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第2部   科学技術活動の動向
第2章  科学技術情報活動の動向
3.  海外主要国における科学技術情報活動の動向


1) 米 国 〈情報の加工とデータベースの作成〉 米国における科学技術関係の二次資料の作成は,国立医学図書館(NLM),国立技術情報サービス(NTIS)等の国立機関,ケミカルアブストラクッサービス(CAS),生物科学情報サービス(BIOSIS)等の非営利団体,並びに民間機関などで,種々の専門分野のものが大規模に作成されている。非営利団体と国立機関を中心に結成されている全米抄録・検索サービス連合(NFAIS)の統計によれば,1987年における加盟機関の処理文献総件数は約700万件と見積られる。 〈データベースの提供〉 米国においては,データベースの作成機関と直接の提供機関が分業型になっているのが特徴である。NLMのように,自ら作成したデータベースを自己のオンライン・ネットワークで提供している機関もあるが,多くのデータベースは,大規模提供者から提供されている。これらは,国際ネットワークを利用し,日本,カナダ,中南米,アジア,欧州等にも,オンラインで直接検索サービスを行っている。 このような情報提供に利用されるオンライン・ネットワークとして,高速・高精度・安価に大量に電送するTYMNET, TELENET等が全国にはりめぐらされている。 〈連邦政府の施策〉 連邦政府は,国防省,エネルギー省,商務省,厚生省等を中心に,自ら大規模な情報サービスを行うとともに,国立科学財団(NSF)による研究開発活動への助成,NLMによる各医学図書館への助成等を通じて,民間機関の情報活動の援助が行われてきた。政府自身が行う情報サービスもできるだけ一般に公開するというのが米国の特徴である。米国全体の科学技術情報活動を推進・調整する総合計画や組織はまだなく,これについては, NSFがらの助成によって行われた多くの調査報告において,科学技術情報の総合政策確立の必要性が指摘されている。
2) イギリス イギリスにおける科学技術情報活動の中心は,伝統的に図書館活動であり,したがって,一次資料の網羅的収集とそのサービスに最大の特徴がある。全国的に強固な図書館協力体制が機能しているが,その中心である英国図書館(BL)は,イギリスのみならず世界の代表的図書館である。その貸出部門(B LLD)は資料提供センター(D S C)と名称変更し現在54,000種の雑誌を継続収集中である。 BLはこのようなサービス活動だけでなく科学技術情報活動(主として研究開発面)の助成計画立案とプロジェクトへの補助金交付を担当している。 また,1985年よりBLの科学参考・情報サービス(SRIS)に,日本情報サービスのセクションを設け,日本情報の利用促進にも力を入れている。
3) 西ドイツ 1974年に開始された「情報・ドキュメンテーション促進のための連邦政府の計画(IuD計画)」に従って,科学技術情報政策が推進されてきた。この計画の骨子は,それまで200にも及ぶ小規模の情報機関で行われていた活動を16の分野に統合し,各分野の中核となる専門センター(FIZ)の整備を図ることであった。また,計画の推進に当たる中核機関として,情報・ドキュメンテーション協会(GID)が1977年に設立された。 その後,連邦会計検査院及び研究技術省によりIuD計画の見直しが行われ,新しい計画として「専門情報計画1985-88」が策定された。 この計画はIuD計画における経験を背景に,情報活動における政府と民間の協力をより緊密にするとともに,政府支援と民間主導を明確に区別した活動計画を策定,推進して西独産業界の活力増進及び国際的競争力の改善に貢献することを目的としている。この計画(1985-1988)のために総額9億4,870万DM(ドイツマルク)が見込まれている。 なお,1988年1月に, GIDは,ドイツ国立情報処理研究所(GMD)に統合された。
