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第3部   政府の施策
第3章  政府機関などにおける研究活動の推進
6.  他分野の協力による研究開発の推進
(8)  情報・電子技術



(1) 情報・電子技術振興の意義

今日,社会及び経済活動の活発化・多様化に伴い,あらゆる分野で情報量が増大するとともに,情報に対するニーズも高度化,多様化している。

情報・電子技術は,このような状況に対応し,情報処理及び通信,放送等の情報伝達の基盤的技術として益々重要となっているばかりではなく,自動制御・計測等幅広い分野への応用を通じ,国民生活の向上及び社会,経済の発展を支えるものとして重要な役割を果たしている。

科学技術会議は,昭和59年11月,諮問第11号「新たな情勢変化に対応し,長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申において,情報・電子技術をかかる重要性に鑑み,新たな発展が期待される基礎的・先導的科学技術の一分野として位置づけ,その重要性を指摘した。

また,科学技術庁長官の諮問機関である航空・電子等技術審議会においては,昭和57年3月諮問第3号「先端的技術分野に必要な電子技術の向上のための方策等について」,昭和55年11月諮問第4号「レーザー技術の総合的な研究開発の推進について」及び,昭和60年3月諮問第6号「人間の知的機能を補完又は代替するシステムに関する情報・電子技術の総合的な研究開発の推進について」の各諮問に対して答申を行い,情報・電子技術の各分野の推進方策を示した。

さらに,航空・電子等技術審議会は,現在昭和61年8月の諮問第11号「光科学技術の高度化に関する総合的な研究開発の推進について」を受け,レーザ光,シンクロトロン放射光等の光の発生,制御及び応用に関する総合的な科学技術である光科学技術の推進方策について調査審議を行った。


(2) 個別分野とその課題
1) マイクロエレクトロニクス

素子の高集積化・高度化を狙うマイクロエレクトロニクスは,シリコン技術による超高性能LSIの極限性能を目指す一方,化合物半導体,ジョセフソン素子等の新材料,新原理を用いて超格子素子等シリコン性能の限界を超えるデバイスの研究が進められている。さらに,二次元素子の集積度限界を大幅に拡大し,情報処理速度を飛躍的に向上させることが期待される高密度三次元素子の研究も進められている。

また,原子力発電所や,宇宙,海洋等の過酷な条件下で高信頼性を保つ耐環境素子の研究開発が進められている他,分子レベルでの情報処理を可能とする分子エレクトロニクスの研究も推進されている。

具体的な課題としては,科学技術庁無機材質研究所の「ダイヤモンドの半導体化に関する研究」,新技術開発事業団の創造科学技術推進制度による「完全結晶」のプロジェクト,文部省科学研究費補助金特定研究による「混晶エレクトロニクス」,通商産業省工業技術院電子技術総合研究所等における「分子エレクトロニクスに関する研究」,次世代産業基盤技術研究開発制度による「三次元回路素子」などが挙げられる。


2) オプトエレクトロニクス

電気信号にかわり,光の信号を取り扱うオプトエレクトロニクスは,半導体レーザーにおける室温連続発振と低損失の光ファイバの実現により新たな展開を見せており,新しい材料,素子,デバイスが次々と開発されている。応用分野も光通信,光計測制御,画像情報処理等へと拡大され,光産業の飛躍的な発展が期待される。

このため,光デバイスの相互接続や集積化,高性能化を目指しての,発光・受光素子,導波路,光スイッチ,変調素子等の個別デバイスの高度化,光論理デバイス,光集積回路等の実現に向けて研究が進められている。

昭和61年度に行われた研究開発課題としては,科学技術庁金属材料技術研究所の「高性能発光素子用金属間化合物材料の開発に関する研究」,文部省科学研究費補助金特定研究による「光波利用センシング」,通商産業省工業技術院電子技術総合研究所の「光エレクトロニクスに関する研究」,郵政省電波研究所の「光領域周波数帯の研究開発」等がある。


3) バイオエレクトロニクス

情報処理能力など,生物の持つ高度な機能に着目し,その能力を利用あるいは模擬することにより,優れた機能を工学的に実現しようとするバイオエレクトロニクスは,情報・電子技術の発展に大きく寄与するものと期待される。具体的には,生物の持つ特定分子の識別機能に学んだバイオセンサの研究や,バイオ素子等の超高集積,超低エネルギー電子分子回路の可能性の追求等が当面の課題となっている。また,脳の情報処理システムに学んだより高度な人工知能等新しい知能機械の研究,回路を自己組織化し,一部が破壊されても補い合い,全体として高信頼性を保つアーキテクチャ等の新しいシステム原理の探求も注目されている。

昭和61年度に行われたバイオエレクトロニクス関連の研究としては,理化学研究所の「フロンティア・マテリアル研究」,科学技術振興調整費による「脳機能解明のための基盤技術の開発に関する研究」等が挙げちれる。


4) 情報処理関連ソフト技術

数理科学,記号論等の情報基盤研究や,脳研究,心理学,言語学等関連諸分野の研究を総合して,人間の持つパターン認識や学習,推論問題解決等の高度な知的機能の解明とその工学的実現のための研究が進められており,また,エキスパートシステム,機械翻訳システム,知能ロボットシステム等各種知能システムの研究開発が進められている。

また,このような人工知能(AI)システムの開発に適した新しい言語の研究,知識ベースシステム及び推論システム関連ソフトウェア,高次オペレーティングシステム関連ソフトウェア等の研究が進められている。

昭和61年度は,この分野の研究として,科学技術振興調整費による「脳機能解明のための基盤技術の開発に関する研究」及び「ネットワーク共用による化合物情報等の利用高度化に関する研究」,日本科学技術情報センターによる「実用規模の機械翻訳システムの整備」,文部省科学研究費補助金特定研究による「言語情報処理の高度化のための基礎的研究」,通商産業省大型工業技術研究開発制度における「電子計算機相互運用データベースシステム」などが行われた。


5) レーザー

レーザーの大出力化,高効率化等レーザーの性能向上に関する研究及び紫外線レーザー等新たなレーザーの開発が行われている。また,レーザーのもつエネルギーの利用,レーザーの化学反応への利用,分析・計測・制御への利用を図るための研究開発が行われている。

昭和61年度には,科学技術振興調整費による「大出力・波長可変レーザー及びレーザープロセシング技術に関する研究」,理化学研究所における「新レーザー技術に関する研究」,通商産業省の化学技術研究所における「レーザーによる化学反応の制御技術に関する研究」等の研究が行われた ( 第3-3-22表 )。


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