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第2部   科学技術活動の動向
第4章  国際交流の動向
5.  主要先進国の科学技術政策
(3)  フランス


 フランスの科学技術は,政府研究機関及び大学における研究開発が充実しているのに比べ,産業における技術開発が弱い傾向にあり,国主導型の研究開発が推進されてきている。

 このため,基礎研究の他,国が主導する性格の強い原子力,航空,宇宙,海洋の分野において輝しい成果をあげてきている。

 フランス政府としては,フランス経済の再建,強化による対外均衡の達成と,雇用の拡大を図ることを基本目標として,重点施策の1つに科学技術の振興を位置付けており,中でも基礎研究の一層の充実に加え,産業における研究開発の強化,公共部門から産業への技術移転など産業の技術力の強化に重点をおいている。


(科学技術推進体制)

 科学技術行政は各省庁で行われているが,総合的な科学技術施策及び各省間の調整は研究・高等教育省で行われている。研究・高等教育省は政府機関及び大学における研究と高等教育を所管しており,政府の研究開発関係予算をとりまとめ,財政法を議会に提出するほか,政府の研究活動の評価,国立研究機関,大学及び民間における研究開発の助成を行っている。このほか,所属の研究所をもち,独自の研究を推進するとともに,他の研究機関の研究助成を行う国立科学研究センター(CNRS)及び研究活動の評価を行う予測評価センター(CPE)が研究・高等教育省に付属している。


(基本方針)

 フランスの科学技術の推進の基本方針は,1985年に制定された科学技術振興法によって規定されている。

 本法では,科学研究及び技術開発が国家の優先事項であるという認識の下に,重点課題として1)基礎研究活動の推進,2)産業における研究開発及び技術革新の推進,中小企業への技術移転の推進の2つが挙げられており,具体的には,次の施策を講ずることとしている。

1)国全体の研究開発費の国内総生産(GDP)に対する割合を1985年の2.3%から1980年代終わりまでに3%にすることを目標とする。
2)大型技術開発プログラムとして,原子力,宇宙,航空,海洋の4分野を推進する。
3)官民の力を結集して研究開発を進めるため,エネルギー,バイオテクノロジー,マイクロエレクトロニクス,新材料等の8つの分野について動員プログラムを設け,研究開発の重点的推進を図る。
4)基礎研究の分野では,高エネルギー物理,宇宙科学,分子生物学,数学を重点的に推進する。
5)産業における研究開発は発展のために不可欠であり,そのため,税制における増加研究開発費に対する控除制度,研究技術資金(FRT),研究者育成制度等を行う。
6)そのほか,産学官の連携をはかり,研究者交流,技術移転,公共設備の民間への移転等を行う。

(研究費,研究人材の現状)

 1985年におけるフランスの総研究費は1,064億フラン(2.8兆円)であり,対前年比で12%の増加となっている。伸び率については,198年から1985年までの年平均で15.8%と高率になっており,フランスにおける研究開発への意欲がうかがえる。研究費のうち,政府負担の占める比率は53.5%となっており,日本と比べて非常に高率となっている。また,使用割合でいくと59%が企業で,他の国に比べて産業の使用割合が低くなっている(米国73%,日本73%共に1985年度)。

 性格別研究費については,総研究費のうち基礎が21%を占め,比較的基礎の割合が多い(米国12%,日本13%,西独19%)。

 研究者数は1984年で9.8万人となっており,前年比で5%の増加となっている。このうち企業が42%,政府30%,大学26%,その他となっており,企業の割合が低い。


(科学技術振興施策)
1) 税制

 産業における研究開発費を増加させるため,企業が前年より増加した研究開発費の50%について一企業当り500万フランを限度として税額控除を行う。


2) 研究技術資金(FRT)

 包括的で波及効果の大きい基礎技術の研究開発に対して資金援助を行う。


3) 動員プログラム

 8つの分野について産学官共通の研究開発戦略を策定することにより,別々に行っている研究を計画化し,二重投資をさせ,その分野での情報交換を推進するなど組織,研究者相互の壁を取り払い,共働作用を増大する。


4) 研究者養成

 企業と公的機関が契約をむすび,企業の研究者を公的機関で養成するための「研究による養成に関する産業協定」(CIFRE)や研究のための休暇制度がある。


5) その他

 産業による研究開発を促進し,公的研究機関から産業への技術移転を図るため,国立研究所の研究貝を企業に派遣する制度などがある。

第2-4-6図 フランスの科学技術行政機構


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