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第1部   平成新時代における我が国科学技術の新たな展開
第1章  わが国科学技術の推移と新たな展開
1.  我が国科学技術の背景と現状
(2)  我が国の科学技術の基礎的条件とその国際比較


我が国科学技術の全般的状況は 第1-1-6表 の通りとなっているが,ここでは,我が国の科学技術を欧米のそれと比較することにより,我が国の科学技術の状況をみることとする。

第1-1-6表 我が国科学技術の姿


(インプット系)
-研究投資-
1) 我が国の研究費(昭和62年度)は10兆円(自然科学のみでは9兆円)であり国際的にみても高い。ここ10年間の年平均伸び率は実質で8.2%であり,極めて高い成長を遂げた。 国際的な比較については,より実質的なOECD購買力平価を使用して比較するのが一般的となっており,各国の総額の比較においてはここでは購買力平価を併用した。これによれば,我が国の研究投資は高い水準に達しているものの,購買力平価で見た場合,米国との格差は依然大きく (我が国研究投資は米国の38%),欧州との関係においても,IMFレートによる比較で見た場合より相対的な地位がやや低下する (第1-1-7図) 。 また,政府の研究投資額については,我が国は米国の22%であり,西ドイツ,あるいはフランスとは経済規模の差にもかかわらず,同等の水準である (第1-1-8図)
第1-1-7図 各国研究費の推移

第1-1-8図 各国の政府負担研究費(1987年)


2) 研究費の対GNP比では我が国は2.8%と既に西ドイツと並び世界最高水準にあり,これまで大規模経済国では未踏の3%水準に向かいつつある。米国,フランスなどにおいては,ここ数年GNP比が頭打ち傾向にある (第1-1-9図) 。我が国ではその負担において民間のシェアが非常に大きいのに対して,政府 負担研究費の対GNP比は0.5%となっている (第1-1-10図) 。 我が国の伸びを支えているのは民生部門の高水準の研究開発投資であり,西ドイツとともに,その対GNP比が2.5%を越えている。米国,フランス,イギリスにおいては,近年,産業界の研究開発投資がふるわず,いずれも民生部門のGNP比は2%未満となっている一方,公的部門の役割についてはこれらの国では大きく,いずれも政府負担の研究費のGNP比は1%を上回っている。
第1-1-9図 各国研究費の対GNP比

第1-1-10図 我が国研究費の対GNP比(負担源別)


3) 組織別研究費使用割合については,我が国は自然科学部門において産業界76%,大学13%,公的研究機関10%となっておりここにおいても産業界のシェアが大きい。主要国で比較してみても,各国ともに産業界の比率が大きく,研究開発の実施において民間企業が大きな役割を果たしている。西ドイツは国及び地方公共団体の使用割合が13%と我が国及び米国に比べてやや大きな比率となっている (第1-1-11図)
第1-1-11図 各国における研究費の流れ

一方,負担源をみると公的部門の負担は米国が最も大きく(48%)次いで西ドイツであるが,我が国は20%と低い値となっており,研究費の多くを産業が負担している (第1-1-11図) 。 各国とも研究費の使用額において高い比率を占める産業界の研究費のうち,産業界の負担率をみると,西ドイツが80%台である他は各主要国とも60%台であるのに対し,我が国は98%と非常に高くなっている。このように我が国の特徴としては企業による多額の研究費負担があり民間の活性の裏付けとなっている。
4) 基礎,応用及び開発の各性格別の研究費構成は,我が国はここ5年,基礎研究がほぼ13〜14%で推移している一方,産業界の旺盛な技術開発投資を反映して,開発研究が62%前後と引き続き高い水準にある。 主要国においては,各国の統計データにばらつきはあるが,一般的に欧州では基礎研究比率が20%程度であるのに対して,我が国及び米国では14%とより応用・開発的な研究に重点がおかれている。
5) 我が国の研究者一人当りの研究費は,会社で約2,500万円,国立試験研究機関(民生分)約1,700万円,大学1,000万円であり,会社が比較的高い水準にある。また,国際的にみると,西ドイツ,フランスが2,700〜2,900万円と高いが,我が国と米国は2,000〜2,200万円と低くなっている。

