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第1部   創造的研究環境の確立をめざして
第3章  今後の課題と展望
2.  開放型研究立国への展開
(2)  競争と協力の推進


この数十年一貫して米国は科学技術面における世界のリーダーであった。米国は早い時期における多数の中核的な研究機関の整備,豊富な資金投入,大学における科学研究の重視,さらに世界の有能な研究者の積極的受入れなど多面的な科学技術強化の方針の下に施策の展開を図り,近年の高い地位を獲得した。しかしながら,連邦政府における巨額の財政赤字,産業界における投資意欲の低下などを要因としてこの面での米国の地位は相対的に低下し,基礎研究面においてもその傾向がみられるようになっている。一方,技術変化の激しい今日,欧州においては技術競争力強化と基礎研究重視の二つの方向を目指す傾向は強いが,そのあり方を巡って動揺が見られる。また,知的所有権にかかわる国際情勢は,先進国と途上国間における権利保護のあり方が根底にあるとはいえ,その運用によっては科学技術の発展を阻害しかねない要素も孕んでいる。これらを始めとする厳しい現実の国際情勢をかんがみれば,今後においては,日米欧三極が連携して,また,それぞれの特徴に応じて各地域で,自らのニーズに対応するとともに国際的な科学技術のセンターとしての応分の役割分担と責務遂行の必要性が生じてくるであろう。その際には,我が国の役割は大きいが競争と協力を基調とした国際的な観点が我が国の指針となりえよう。

このようなことから,基礎的研究の強化等による我が国の長期的な発展を図るとともに,国際的にも開放された施設設備の整備,優秀な人材の交流,受入れ,基礎的研究成果の創出と流通などにより所要の国際的役割の遂行を図っていかなければならない。それとともに,科学技術が大型化し,また,基礎的研究において日本の役割が高まっている折から,ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムや宇宙ステーション計画におけるように日本として積極的にプロジェクト等の提案や国際連携を図り,国力にふさわしい主導的役割を果たしていく必要があろう。

技術のグローバリゼーションは,科学技術活動を先進国,途上国を問わず,一層人類共通のものとしつつある。また,これは国際間における人と情報の交流をますます盛んにするものとなろう。一方では,それは国際的な技術競争を激化するものでもある。このような新しい時代にあって我が国は,先の科学技術会議政策委員会国際問題懇談会報告「当面の科学技術を巡る国際問題に関する取りまとめ」等の各種の提言を踏まえながら,競争と協力の観点に立って施策を展開していく必要がある。


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