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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
3.  公的部門の役割と新たな展開
(1)  公的部門への要請の変化とその役割



(要請の変化)

公的部門,特に政府は,その国における研究開発活動の主役のーつであるが,我が国では政府の役割への要請は,科学技術水準の向上,産業界の研究開発活動の拡大,国際環境や社会構造の変化に伴って大きく変化した。我が国全体の研究開発費の対GNP比が2%を超え,研究開発面でいわば先進国型の構造となったのは,10年前の昭和53年であった。その時点での状況をふり返ってみると,未だ自主技術開発が強く叫ばれ,政府主導で研究開発を進め,産業界の技術振興を積極的に支援した時代であり,国全体の研究投資に占める政府の負担率も28%とこの20年間において最高となっていた。特に,国の果たすべき役割への要請としては,1)エネルギー問題への対処,2)国民生活の質的向上,3)開発途上国のための研究協力の推進などが挙げられ,加えて特に,4)我が国の自主技術開発力の向上とこれによる国際競争力強化を図るため政府の研究活動の拡充を図ることが要請されていた(昭和53年版科学技術白書「重要性を増す政府の研究活動」より)。

その後における我が国の変化は急速であり,この10年で産業界の旺盛な研究投資の結果,我が国研究費の対GNP比は世界最高水準に達するとともに,その国際的地位にふさわしい責務の遂行が求められるようになった。このような中で,国に対する要請も,基礎研究の推進,国際貢献,より質を求める国民ニーズへの対応などが増し,所要の行動が求められている。この結果,昨今,研究開発において国が果たすべき役割としては,従来からの1)エネルギー・資源,食糧,医療,安全,インフラ整備など国民や産業の直接的なニーズに対応する行政目的に沿った研究開発,2)宇宙開発などの国が主体的に取り組むべき大規模研究開発などとともに,特に,3)基礎研究の強化と優れた研究成果の創出,4)共同研究や研究交流の強化,技術協力など幅広い国際貢献の遂行といったことが柱となった。また,公的部門は,経済社会の変化への対応のポテンシャルを涵養する場としても期待されている。なお,ここでは実施すべき研究開発の見地から主にみているが,人材の養成,体制・インフラストラクチャーなど環境整備,税制・金融上の措置なども引き続き重要であることは言うまでもないところである。


(リソースの状況)

このような国としての役割を果たすためのリソースである国の科学技術関係予算は,全体(一般歳出予算レベル)がゼロシーリングに圧縮される中で,過去5年間の平均で4%の伸びを示し,平成元年度には,1兆8,000億円に達している。しかしながら産業界の伸びが高いため,゜国全体に占める比率は縮小気味となっている。その配分は,大学関係経費がほぼ半分を占めているが,その他も含め伸びは,人件費の影響もあり,それぞれ平均的である (第1‐1‐40図) 。性格別にみた場合,基礎研究に使用される比率は減少傾向を示しており課題を残している (第1‐1‐41図) 。また,投資分野別にみると引き続き,学術研究,エネルギー等の比重が高く,その構成はここ10年,余り変化はない。この政府投資の対GNP比は0.5%であり,欧米水準の1%程度のほぼ半分であり,公的部門への新たな要請を踏まえた充実が望まれる。

第1‐1‐40図 我が国の政府研究費(自然科学)の配分状況

第1‐1‐41図 基礎研究比率の推移(組織別)

第1‐1‐42表 OECD諸国における政府部門の研究開発

我が国経済における公的部門の比重,財政規模,国の予算に占める科学技術関係予算の比率のそれぞれにおいて,我が国は主要国に比べやや低いため,OECD諸国全体に占める我が国の公的部門の研究費比率及び研究者比率は相当低くなっているところである (第1‐1‐42表) 。また,公的部門の重要な役割である基礎研究に使用される費用のOECD諸国全体に占める我が国の比率も,約1割であり低い値となっている(米国44%,EC36%)。


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