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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
3.  公的部門の役割と新たな展開
(2)  基礎研究強化と国際貢献における新たな展開



(基礎研究の充実)

我が国の研究開発構造にはいくつかの課題がある。昭和63年10月の科学技術会議に報告された同政策委員会国際問題懇談会の報告においても,その指摘がなされた。また,第一線の研究者も我が国の研究開発構造のあり方について,様々な見解を有している。我が国全体の研究開発構造における課題として,国立試験研究機関等の研究者は,資金,研究構成,人材需給を,大学の研究者は,資金,研究構成,研究体制を,民間の研究者は,研究構成,研究体制を挙げている (第1‐1‐43図)

第1‐1‐43図 我が国研究開発の課題

第1‐1‐44図 研究開発の資金面での課題

第1‐1‐45図 基礎研究の実用目的指向によるマイナス影響

第1‐1‐46図 基礎研究の強化策

このうち,大きな課題である資金について,さらに分析してみると,産・学・官のいずれにおいても,研究者の立場からは,基礎研究費の不足と政府資金の拡大が強く指摘されている。 (第1‐1‐44図) また,近年,産業部門の比重拡大等により研究開発の実用目的志向,技術志向がみられ,それにより本来特定の実用目的を持たない基礎研究が相対的に縮小したり実用目的との関わりの中で研究が進められるようになり,基礎研究も影響を受けるようになっている。ほぼ半数の研究者がこうした基礎研究め実用目的志向により研究開発活動全体へのマイナス効果があるとみている (第1‐1‐45図) 。このような基礎研究の強化策としては,資金面の課題への対処とともに自由度の高い研究制度の大幅拡充,研究運営の弾力化,競争環境の確保と的確な研究評価の実施が強く求められている (第1‐1‐46図)

以上を総合してみると,基礎研究においては,改めて国が主導的役割を担い,資金と体制の充実を図ることが強く求められているということになろう。

国においては,近年,新制度の創設などその施策の充実を図ってきているが,このようなことからも引き続き,その強化が必要とされるところである。


(国際貢献の推進)

科学技術分野の国際貢献についても国が大きな役割を果たすべき分野として非常に重要な政策の柱となった。開発途上国への技術移転,産業技術協力など産業界において果たしうるものもあるが,商業行為の一環として行われるのが通常であり,今後,その貢献の拡大は期待されるが,限度があるといえよう。国際貢献を図るための措置はいくつかある。我が国を代表するような研究者が国際貢献でとるべき措置として期待するものをみると,学会や国際会議を含めた研究者の交流・受入れの拡大,基礎研究成果の創出などを挙げる比率が高い (第1‐1‐47図)

第1‐1‐47図 科学技術の国際貢献でとるべき措置

国においても最近国際的な要請に応えるべく種々の措置を構じている。国立試験研究機関等への外国人研究者受け入れのための立法,研究者受け入れのためのフェローシップ制度の創設と拡充,交流を支援する機構の整備,基礎研究制度の拡大と成果流通の促進,国際共同研究事業への積極的参加,有力研究施設の開放,国際共同研究助成事業の推進等を鋭意進めてきたところである。特に,ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムについては,我が国の本格的な国際貢献の証しとして,また,先の研究者の意識にも非常に合致した計画としてスタートし,本年10月には国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構がフランスのストラスプールで発足した。また,大型の国際共同研究として我が国が主導的役割を果たしているものには,1988年2月に日・米・EC (ユーラトム)・ソ連の間で合意をみた核融合協力(ITER)などがある。

しかし,このような国際貢献を強く意識した事業はまだほとんど緒についたばかりである。今後さらに,資金,体制,人材などの確保を図り,国力にふさわしい寄与をなしうるよう,引き続き国としても努力していく必要がある。


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