4) フランス フランスでは,国立科学研究センター(CNRS:国民教育省傘下)の科学技術ドキュメンテーションセンター(CDST)において,年間約40万件の自然科学分野の文献からのデータベース(PASCAL)を作成し,これをTelesystems-Questel等を通じてオンラインサービスを行っている。CD STは,1988年3月に,名称を科学技術情報院(INIST)に変更した。 一方,1973年に当時の工業省内に科学技術情報局が設置され科学技術情報政策の立案・推進・調整を一元的に担当するとともに,種々の民間の情報機関の活動振興予算に基づく補助によって種々の専門情報機関におけるデータベース作成等の活動の推進を図っていたが,1979年において改組され,首相に直属する科学技術情報委員会(MIDIS T)を設立し,科学技術情報活動の推進強化に努めてきた。その後,1985年7月末にMIDISTは解散し,国民教育省の研究・高等教育担当相の下に創設された情報・通信・科学文化代表部(DIXIT)に機構変えとなったが,さらに扱う対象が変更され,1986年12月から科学技術情報代表部(DIST)と名称変更した。
5) 欧州共同体(EC) 過去におけるECの科学技術情報活動に対する取組みは,ユーロネット(E URONET)の構築で代表されていた。ユーロネットとは,EC自身が運営してその加盟国をつなぐ国際データ通信ネットワークであり,1980年2月に稼動を開始した。 この計画の意図は,欧州各国にある科学技術関係のデータベース提供サービスを共通のネットワークで利用しようという分散データベースシステムの考え方であるが,米資系ネットワークの進出によって,欧州におけるデータベース利用の中に占める米国のサービスへの依存率は,1973年の10%から年々上昇し,1976年には44%に達しており,このような事実も,EC独自のネットワークの建設に強い影響を与えたと言われている。ユーロネットに接続しているホストシステムは,1983年時点で,イギリス,フランス,ドイツ,イタリア等の51機関(ECやEuorpean Space Agencyのシステムも含む。)で470種のデータベースが提供されていた。しかし,その後1984年末EURO NETはその役割を終了したとして廃止され,各国の国営データ通信網(PTT)に引き継がれている。また, ECの行うデータベース活動には欧州委員会ホスト連合体(ECHO)があり,EURONET廃止後はEURON ET-DIANEにとってかわるサービス名となり,他のサービスと重複しないデータベースを提供している。
6) 国際機関 多くの国際機関で科学技術情報に関する活動が行われているが,主要なものを挙げれば次のようなものがある。 〈国連関係〉 ユネスコ(UNESCO)では,世界科学技術情報システム(UNISIST)と国家情報システム(NATIS)の二つのプログラムを統合した総合情報計画(GeneralInformation Programme(GIP))において学術情報の問題を検討している。また,ユネスコは,政府間海洋学委員会(IOC)においては国際海洋データ交換システム(IODE)による海洋情報の交換を行っており,我が国では日本海洋データセンター(海上保安庁)がその任にあたっている。FAOは,国際協力の下に,農学のAGRIS,水産学のASFAのようなデータベースを作成している。 WHOでは副作用情報の収集・提供を行っている。 〈国際学術連合会議(ICSU)〉 国際科学技術情報会議(ICSTI)は,科学技術情報の流通の方策を検討しているほか,科学技術データ委員会(CODATA)は,数値データ活動の国内的,国際的活動の推進に努めている。 〈経済協力開発機構(OECD),国際エネルギー機関(IEA)〉 1982年4月に,科学技術政策委員会(CSTP)の一部会から,委員会に昇格した情報・電算機・通信政策(ICCP)委員会において,個人データの国際流通とプライバシー保護,国際データ・ネットワーク,情報活動の経済分析等情報処理技術の進歩に伴って生ずる経済的社会的諸問題を広範に議論している。IEAの研究開発委員会(CRD)ではエネルギー技術情報に関するデータベースETDEが作成され,我が国もこれに協力している。 〈国際ドキュメンテーション連盟(FID)〉 各国の情報・ドキュメンテーション活動の振興と国家間協力の推進について検討している。 〈国際標準化機構(ISO)〉 第46専門委員会(TG46)において,ドキュメンテーションに関する国際規格を検討している。 〈国際原子力機関(IAEA)〉 国際原子力情報システム(INIS)を運営し,国際協力による二次資料として最も伝統あるAtom Indexを,冊子体及び機械可読ファイルとして発行している。

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