ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造的研究環境の確立をめざして
第2章  国際的視野に立った創造的研究環境の整備の推進
2.  研究開発の施設設備の高度化
(1)  施設設備の役割とその重要性の高まり


(よりミクロをめざす研究開発の傾向)

最近の科学技術の研究開発の傾向を基礎的研究を中心に見てみると,既存の科学技術を深め,より緻密なものとしていくとともに,原理,現象に立ち返って探索,解明を行うことが求められてきている。このような研究開発においては,研究開発のための施設設備がその高度化と効率化のかぎを握るようになってきている。

例えば,物質・材料分野における物質の電子状態や結晶構造の解析,また,ライフサイエンス分野における核酸や各種タンパク質の構造,機能解析のように,これまでにない多分野の手法を融合したアプローチと原子,分子レベルの観察を可能とする高度な技術の必要性が増大しており,シンクロトロン放射光(SOR)施設,走査トンネル顕微鏡(STM),核磁気共鳴装置(NMR)を始めとする高度の施設設備による計測・解析技術が極めて大きな役割を持ってきている( 第1-2-35表 )。

第1-2-35表 基礎的研究推進上極めて大きなインパクトをもった最近の研究 施設,設備,機器の例

また,高度技術により測定,分析された大量のデータを迅速に処理,解析,理解し,また,より効果的に活用していくためには,高度な処理解析のソフト技術も必要となってくる。以上のように,最近の基礎的研究においては高度な技術が新たな科学的知見の発掘に極めて大きな役割を持ち始めている。このような高度な技術及びそれを可能とする施設設備は,それを確立しあるいは設置すること自体が研究開発である側面が極めて強く,これらを持ち得ることがその分野における研究水準を示す大きな指標となるものであり,主要先進国では,競ってその強化に努めているところである。

一方,研究の精緻化,創造性向上の必要性などから,個々の研究者自らが創意工夫をこらし装置を製作し,自らの研究に充てるといった研究と装置作りが一体となった研究者レベルの活動も著しく重要となっているところである。

(研究開発施設設備への依存度の高まり)

研究費は人件費,原材料費,有形固定資産(土地・建物,機械・器具・装置等)購入費,その他の経費から構成されている。このうち,民間企業における機械・器具・装置等に係る経費の研究費に占める比率について10年前と比較してみると,ほとんどすべての分野において増加していることがわかる( 第1-2-36図 )。特に,窯業(セラミックス),非鉄金属,化学,通信電子,電気機械といったいわゆる高度技術への依存度の高い業種にこの傾向が強く見られ,中でも,窯業(セラミックス)は,その比率を9.7%から17.6%へと大幅に増加させている。

民間動向調査によれば,特に基礎研究を推進するうえで,今後研究開発施設設備への依存度が高くなると回答した企業は「非常に高くなる」,「高くなる」をあわせると77%に上り,民間企業においても,基礎的研究推進上研究施設設備に対し依存する度合いが高まると考えていることがうががえる( 第1-2-37図 )。企業の規模別に見ると,大企業の方がこのような傾向が強く,また業種別に見ると,医薬品,非鉄金属といった業種にこうした認識が特に強い。

第1-2-36図 機械・器具・装置等に係る経費の研究費に占める 割合

第1-2-37図 研究施設・設備への依存度

さらに,日本学術会議が昭和63年4月に取りまとめた「日本の学術研究動向」によれば,工学系,理学系部門においては70%を越える者が,農学系部門においては約60%の者がその研究活動の,実験装置,観測・測定機器,調査・分析手段や大型コンピュータへの依存度が非常に高いとしている。また,研究水準と技術的条件との相関関係は強く,国際的水準が高いものほど技術的条件への依存度が高くなるとしており,研究水準の向上のためには技術的条件の整備が極めて重要であると言えよう。

(研究開発施設設備の整備に対する認識)

以上のように,研究開発を進めるうえでの施設設備のウェイトは高まりを見せており,この傾向は基礎的研究についても同様であるが,現在の研究開発施設設備の状況を先端科学技術研究者に対する調査結果から分析してみると,現在の研究設備,装置等の充足度について,「十分である」,「十分ではないがなんとかなっている」と回答した者の比率が,民間企業で77.0%,国立試験研究機関で59.9%となっており,相当程度充足してきていることを示している。しかしながら,「不足している」,「極度に不足している」と回答した者の占める比率もそれぞれ20.6%,37.1%となっている( 第1-2-38図 )。

したがって,一般に,民間企業においては大規模な企業を中心として,汎用的な施設設備の面ではある程度満足できるレベルに達しているが,その他においては,今後の基礎的研究強化の必要性を考えあわせるとやや不足気昧であると見ることができる。

第1-2-38図 設備,装置等の充足状況

第1-2-39図 我が国の研究設備,機器等の水準


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