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第2部   科学技術活動の動向
第4章  国際交流の動向
5.  主要先進国の科学技術政策
(4)  イギリス


 イギリスの科学技術の構造は,大学を中心とした基礎研究部門の伝統的な強さと,防衛関連研究の比率の高さが特徴となっている。イギリスでは研究開発費に占める政府の資金負担の割合が大きく,このうち,国防省が行う防衛関連研究費が年々大きく増加しており,1984年以降50%を超えている。

 政府では,大学等での科学技術の水準は極めて高いものの,イギリスの産業技術の競争力が低下したのは,大学等の成果が産業界ヘスムーズに移転されていない,との認識から産学連携の強化を目指しており,基礎研究から応用研究に重点を移すことによって,科学技術の活力を取り戻そうとしている。

 これを受けて,大学,研究会議,国立研究機関などは産業界との結合を強め,産学連携の機運が高まっている。

 一方,イギリスの研究者が給与,環境などの優れた米国などへ移転する,いわゆる「頭脳流出」が,近時しばしば問題となっている。


(研究開発推進体制)

 イギリスには,我が国の科学技術会議のような総合的に科学技術を策定する機関はなく,基礎研究については研究会議諮問委員会(ABRC)が,応用研究および開発研究については応用研究開発諮問委員会(ACARD)がそれぞれ政策を策定しているが,近年,ACARDを改組して基礎研究を含めた科学技術全般に関する政策を策定,審議する機関の設置が検討されている。

 政策の実施に当たっては,教育科学省が基礎研究を,貿易産業省等が応用開発研究を,それぞれ担当している ( 第2-4-7図 )。


(基本方針)

 1983年に,ABRCおよびACARDの第1次共同報告により発表されたものがこれまでの科学技術政策の基本方針とされており,この中では,第1に基本政策として,1)政府と産業界との関係の強化,2)新しい市場の創造となる技術開発の促進,3)技術革新ムードの醸成,4)技術革新に適応した大学教育の見直しをあげ,第2に研究評価システムの確立,第3に基礎研究の充実を図ることとされている。また,1986年の第2次報告においては,政府と産業界の連携の強化が強く打ち出されている。


(研究費,研究人材の現状)

 1985年における民間の研究開発費は約48億ポンドで前年より16%増となっている。しかし,研究開発費の伸び率は全体的に減少している。研究者数の年度別推移は減少傾向にあるが,とりわけ1983年から1985年にかけて民間の研究従事者は16%も減少した。


(科学技術振興施策)

 重点研究領域をみるとACARDは,情報通信技術をイギリスの重点研究開発領域と位置づけ,また,ABRC及びACARDの第2次報告では,エキスパート・システム,遺伝子工学,新素材技術,生産技術などを重点開発項目としてあげている。政府はこれらの研究開発を推進するため,英国技術グループ(BTG)の設立と運営,1983年から5ケ年計画で行なわれている新情報技術開発(ALVEY)計画の推進,ケンブリッジ・サイエンス・パークなどのサイエンスパークの開設,さらに貿易産業省による技術革新助成制度(SFI:Support for Innovation),中小企業の技術革新助成を行うS MART(Small Firms Merit Awardfor Reseachand Technology)などの諸施策により産学連携の強化を図っている。また,近年,電子工学から食品工学にいたる広範囲の官民共同プロジェクト(LINK)を発足させた。

 日米等における超電導研究の進展は,イギリスにも多くの影響を与えており科学工学研究会議(SERC)は1988年に活動開始予定の超電導の研究センターを既存大学内に設立することとしている。

 一方,研究開発に対する優遇税制として,試験研究設備の特別償却制度,試験研究法人の支出や高等教育機関への寄付に対する控除,ベンチャービジネスの株式購入を促進させる年間4万ポンドまでの控除の制度等がある。また,研究者育成制度としては,それぞれの研究協議会がフェローシップやスチューデントシップの制度を運営している。

第2-4-7図 イギリスの科学技術行政機構


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