-研究人材-
1) 我が国の研究者数は過去5年間の平均で年5.2%増となっており,人材の観点からは著しい伸びを示した。この結果,研究者は44万人(人文・社会科学を含めると51万人)に達した。国際的にも,最近10年においてイギリスを除き各国とも高い伸びを示したが,我が国の伸びは特に高かった。この結果,米国,我が国及び欧州(西ドイツ,フランス,イギリスの3国合計)に占める我が国の研究者数の比率は30%を越えている。 研究関係従事者,特に研究補助者及び技能者は,20万人であり研究者一人当たり0.5人となっており,国際的にみて低い。
2) 研究者の所属組織別構成をみると,我が国は29万人が産業界,13万人が大学に,3万人が特殊法人を含む公的研究機関に所属しており,研究費の使用割合と比べて大学研究者の比率が高くなっている。これを国際的にみると,大学のシェアが高いのは我が国及びフランス,政府研究機関のシェアが高いのは欧州各国,産業のシェアが高いのは米国及び西ドイツである (第1-1-12図)
第1-1-12図 組織別研究者の分布

第1-1-13図 労働人口一万人当りの研究者数


3) 労働人口1万人当たりの研究者数は我が国が高くなっており,産業界における研究開発への積極的な姿勢を反映している (第1-1-13図)
4) 研究者となる可能性のある理学及び工学の学部卒業者数の22歳年齢人口に占める割合をみると,我が国は工学が4.4%であり,他国の2〜4倍である一方,理学は0.8%に過ぎず,米国の2.5%,イギリスの.1.8%などと比ベて相当低い。 なお,この結果,日米比較では工学系卒業者はほぼ同数,理学系卒業者は我が国は米国の10分の1となっている(米国NSF調査による)。

(アウトプット系)

研究開発のアウトプットに関する指標としては,特許,論文,あるいは多少間接的ではあるが,技術貿易,ハイテク製品貿易などの数量が用いられる。


-特許出願-

昭和62年における我が国の国内特許出願件数は,34万件と引き続き高水準にあり,我が国の力強い研究開発構造と高い技術力を裏付けている。世界で最も有力な研究成果の特許申請がなされる米国における登録シェアも著増し,1988年には20%に達した (第1‐1‐14図)

特許の量とともにその質が一国の技術力の指標となるが,米国で登録された特許の影響度を各国別に引用指数(特許審査官による引用シェア/特許シェア)で比較すると,我が国は最高の1.34(米国:1.06,西ドイツ:0.79,1が平均)であり,高い技術力を示している。

第1‐1‐14図 米国の付与した特許の国別内訳


‐論文発表‐

一方,我が国の論文発表は日本科学技術情報センター(JICST)データベースに収録した論文数でみると22万件(昭和63年度)である。しかし,OECD調査による海外有力誌への掲載は22,000件(1984年)にとどまっており,我が国の国際的なシェアは未だ10%未満である。また,その引用指数(他の論文による引用シェア/論文シェア:1が平均)は0.91であり,米国の論文シェア(35%)と論文引用指数(1.35)に比較して我が国論文の影響力は低い(米国NSF調査による)。


‐技術貿易,ハイテク製品貿易‐

次に一国の科学技術ストッダの表れである技術貿易をみると,我が国のそれは引き続き拡大し,収支の総額で5,000億円となっている。しかし,その収支比(輸出/輸入)は0.76と依然入超が続いている。国際的には米国が高いパフォーマンスを示しているのに対して,他の主要国をみるとイギリスが収支ほぼ均衡しているのを除き全て入超となっており,米国との差は大きい (第1-1-15図)

第1‐1‐15図 技術の強度別製品貿易及び技術貿易収支比(1986年)

一方,研究開発成果を活かしたハイテク製品の貿易収支については,我が国は収支比が5.7となっており,製造面での技術力の強さを反映して高い地位を確保している。他の国については西ドイツが僅かに輸出超過であるのに対してフランス,イギリス,米国はほぼ均衡している (第1‐1‐15図)

これらアウトプット系の国際比較においては,我が国は技術あるいは製造面では優れているが,その背景をなす科学の面ではやや弱いことを示している。

以上について,我が国,米国及び西ドイツの三国の状況をグラフに簡潔にまとめた (第1‐1‐16図) 。これによれば,米国は産業面の技術力を強く反映するハイテク製品輸出において相対的に地位が下がるが,他は圧倒的な力を有し,我が国はハイテク製品輸出において優れている以外は,米国と西ドイツの中間に位置している。

第1‐1‐16図 主要科学技術指標の国際比較


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