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第1部   創造的研究環境の確立をめざして
第2章  国際的視野に立った創造的研究環境の整備の推進
2.  研究開発の施設設備の高度化
(4)  施設設備・機器の更新と高度化


1) 施設設備の改善

(国立試験研究機関,大学における動向)

我が国における中核的な研究機関を集めた筑波研究学園都市は,本格的な研究所の移転からほぼ10年を経過し,最先端の研究を進めるに当たって必要となる施設設備の老朽化,陳腐化の指摘もなされるようになってきた。

このような状況に対応して,昭和62年度の補正予算(第一号)においては,施設設備の更新と拡充のための予算措置がなされ,科学技術振興費中では,施設整備費を中心に総額約792億円が計上された( 第1-2-54表 )。これにより,昭和62年度に国立試験研究機関等においては施設設備の大幅な更新が図られたところであるが,引き続き国立試験研究機関等における施設設備面での強化の努力が必要とされるところである( 第1-2-55図 )。

第1-2-54表 昭和62年度補正予算(第一号)における科学技術振興費の内訳

第1-2-55図 研究設備,装置等の使用年数

一方,文部省においては,国立大学共同利用機関の拡充強化,大学における研究設備等の充実を一層進めるとともに,私学助成補助の一環として,私立大学の研究設備,装置整備助成を大幅に強化している。

これまで述べたような研究開発施設設備については, OECD科学技術大臣会合においても,各国がそれぞれ責務を分担しながら基礎研究の推進のために強化を図るべきとの合意がなされている。米国においては,世界をリードしてきた基礎研究を支える大学の研究施設設備について急速な老朽化が進展してきているとの指摘がなされるようになってきたため,1983年から国防総省(DOD)が高額研究開発施設設備購入のための新しいプログラムを開始したほか,国立科学財団(NSF),エネルギー省(DOE),国立衛生院(NIH)においても,同様の計画が開始されている。さらに,1988年包括貿易・競争力法においても, NSFによる「研究施設近代化計画」を実施することとしている。このような米国の例を始めとして,主要国においては基礎研究能力の確保のため所要の研究開発施設設備の充実に努めているところである。

第1-2-56図 実験用分析機器の国内向け生産高

(民間企業における動向)

最近の研究開発においては,民間企業でもますます高性能な研究施設設備へのニーズは強まっている。それぞれの研究機関で整備することができる施設設備の価格規模について先端科学技術研究者に対する調査の結果がら見てみると,研究分野,研究機関の規模,研究内容,研究テーマの重要性等により一律に判断できないが,民間企業においては5,000万円から2億円程度を1つの目安としているものが最も多い。民間企業においては,最近の先端科学技術分野における激しい競争と研究開発に対する積極的な姿勢を反映して,非常に高い水準になっていると言えよう。

我が国の現在の産業界における高い技術水準を支えるものの一つに,最新鋭の分析・計測機器の導入がある。民間動向調査及び先端科学技術研究者に対する調査においても,我が国のこれらの機器の設置状況は世界の最高レベルにあるとされている。 第1-2-56図 にこのようなものの一部をなす汎用分析機器の国内向け生産高の推移を示したが,産業界の高い需要を背景に増加を示している。また,高度な材料研究用の分析機器などの輸入も著しく増加している。

2) 施設設備の高度化

これまで我が国の研究開発施設設備について,その状況と整備の水準を見てきたが,最近の科学技術活動の活発化に伴って,その整備も進展してきており,民間企業について見ると大企業を中心にかなりの水準を達成してきていると言える。

一方,大学,国立試験研究機関における研究開発施設設備の整備状況も,先端的研究開発施設設備を中心にかなりの水準に達していると考えられる。今後,基礎的研究強化の認識の高まり,また,基礎と応用の接近という研究開発の大きな流れの中で,大学や政府研究機関が果たすべき役割に対する期待は一層強くなってきており,新しい科学技術のシーズを生み出す先導的な研究開発を進めるうえで,また,新しい科学的知見の応用への橋渡しをするうえで,これらの研究機関における研究施設設備面での整備拡充を引き続き進めて行くことが不可欠であろう。

また,その際,今後,国が特に進めることが求められている基礎的・先導的研究を中心とする研究開発の動向を踏まえれば,これまでに確立された研究施設設備の整備もさることながら,これから新たに開発され,将来の大きな研究の可能性を開く施設設備あるいは民間に期待しがたい大型施設設備各種研究支援施設の整備を特に重視していく必要がある。これらの施設設備は,総じて高価,希少であることから,その運用に当たっては,国内の機関のみならず海外の研究者への可能な限り広範な開放利用を進めることを重視して行かなければならない。さらに,その有効な稼働を確保しうるよう運転経費等所要の措置にも十分配慮する必要がある。なお,その際には受益者負担の検討も必要となろう。

このような努力を通じて,我が国においでも,国内の有力研究者が集い,また世界に開かれた基幹的施設設備を擁するいくつかの国際級の研究開発センター,言わばセンター・オブ・エクセレンスを育て得ることとなると言えよう。


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