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第1部   創造的研究環境の確立をめざして
第2章  国際的視野に立った創造的研究環境の整備の推進
3.  科学技術情報活動の新たな展開
(1)  研究開発活動の原点である成果の創出と流通


1) 科学技術情報流通の重要性

研究開発において,そのための情報入手,研究成果の発表等の情報活動はますます重要性を高めてきている。先進国間の協調の場であるOECDでは1987年10月のOECD科学技術大臣会合における合意事項の中に,科学技術の国際化により人類の知識の蓄積を拡大するため,基礎研究成果の公表に係る開放的な制度を持つべきことを盛り込んだ。また,1988年4月のOECD理事会勧告として「科学技術国際協力のための共通原則の一般フレームワーク」が策定された。

この中では,各国の経済成長及び社会開発が今まで以上に科学者,研究所及び国家間における情報の幅広い交流及び交換の双方によってもたらされる科学技術知識の進歩に依存していることを考慮し,国際的に利用可能な科学文献の公表,データバンク及びネットワークへのアクセスならびに科学関係諸会議への自由参加を通じ,基礎研究成果の普及を促進することなどが勧告されている。

一方,我が国でも科学技術会議政策委員会国際問題懇談会による当面の科学技術を巡る国際問題に関するとりまとめにおいて,国際関係の原則として,自由な研究交流の促進,研究成果の公開,流通の促進等を科学技術国際交流の第一義的原則とすべきであることが示された。

このように,国際的にも,また,我が国においても科学技術情報とその自由な流通の重要性が指摘されたところである。

第1-2-57図 基礎的研究に関する成果の発表について

2) 研究成果の発表

研究活動の成果については,一般的に公表され,研究者の間で討論等を重ねることによりその学問分野の進歩に寄与していくと考えられる。特に,基礎研究分野に関しては,発表した成果により評価されることが重要と考えられることから,基礎的研究成果について先端科学技術研究者の84%は「積極的に発表する」としている( 第1-2-57図 )。

一方,民間企業について規模別にその考え方を見ると,資本金500億円以上の企業は50%余が積極的に発表するとしており,積極的に成果を広く公開し,社会的に寄与していく姿勢が見られるのに対し,資本金50億円未満の企業は20%弱が積極的であるにすぎない。

3) 基礎的な情報流通活動

研究成果の発表,情報交換において学会は重要な役割を果たしている。科学技術の国際化が進んだ昨今,海外の主要な学会においては,最近とみにその活動が活発である米国材料研究学会(MRS)の例に見られるように,極めてホットな国際的な場として多数の各国の優秀な研究者が集い情報交換,討論するとともに,産・学・官交流の場として重要な機能を果たしている。

国内の学会においても技術進歩の著しい境界領域分野を中心にこのような状況が現れつつある。また,産業界における基礎的研究強化の動きも背景として,その会員数が増加しており,学際的な領域や国際化に取り組むなどその活動の重要性が増している( 第1-2-58表 )。

研究成果の重要な流通手段である学会誌に投稿,掲載される論文は,我が国で刊行されている英文誌への掲載分も含めて,相当の増加を示している。ここで,先端科学技術分野の研究者の主な成果の発表先を見ると,欧米の学会誌・セミナーが60%であるのに対し,日本の学会誌・セミナーは33%と欧米での発表を重視する傾向が見られる。特に,ライフサイエンス分野でこの傾向が顕著である( 第1-2-59図 )。

我が国における学会の活動に関しては,産・学・官の研究の連携協力の強化,学際的な新研究領域が重要となっていることなどから,質の高い論文による学会誌の充実,各方面の支援等により運営基盤も強化され,ますます活発化していくことが期待される。

第1-2-58表 我が国の主要学会の状況(昭和62年度)

第1-2-59図 重要な研究成果について発表する場


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