ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   政府の施策
第3章  政府機関などにおける研究活動の推進
6.  多分野の協力による研究開発の推進
(10)  地球科学技術


近年,リモートセンシング,潜水調査船等先端技術の目覚ましい発展により,大気,海洋等の大規模な変動や人間活動の環境に与える影響等に関する知見が増大している。また,これらの現象は,我々人類の社会活動と密接なつながりを持っており,現象の解明等について社会的関心も高まってきている。このため,地球科学技術の振興は,防災・環境問題への対応,地球の将来予測等に寄与するものと期待され,その成果は,我々地球上に住む人類共通の利益に通じるとの観点から極めて重要である。

このため,科学技術庁長官の諮問機関である航空・電子等技術審議会に昭和62年3月地球科学技術部会が設置され,地球科学技術に関する総合的推進方策について審議が進められている。

また,地球科学技術は,対象となる事象の時間的空間的広がり,その多様性等から国際的取り組みを必要とするものであり,欧米諸国を中心に国際共同研究計画が策定・実施されている。我が国としても,近年の国際的立場を踏まえ,積極的な貢献を行っていく必要がある。

政府においては,以上のような認識の下に,関係省庁がそれぞれの立場で研究開発等を進めている。まず,地球規模の諸現象の解明を図る上で共通的に活用できる技術としては,気象衛星,海洋観測衛星等の開発,地球観測情報処理技術の開発,深海調査船の研究開発等各種の地球観測技術の研究開発が宇宙開発事業団,海洋科学技術センター,気象庁等にすでに推進されている。

また,このような現象の把握に当たり,観測は,基礎となるデータを提供する重要なものであるが現在,海上保安庁,気象庁等関係各省庁において業務として実施されている。

さらに,これらに関する調査研究については,関係各省庁において実施されているが,その主なものは次のとおりである。

(イ) 科学技術庁 科学技術振興調整費等により,多数の関係機関の参加・協力のもとに中部日本活構造地域の地震テクトニクスに関する研究,太平洋における大気・海洋変動と気候変動に関する国際共同研究等を実施している。 また,国立防災科学技術センターにおいて,プレート構造の解明等地震予知に資する研究等を実施している。
(ロ) 環境庁 国立公害研究所において,地球温暖化に係わる炭素系微量成分の変動,雲物理過程を伴う列島規模大気汚染等に関する研究を行っているほか,国立機関公害防止等試験研究費により不治性化学物質の不均一系光反応による変換・分解,二酸化炭素の大気・海洋間交換等に関する研究を行っている。
(ハ) 文部省 大学において,国際リソスフェア探査開発計画(DELP),国際深海掘削計画(ODP),気候変動国際共同研究計画(WCRP)等の国際共同研究計画の一環としての学術研究,地震・火山噴火予知に関する学術研究,超高層大気変動,気候変動の物理的機構に関する学術研究,プレートテクトニクスに関する学術研究,地球内部における物質移動と変化に関する学術研究等を実施している。 また,国立極地研究所において,極地に関する科学の総合研究及び極地観測を実施している。
(ニ) 農林水産省 農業環境技術研究所,林業試験場,水産研究所等において,地球的規模のものを含む環境,自然生態系の長期的変化の計測技術及び保全・管理技術の開発,自然エネルギーの効率的利用技術に関する総合研究,リモートセンシングによる農林水産資源の観測・評価技術の開発等を行っている。
(ホ) 通商産業省 地質調査所において,地震予知に関する地質学・地球化学的研究,活火山の地質及び地下構造に関する研究,西南日本周辺大陸棚の海底地質に関する研究等地球並びに資源探査を目的とする地質調査研究を実施している。
(ヘ) 海上保安庁 水路業務の一環として,管轄海域における海底総合調査,測地衛星による海洋測地,地震・火山噴火予知のための海底地形・地下構造の調査,西太平洋海域における水温,海流,波浪などの調査等を実施するとともに,日本海洋データセンターを設置し,国際海洋データ交換システムの日本代表機関として海底地形,地質及び地球物理的資料並びに海流,波浪等の海洋情報の収集・管理・提供を実施している。
(ト) 気象庁 気象業務の一環として,1)雲の放射過程の研究,気象衛星による大気・海洋変動の研究,大気大循環並びに海洋大循環モデルの研究等気候変動機構の解明・予測に関する研究,2)台風の進路予報モデルの研究,中小規模現象の力学的・数値的研究等各気象現象の基礎的物理過程に関する研究,3)直下型地震予知の実用化に関する総合研究等の地震・火山噴火に関する研究,気象,地象,水象等に関する研究を総合的に実施している。
(チ) 郵政省 電波研究所(昭和63年4月通信総合に改組)において,中層大気国際共同観測計画(MAP)期間の強化観測,長期的地震予知のための超長基線電波干渉計(VLBI)によるプレート運動の測定,電波・光による地球環境のリモートセンシングに関する研究を実施している。
(リ) 建設省 国土地理院において,国際リソスフェア探査開発計画(DELP)の一環としてのVLBIによるプレート運動に関する観測・研究,アセアン諸国とのリモートセンシング技術の高度化とその応用に関する共同研究及び地震予知のための地殻変動の観測・研究を実施している。 この他科学技術庁長官の諮問機関である航空・電子等技術審議会では,国際的状況を勘案しつつ地球科学技術の振興という観点から,今後取組むべき諸問題について検討を行うこととされた。

前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