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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
4.  厳しさを増す研究・技術人材の確保と活用
(1)  研究者・技術者数の推移


まず,我が国の研究開発を支える研究・技術人材がどのように変遷しているかその推移を分析する。


(研究者数の推移)

我が国の経済及び科学技術の発展に伴い,研究本務者数(自然科学のみ)は,昭和50年の25万5千人から63年の44万2千人へと10余年の間で約1.7倍と大幅に増加した。部門別の研究本務者数をみると,63年では,民間が28万7千人で全体の65%を占めて圧倒的に多く,これに大学の12万8千人(同29%),公的研究機関の2万6千人(同6%)が続いている。産業界の伸びは著しく,また,大学においても,大学,学部の新増設等により拡大をみたが,公的研究機関ではその伸びが低い。


(技術者数の推移)

我が国の産業レベルの技術については世界最高水準に達しているが,これは研究開発の着実な向上とともに,製造部門の優れた技術者の存在によるところが大きい。産業界を中心とした技術者数の推移を,総務庁が実施した国勢調査の結果 (注2) により見てみる。

我が国の技術者数は,一貫して増加の傾向にあるが,特に,昭和55年以降顕著な増加を示している。これは,主に情報処理技術者の増加によるものであるが,これ以外の技術者数の伸びも大きい。55年から60年の伸びは65%(情報処理技術者を除外しても51%)に上り,これは,同期間における研究者の伸び(26.0%)を大幅に上回っている (図1-1-50図) 。職種別技術者数の推移をみると,昭和60年では,情報化,ソフト化の時代を反映して情報処理技術者が32万1千人で全体の22%を占めるに至っており,これに土木技術者の26万1千人(18%),電気技術者の23万3千人(16%),建築技術者の22万4千人(16%)が続いている。情報処理技術者は,55年には13万人と土木,建築技術者に続いて第3位であったが,60年には第1位となった。技術者については,引き続き高い需要が見込まれることがら,その円滑な確保が必要である。特に,情報処理技術者については,情報化の進展に伴い,ますます需要が増大することが予想されており,その不足への対策が求められている (第1‐1‐51図)


注)2.国勢調査における技術者とは,日本標準職業分類の「農林・水産業・食品技術者」,「鉱工業技術者」及び「その他の技術者」の合計である。なお,当該調査結果は1%抽出集計結果による。

第1‐1‐50図 研究者,技術者,技能者数の推移


(理工系学生の就職動向)

新規大学学部卒業者,修士課程及び博士課程修了者を合わせた就職者総数は,昭和55年には約30万人とそれまでの10年間で約10万人の大幅な増加を示したが,その後は漸増傾向となり,63年には約32万人となった。このうち理科系(ここでは,「理学,工学,農学及び保健」をいう。以下同じ。)学生の就職者数.も,55年には約10万人でその10年前と比べ3万人増となっていたが,63年には約11万人とその増加率は鈍化している。なお,就職者総数に対する理科系学生の就職者数の比率は,一貫して33%前後となっている (第1‐1‐52図)

第1‐1‐51図 技術者数の推移(職種別)

これら理科系学生の就職動向のうち,特に,理工系(ここでは「理学系及び工学系」をいう。以下同じ。)学生の就職動向について製造業に就職する比率が減っているとの見方(いわゆる製造業離れ)があるが,ここでは,これら理工系学生の就職動向を分析する。

第1‐1‐52図 新規学卒者の就職者総数及び理科系学生の就職者数の推移


‐学部レベルの動向‐

学部レベルの理工系学生の製造業への就職動向をみると,就職者数は工学では62年まで着実な増加傾向,理学は62年まで漸増を示しているが,逆に,63年には工学で前年から約3,400人,また,理学で約500人の減少となっている。これに対し,非製造業 (注3) への就職割合は,50年又は55年のピークを経て,60年から63年にかけて再び増加傾向となっている。中でも,金融・保険業へは,工学,理学ともに就職割合,就業者数の双方でここ2〜3年相当な増加傾向を示している (第1-1-53図 ,54図) 。このように,いわゆる製造業離れの兆候がみられるが,年ごとの変動もかなりあり,今後その動向を注視していく必要がある。また,必要に応じ研究・技術人材確保のための適切な対策を講じていくことが肝要である。


注)3.非製造業:ここでは,国勢調査で用いられている第3次産業から,日本産業分類の「電気・ガス・熱供給・水道業」,「運輸・通信業」,「サービス業のうちの教育」及び「公務」を除いたものをいう (以下同じ)。

第1‐1‐53図 理工系学部卒業者の就職状況の推移(製造業・非製造業)

第1‐1‐54図 理工系学部卒業者の就職状況の推移(金融・保険業)


‐修士レベルの動向‐

修士レベルの理工系学生の製造業への就職者数は,昭和50年代において著増を示し,最近においても漸増している。また,これら学生の製造業への就職比率は,工学系は10年余70%前後で推移し,理学系においては62年まで増加したが,63年において,その比率が低下している。非製造業のうち,金融・保険業に対しては,63年に理学系及び工学系で150余名の就職者があったが,全体として,1.3%に過ぎず,修士レベルにおいては,多少の変動はあるものの,学生の製造業へ就職している傾向に大きな変化は見られない (第1‐1‐55図)


‐理工系学卒就職者の高学歴化‐

次に,製造業に就職した理工系学卒者(大学院修了者を含む)の学歴別構成比をみると,産業界の技術の高度化,研究機能の向上等を反映した傾向がみられる。一般的に,学部卒業者の採用比率は修士等に比較して高いが,特に,昭和55年頃から学部卒業者の製造業採用者全体に占める比率が減少し始め,大学院レベルの比率が増加するいわゆる「高学歴化」の傾向を徐々に示すようになってきている。昭和63年には大学院修了者(修士及び博士課程修了者の合計)の比率が,理学系で24.2%,工学系で17.0%まで上昇し,過去5年間に理学系で4.6%ポイント,工学系で3.6%ポイント増加した。

第1-1-55図,理工系修士課程修了者の就職状況の推移(製造業)


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