂・塗料工業及び医薬品工業などの業種は増員を図るとしている比率が高く,旺盛な研究人材への需要を示している (第1‐1‐60図)

具体的に,企業の研究人材の増員状況をみると,今後5年間に10〜50%増やそうとする企業が全体の61%を占め,50%以上増員を図ろうとしている企業も22%に達しているなど全般的に過去5年間より増員するとの意向が強くなっている。業種別では,今後5年間に通信・電子・電気計測器工業,電気機械器具工業,金属製品工業の業種において,4割前後の企業が50%以上の大幅な研究人材増員計画を有している。なお,資本金規模別では,企業に増員予定の大きな差はない。いずれにせよ,今後とも民間企業においては研究人材に対する求人意欲が旺盛な状況にある (第1‐1,‐61図)


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